「カシン型駆逐艦」の版間の差分
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|-
|rowspan="2" style="white-space:nowrap" |[[排水量]]
|colspan="2"|基準 3,
|-
|colspan="2"|満載 4,
|-
|全長||colspan="2"|144 m
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|colspan=2|[[COGAG]]方式
|-
|M8E[[ガスタービンエンジン]]
|-
|[[スクリュー
|-
|速力||colspan="2"|
|-
| style="white-space:nowrap; font-size:smaller" |航続距離||colspan="2"|
|-
|乗員||colspan="2"|266名
|-
|rowspan="5"|兵装
|[[AK-726]] 76mm連装両用砲||2基
|-
|ZIF-101 連装ミサイル発射機<br /><small>([[M-1 ヴォルナ|V-600]] [[艦対空ミサイル#艦隊防空ミサイル|SAM]]×16発)</small>||2基
|-
|[[RBU-6000]][[対潜迫撃砲|対潜ロケット砲]]||2基
|-
|[[RBU-1000]]対潜ロケット砲||2基
|-
|5連装533mm[[魚雷発射管]]||1基
|-
|rowspan="2" style="white-space:nowrap; font-size:smaller"|[[レーダー]]
|MR-500 対空捜索用||1基
|-
|MR-310 対空・対水上捜索用||1基
|-
|rowspan="2"|[[ソナー]]
|[[:ru:Титан_(гидроакустическая_станция)|MG-312]] 捜索用||1基
|-
|MG-311 攻撃用||1基
|}
'''カシン型駆逐艦'''({{lang-en|
世界で初めて、エンジンを全て[[ガスタービンエンジン|ガスタービン]]とした艦級として知られており、[[1960年代]]中盤より就役しはじめた。
== 来歴 ==
[[冷戦]]構造の成立当初、ソ連海軍は西側の空母[[機動部隊]]の侵入阻止を主任務として構想していた。しかし[[1960年]]前後より、[[アメリカ海軍]]をはじめとする[[北大西洋条約機構]](NATO)諸国軍において[[潜水艦発射弾道ミサイル]]搭載[[原子力潜水艦]](SSBN)の配備が進展しつつあり、これへの対抗策が急務となった<ref name="His10">{{Cite journal|和書|author=Polutov Andrey V.|year=2009|month=1|title=ソ連/ロシア巡洋艦建造史(第10回)|journal=世界の艦船|issue=700|pages=156-161|publisher=海人社|naid=40016364566}}</ref>。
[[1956年]]、新しい対潜・防空[[警備艦]]に関する戦術・技術規則が承認され、これに基づいて本型の開発が開始された。開発は第53中央設計局([[:ru:ЦКБ-53|TsKB-53]])によって行われ、技術案は[[1958年]]に承認された。これに基づき、[[1959年]][[9月15日]]、1番艦「コムソモーレツ・ウクライーヌィ」が起工された<ref name="BPK61-3">{{Cite book| author = Никольский В. И.| title = Большие противолодочные корабли проекта 61.|publisher=Судостроение| year = 1995| number = 8-9}}</ref>。
なお、同艦の建造中の[[1961年]][[12月30日]]、[[ソ連共産党政治局]]および[[ソビエト連邦閣僚評議会|閣僚評議会]]は、第1180号-510議決により、従来のソ連海軍で採択されてきた対水上・対地火力投射というドクトリンを廃し、かわって[[対潜戦]]を重視することを正式に決定した。またこれを受けて、[[1966年]][[5月19日]]、新艦種として大型対潜艦([[:ru:Большой_противолодочный_корабль|{{lang|ru-Latn|BPK}}]])が創設され、本型もこちらに種別変更されている<ref name="His13">{{Cite journal|和書|author=Polutov Andrey V.|year=2009|month=4|title=ソ連/ロシア巡洋艦建造史(第13回)|journal=世界の艦船|issue=704|pages=154-159|publisher=海人社|naid=40016485806}}</ref>。
== 設計 ==
本型の設計の最大の特徴が、オール・ガスタービン推進方式の採用であり、これは外洋型の艦船としては世界初の試みであった<ref group="脚注">[[西側諸国]]においては、本級の12年後にあたる[[1974年]]に就役を開始した[[イギリス海軍]]の[[21型フリゲート]]が先鞭をつけている。</ref>。4基のM8E[[ガスタービンエンジン]](単機出力{{Convert|18000|hp|MW|disp=s}})が2基ずつ、[[COGAG]]方式で左右両舷の[[スクリュープロペラ]]計2軸に配されている。ただし単機種4基による構成であったことから、もっとも低出力の時でも18,000馬力のガスタービンを運転し、しかももう片方の軸機は抵抗となるなど、特に低速時の燃費に問題があった<ref name="His14">{{Cite journal|和書|author=Polutov Andrey V.|year=2009|month=5|title=ソ連/ロシア巡洋艦建造史(第14回)|journal=世界の艦船|issue=706|pages=156-163|publisher=海人社|naid=40016595582}}</ref>。
船型としては平甲板型が採用されており、また速力確保のため、船体素材を[[スヴェルドロフ級巡洋艦]]と同じSHL-4[[高張力鋼]](耐力30[[重量キログラム#重量キログラム毎平方メートル|kg<sub>f</sub>/mm²]])として軽量化を図っている<ref name="BPK61-3"/>ほか、上部構造などには広範に[[アルミニウム]]・[[マグネシウム]]合金が採用されている<ref name="BPK61-4">{{Cite book||author=Каржавин Б. А.|title = Гибель «Отважного»| place = St. Petersburg.|publisher=Корвет|year= 1994 |page=368|isbn= 5-88100-005-6}}</ref>。
== 装備 ==
戦術・技術規則では、本型の主任務は、作戦小艦隊の一員として行動し、[[攻撃機]]・[[巡航ミサイル]]に対する[[防空]]、および[[対潜戦|対潜]]掩護を実施することとされていた<ref name="BPK61-3"/>
===
主[[レーダー]]としては、当初はCバンドの対空・対水上レーダーであるMR-300「アンガラー」(NATO名「ヘッド・ネット-A」)が搭載された。また[[1964年]]以降に起工された艦では、MR-500「クリーヴェル」(NATO名「ビッグ・ネット」)とMR-310「アンガラーA」(NATO名「ヘッド・ネット-C」)の組み合わせに更新されている。また[[ソナー]]としては、捜索用の[[:ru:Титан_(гидроакустическая_станция)|MG-312「チタン」]]、攻撃用のMG-311「ヴィチェグダ」を組み合わせて搭載している<ref name="Russian-Ships">{{Cite web|author=Russian-Ships.info.|year=2013|url=http://russian-ships.info/eng/warships/project_61.htm|title=Large Anti-Submarine Ships - Project 61|language=英語|accessdate=2013-10-26}}</ref>。なおこれは、より大型の対潜・防空艦(1等艦)である[[クレスタI型巡洋艦|1134型(クレスタI型)]]と同様の装備であった<ref name="His11">{{Cite journal|和書|author=Polutov Andrey V.|year=2009|month=2|title=ソ連/ロシア巡洋艦建造史(第11回)|journal=世界の艦船|issue=702|pages=106-109|publisher=海人社|naid=40016409444}}</ref>。
なおソナーに関しては、61M/MP型においては新型のMGK-335「プラーチナ」が搭載されており、また01090型では後部76mm連装砲とバーターに[[可変深度ソナー]]を搭載している<ref name="Russian-Ships"/>。
=== 武器システム ===
[[防空艦]]としての主兵装となるのが[[M-1 ヴォルナ|M-1「ヴォルナ」]][[艦対空ミサイル#艦隊防空ミサイル|艦隊防空ミサイル]]・システムである。これは元来、本型および63型原子力巡洋艦([[スヴェルドロフ級巡洋艦|68bis型]]の派生型; 未成)への搭載を目的に開発されていたにも関わらず、開発が予想以上に順調に進展したことから、本型に先駆けて[[キンダ型巡洋艦|58型ミサイル巡洋艦(キンダ型)]]に搭載されて運用が開始されていたものであり<ref name="His09">{{Cite journal|和書|author=Polutov Andrey V.|year=2008|month=12|title=ソ連/ロシア巡洋艦建造史(第9回)|journal=世界の艦船|issue=699|pages=156-161|publisher=海人社|naid=40016306150}}</ref>、本型では、各16発のミサイルを収容するZIF-101連装発射機が2基、艦の前後の上部構造物上に設置された。また[[射撃管制装置|ミサイル射撃指揮装置(GMFCS)]]としては4R90「ヤタガン」が2基搭載された<ref name="Russian-Ships"/>。
一方、[[対潜艦]]としての主兵装となる[[対潜兵器]]としては、[[対潜迫撃砲|対潜ロケット砲]]([[RBU-6000]]と[[RBU-1000]])および[[:ru:ПТА-53_(торпедный_аппарат)|PTA-53-61]] 5連装533mm[[魚雷発射管]]が用いられる。ただし、後の世代の大型対潜艦では必須装備となる[[対潜ミサイル]]は搭載していなかった<ref name="Russian-Ships"/>。
上記のとおり、当初規定された主任務には対水上戦が含まれていなかったこともあり、当初は[[艦対艦ミサイル]]は備えていなかった。しかしその後、61M型および61MP型においては[[P-15 (ミサイル)|P-15M テルミート]]、01090型においては[[Kh-35 (ミサイル)|3M24「ウラン」]]と、短射程型の艦対艦ミサイルが4発搭載されている<ref name="Russian-Ships"/>。
なお61M型および61MP型においては、艦尾に[[飛行甲板#ヘリコプター甲板|ヘリコプター甲板]]が設けられているが、[[ハンガー (航空)|ハンガー]]は設けられていない。
== 配備 ==
ソ連海軍向けとしては、[[1959年]]から[[1973年]]にかけて下記の20隻が建造され、順次に就役した。なお建造番号が1700番台の艦は[[ムィコラーイウ]]の第445造船所、750番台の艦は[[レニングラード]]の第190造船所で建造されている。
{| class="sortable wikitable" style="font-size:smaller;"
|+ 同型艦一覧
|-
!#||艦名||起工||竣工||配属||除籍
|-
|1701
|[[コムソモーレツ・ウクライーヌィ_(大型対潜艦)|コムソモーレツ・ウクライーヌィ]]<br>({{lang|ru|«Комсомолец Украины»}}
|1959年 9月||1962年12月||[[黒海艦隊]]
|1991年 6月
|-
|1702
|[[ソオブラジーテリヌイ_(大型対潜艦)|ソオブラジーテリヌイ]]<br>{{lang|ru|«Сообразительный»}}
|1960年 7月||1963年12月
|黒海艦隊<br />→ [[北方艦隊]]
|1992年 3月
|-
|1703
|[[プロヴォールヌイ_(大型対潜艦)|プロヴォールヌイ]]<br>{{lang|ru|«Проворный»}}
|1961年10月||1964年12月
|黒海艦隊
|1990年 8月
|-
|1704
|[[オトヴァージュヌイ_(大型対潜艦)|オトヴァージュヌイ]]<br>{{lang|ru|«Отважный»}}
|1963年 8月||1965年12月
|黒海艦隊
|1974年11月、事故により喪失
|-
|1705
|[[ストローイヌイ_(大型対潜艦)|ストローイヌイ]]<br>{{lang|ru|«Стройный»}}
|1964年 3月||1966年12月
|北方艦隊
|1990年 4月
|-
|1706
|[[クラースヌイ・カフカース_(大型対潜艦)|クラースヌイ・カフカース]]<br />{{lang|ru|«Красный Кавказ»}}
|1964年11月||1967年9月
|黒海艦隊
|1998年 5月
|-
|1707
|[[レシーテリヌイ_(大型対潜艦)|レシーテリヌイ]]<br />{{lang|ru|«Решительный»}}
|1965年 6月||1967年12月
|北方艦隊
|1993年 2月
|-
|1708
|[[スムィシュリョーヌイ_(大型対潜艦)|スムィシュリョーヌイ]]<br />{{lang|ru|«Смышленый»}}
|1965年 8月||1968年 9月
|黒海艦隊<br />→ バルチック艦隊
|1988年 3月
|-
|1709
|[[ストローギイ_(大型対潜艦)|ストローギイ]]<br />{{lang|ru|«Строгий»}}
|1966年 2月||1968年12月
|太平洋艦隊
|1993年 6月
|-
|1710
|[[スメトリーヴイ_(大型対潜艦)|スメトリーヴイ]]<br />{{lang|ru|«Сметливый»}}
|1966年 7月||1969年9月
|黒海艦隊
|就役中
|-
|1711
|[[スメールイ_(大型対潜艦)|スメールイ]]<br />{{lang|ru|«Смелый»}}
|1966年11月||1969年12月
|黒海艦隊<br />→ バルチック艦隊
|[[1988年]][[1月19日]]、[[ポーランド海軍]]で「[[ワルシャワ (ミサイル巡洋艦)|ワルシャワ]]」として再就役
|-
|1712
|[[クラースヌイ・クルィーム_(大型対潜艦)|クラースヌイ・クルィーム]]<br />{{lang|ru|«Красный Крым»}}
|1968年 2月||1970年10月
|黒海艦隊
|1993年 6月
|-
|1713
|[[スポソーブヌイ_(大型対潜艦)|スポソーブヌイ]]<br />{{lang|ru|«Способный»}}
|1969年 3月||1971年 9月
|太平洋艦隊
|1993年 1月
|-
|1714
|[[スコールイ_(大型対潜艦)|スコールイ]]<br />{{lang|ru|«Скорый»}}
|1970年 4月||1972年 9月
|黒海艦隊
|1997年11月
|-
|1715
|[[ズデールジャンヌイ_(大型対潜艦)|ズデールジャンヌイ]]<br>{{lang|ru|«Сдержанный»}}
|1971年 3月||1973年12月
|黒海艦隊
|1991年 5月
|-
|751
|[[オグネヴォイ_(大型対潜艦)|オグネヴォーイ]]<br>{{lang|ru|«Огневой»}}
|1962年 5月||1964年12月
|バルチック艦隊<br />→ 北方艦隊
|1989年 4月
|-
|752
|[[オブラスツォーヴイ_(大型対潜艦)|オブラスツォーヴイ]]<br>{{lang|ru|«Образцовый»}}
|1963年 7月||1965年 9月
|[[バルチック艦隊]]<br />→ 北方艦隊
|1993年 6月
|-
|753
|[[オダリョーンヌイ_(大型対潜艦)|オダリョーンヌイ]]<br>{{lang|ru|«Одаренный»}}
|1963年 1月||1965年12月
|北方艦隊<br />→ [[太平洋艦隊 (ロシア海軍)|太平洋艦隊]]
|1990年4月
|-
|754
|[[スラーヴヌイ_(大型対潜艦)|スラーヴヌイ]]<br />{{lang|ru|«Славный»}}
|rowspan="2"|1964年 7月||1966年 9月
|バルチック艦隊
|1991年 6月
|-
|755
|[[ステレグーシチイ_(大型対潜艦)|ステレグーシチイ]]<br />{{lang|ru|«Стерегущий»}}
|1966年12月
|太平洋艦隊
|1993年 6月
|}
「ズデールジャンヌイ」は61M型として建造されており、また後に6隻がこれに準じた61MP型として改装されている。また[[1970年代]]後半、「プロヴォールヌイ」は61E号計画に基づき、「ヴォルナー」を撤去して[[3K90 ウラガーン|3K90「ウラガーン」]]を搭載する改修を受けている。
この他、[[1980年代]]、 61-M・61-MP型をもとにハンガーを常設するとともに電子機器を強化した改良型として61ME型が5隻建造され、[[インド海軍に]]おいて[[ラージプート級駆逐艦]]として就役した。
== 脚注 ==
<references group="脚注"/>
== 参考文献 ==
{{Reflist}}
== 外部リンク ==
121 ⟶ 239行目:
{{大型対潜艦|61}}
{{DEFAULTSORT:かしんかた}}
[[Category:ソビエト連邦の大型対潜艦]]
[[Category:ロシア連邦の大型対潜艦]]
[[Category:NATOコードネーム]]
{{Link FA|pl}}
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