「超心理学」の版間の差分

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ラインの助手の[[ベティ・ハンフリー]]は、テストの結果は、開始時が最も良く、次第に下降し、テストを続行すると再度上昇に転ずる、ということを発見した。これは「U曲線」「低下効果」「退屈要因」などと呼ばれるようになったといわれ、超心理学の分野では再現可能な最初の発見事項とされている<ref name="dic486" />、という。
 
また、ニューヨークの超心理学者[[ガートルード・シュマイドラー]]は「[[山羊・羊効果]]」を発見した<ref name="dic486" />、とされる。これは、ESPを信じる被験者は、信じない被験者に比較すると、良好な結果を出す傾向がある、という内容のものである。(→[[#ヤギ・羊効果]])
 
1957年には、超心理学研究の水準を引き上げることを目的として、アメリカ合衆国で超心理学会(超心理学協会、PA)が結成された<ref>『きわどい科学』p.228</ref>。この学会は、世に認められている通常の学問分野と同様に、[[査読]]制度を採用した専門誌を発行している。
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=== 日本 ===
小久保秀之、笠原敏雄らが、1990年代に日本で行われた研究についてまとめている<ref>[http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/pdf/v11n2kokj.pdf 小久保秀之、笠原敏夫 2006「特異現象に関する1990年代の日本の研究」]</ref>。
 
== 実験結果に関わる要因 ==
超心理学における実験では、以下の要因が重要とされている。
 
=== ヤギ・羊効果 ===
超心理学実験の得点は、超心理現象を信じる者(ヒツジ)が被験者の時は高く、超心理現象を信じない者(ヤギ)が被験者の時は低い傾向がある。この現象は偶然には1万分の1未満の確率でしか起きないにも関わらず、集合実験でも個別実験でも検出された。この効果はジョン・パーマー、ガートルード・シュマイドラー、T・R・ローレンスなどの超心理学者らの実験によって検出された。パーマーによれば、実験が成功するという状況に被験者が「心理的快適さ」を感じていた場合、ターゲットを当てやすいとされる。<ref>石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店</ref>
 
=== 実験者効果 ===
全く同一の実験であっても、実験者がだれであるかにより結果に違いが出ることがある。これを実験者効果と呼ぶ。「ヤギ・羊効果」は被験者側の信念が影響する例であるが、実験者側の信念も実験に影響することが広く知られている。
懐疑論者のリチャード・ワイズマンと超心理学者のマリリン・シュリッツが実験者効果を調べる実験を行ったところ、全く同じ条件の実験であるに関わらず、シュリッツが行った実験のみに優位な結果が得られた。ガートルード・シュマイドラーの実験では「独善的で冷たく自信過剰」な印象の実験者の結果が失敗しやすいという結果が出た。また実験者の妻が入院している期間のみ著しくスコアが低いという結果が出た実験なども見られる。<ref>石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店</ref>
 
=== 自発的想像傾向 ===
自発的想像傾向とは「心のうちに自然に現れるイメージを積極的に求め、重要視する傾向」のことである。ジョン・パーマーの実験によれば、自発的想像傾向はESPが発揮されるについて重要な性格傾向であるとされる。こうした傾向を持つ被験者が、社会心理的に快適な状況の実験に参加すれば成功しやすいとされる。またフィオナ・シュタインカンプの実験では「外向性が高く、神経質傾向が低く、知能が高い」被験者はESP得点が高い傾向が見られた。そうした被験者は社会心理的快適さを得やすいため、と考えられる。<ref>石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店</ref>
 
=== お蔵入り効果 ===
超心理学への批判として長く指摘されていた効果である。これは失敗した実験を「お蔵入り」にして報告せず、成功した実験の結果のみを限定的に報告されるという指摘であった。この問題は超心理学の初期から指摘されていたが、[[1974年]]から[[テレパシー|ガンツフェルト実験]]の[[メタアナリシス|メタ分析]](複数の研究報告をまとめて、全体の傾向を分析する手法)が発展するにつれ、この効果は否定されるに至った。メタ分析の結果、失敗した実験もしまいこまれることなく報告されている状況が判明した。<ref>石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店</ref>
 
== 懐疑的研究 ==
 
=== 詐欺事件 ===
超心理学の実験では詐欺が行われているという批判的な見方がある。「レヴィ事件」や「ソール事件」など、歴史上そうした事件は確かに存在した。しかし、1970年代後半以降の超心理学上のデータについては([[テレパシー|ガンツフェルト実験]]の[[メタアナリシス|メタ分析]]の結果)でっちあげ説は当てはまらない、とされる。<ref>石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店</ref>
 
=== ロバート・キャロル ===
ロバート・キャロルは『懐疑論者の辞典』([[査読]]を欠いた、ロバート・キャロルによる個人的な本・サイト)において「審読制<!-- ?? 査読制のことか? -->のある超心理学の専門誌も少なくとも6誌ある。しかし、この研究分野の特徴は詐欺や欺瞞である。きちんと比較実験を立案して、統計データを解析する能力にも欠けている。」<ref>『[[懐疑論者の事典]]』 下 p.61</ref>と述べた<ref>関連項目:[[科学における不正行為]]</ref>。また、[[スーザン・ブラックモア]]のように、何年たっても超常現象の有意に支持する結果が見つからず、研究をあきらめてしまった超心理学者もいる、と書いた<ref>『[[懐疑論者の事典]]』 下 p.61</ref>。
また肯定的結果を得たと主張する超心理学者が、サイの存在を支持しない研究結果をわざと無視して自分の研究結果を正当化してしまうことも多い、とし、ラインも自分の信念を支持しないデータは理由を付けて捨てていた、とした<ref>『[[懐疑論者の事典]]』 下 p.61</ref>。(→[[#お蔵入り効果]])
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米国の大学教授千百名の調査によると、ESPを確立した事実とか、可能性がありそうだと考えている心理学者は34%であった。一方心理学者以外の者でESPが不可能だと言った者はわずか2%であった<ref>{{en|Wagner,M.W., and M. Monnet. 1979 "Attitudes of College Professors Toward Extra Sensory Preception."Zetetic Scholar 5:7–16.}}</ref>。
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<!--{{要出典範囲|この宣言は日本のテレビ放送でも何度か放送されているが、超能力実験の実証に成功した者はいない。そのあと現れたのは、超能力マジシャンといわれる[[マジシャン]]達である。彼らは、思い込みを利用したメンタルマジック、高度なすり替えテクニックによるマジックとエアー流の力、静電力や電磁力、最新の電子機器を巧みに利用して、[[テレパシー]]、[[スプーン曲げ]]、[[念力]]等の超常現象に相当するマジックを完成した。|date=2012-2}}-->
 
 
== 研究者となっている人物、および進路としての超心理学 ==
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* [[原理主義]]
* [[マッドサイエンティスト]]
* [[テレパシー]]
 
== 参考文献 ==