#REDIRECT [[ファイル:2 Helium.png|thumb|容器の中の液体ヘリウム]]
[[ヘリウム]]は、-268℃という極低温で液体として存在する。ヘリウムの[[沸点]]や[[臨界点]]は、[[同位体]]の種類によって異なる。1気圧、沸点での[[ヘリウム4]]の密度は、約125 g/lである<ref>[http://safety.seas.harvard.edu/services/helium.html Liquid Helium], accessed 2010-04-02</ref>。
==液化==
ヘリウムは、1908年7月10日にオランダの物理学者[[ヘイケ・カメルリング・オネス]]によって初めて液化された<ref>Wilks, p. 7</ref>。当時は、[[質量分析法]]がまだ発明されていなかったため、[[ヘリウム3]]は知られていなかった。近年では、液体ヘリウムは低温[[冷媒]]によって製造され、[[核磁気共鳴画像法]]や[[核磁気共鳴]]、[[脳磁図]]等に用いられる[[超伝導電磁石]]や[[メスバウアー分光]]の実験のために商業的に生産されている。ヘリウムは、[[リンデ・ハンプソン型空気液化機]]を用いてしか製造されず、より単純な方法をとることはできない<ref>{{cite book|author=Daniel V. Schroeder|title=An Introduction to Thermal Physics|page=141|publisher=Addison Wesley Longman|year=2000|isbn=0-201-38027-7}}</ref>。
==性質==
ヘリウム原子間の引力が弱いため、液体ヘリウムを作るために必要な温度は低い。ヘリウムは[[希ガス]]であるためもともと[[分子間力]]が弱いが、[[量子力学]]の効果により、さらに分子間力はさらに小さくなっている。ヘリウムの原子量が4と小さいため、この効果は非常に大きくなっている。液体ヘリウムの[[零点振動]]は、隣の原子による制約が小さいほど小さい。そのため、液体ヘリウムでは[[基底状態]]エネルギーは分子間の平均距離が自然に大きくなるほど低下する。しかし、さらに大きな距離では、分子間力の効果はさらに弱くなる<ref name=w1/>。
ヘリウムの分子間力が非常に弱いため、この元素は、大気圧下では、融点から[[絶対零度]]までずっと液体のままである。液体ヘリウムを固化させるためは、非常に低い温度と非常に大きい圧力が必要である。融点より下の温度では、ヘリウム4もヘリウム3も[[超流動]]の状態に遷移する<ref name=w1/>。
液体のヘリウム4とヘリウム3は、標準[[蒸気圧]]の0.9K以下の温度では完全に混和しない。この温度以下では、2つの同位体の混合物は[[相分離]]の状態にあり、主にヘリウム4で構成される密度の高い超流動の中に、主にヘリウム3で構成される通常の流体が浮かんでいる状態になる。この相分離は、液体ヘリウム全体の質量が、分離することによって熱力学的[[エンタルピー]]を減少させることによって起こる。)
非常に低い温度では、ヘリウム4の豊富な超流動相は、最大6%のヘリウム3を含むことができる。この状態は、数ミリケルビンの温度を作ることが可能な[[3He-4He希釈冷凍法]]によって達成することができる<ref>{{cite journal|author=D. O. Edwards, D. F. Brewer, P. Seligman, M. Skertic, and M. Yaqub|journal=Phys. Rev. Lett.|volume=15|page=773|year=1965|title=Solubility of He3 in Liquid He4 at 0°K|doi=10.1103/PhysRevLett.15.773|bibcode=1965PhRvL..15..773E|issue=20}}</ref><ref>Wilks, p. 244.</ref>。
==データ==
{| class="wikitable"
! 液体ヘリウムの性質 !! [[ヘリウム4]] !! [[ヘリウム3]]
|-
| [[臨界点]]<ref name=w1>Wilks, p. 1.</ref> || 5.2 K || 3.3 K
|-
| 大気圧での[[沸点]]<ref name=w1/>|| 4.2 K || 3.2 K
|-
| 最低融解圧力<ref>Wilks, pp. 474-478.</ref> || 25 atm|| 0.3 Kで29 atm
|-
| 標準蒸気圧での[[超流動]]遷移温度 || 2.17 K<ref>Wilks, p. 289.</ref> || [[磁場]]なしでは、1 mK<ref>{{cite book|author=Dieter Vollhart and Peter Wolfle|title=The Superfluid Phases of Helium 3|page=3|publisher=Taylor and Francis|year=1990}}</ref>
|}
==ギャラリー==
<gallery perrow=3 widths=210px heights=200px>
Image:Liquid_Helium.jpg|ゆっくりと気化する真空瓶中の液体ヘリウム
Image:Liquid_helium_lambda_point_transition.jpg|[[ラムダ点]]:液体ヘリウムが2.17Kより冷やされると、沸騰が突然激しくなる。
Image:Liquid_helium_superfluid_phase.jpg|2.17K以下の超流動相では、熱伝導性が非常に大きくなる。
</gallery>
==関連項目==
*[[低温物理学]]
*[[液体窒素]]
*[[液体酸素]]
*[[液体水素]]
*[[液体空気]]
==出典==
{{reflist}}
{{refbegin}}
*{{cite book|title=The Properties of Liquid and Solid Helium|author=J. Wilks|year=1967|place=Oxford|publisher=Clarendon Press|isbn=0-19-851245-7}}
*Freezing Physics: Heike Kamerlingh Onnes and the Quest for Cold, Van Delft Dirk (2007). Edita - The Publishing House Of The Royal Netherlands Academy of Arts and Sciences. ISBN 978-90-6984-519-7.
{{refend}}
==外部リンク==
*[http://ltl.tkk.fi/research/theory/helium.html He-3 and He-4 phase diagrams, etc.]
*[http://boojum.hut.fi/research/theory/he3.html Helium-3 phase diagram, etc.]
*[http://hyperphysics.phy-astr.gsu.edu/hbase/lhel.html Onnes's liquifaction of helium]
{{デフォルトソート:えきたいへりうむ}}
[[Category:ヘリウム]]
[[Category:液化ガス]]
[[Category:冷却]]
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