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'''マルマライ計画'''(マルマライけいかく、Marmaray project)は[[ボスポラス海峡]]を横断する海底鉄道[[トンネル]]により、[[イスタンブル]]の[[ヨーロッパ]]側と[[アジア]]側を接続する計画の名称である。'''Marmaray'''の名称は計画区域のすぐ南にある[[マルマラ海]] ('''Marmara''') と、[[トルコ語]]で鉄道を意味する'''ray'''の[[ポートマントー]](混成語)である。
 
== 計画 ==
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事業区間はボスポラス海峡下を[[沈埋トンネル]](ボスポラス海峡横断トンネル)によって横断する13.6 kmの区間と、既存設備を改良する63 kmの郊外区間に分けられ、[[ゲブゼ]]‐[[ハルカル]]間、計76.3 kmは高頻度運転路線となる予定である。[[日本]]の[[大成建設]]と現地トルコのガマ重工業、ヌロール社の3社による[[共同企業体|JV]]で<ref name="建設通信新聞">{{Cite news|author=|authorlink=|url=|title=ボスポラス横断トンネル、29日開通式典|newspaper = 建設通信新聞|publisher = 日刊建設通信新聞社|date = 2013年10月11日|accessdate = }}</ref>、高度な技術を必要とする沈埋トンネル部分を主に大成建設が、近隣対策が必要な郊外部分を主にガマ重工業およびヌロール社が施工している。
 
=== トンネル計画 ===
海峡区間は、11個の函を組み立てた全長1,387mの[[沈埋トンネル]]により横断する<ref name="taisei">[http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2011/1294369103285.html 大成建設 | プレスリリース - ボスポラス海峡横断鉄道トンネル貫通] 2012年1月30日閲覧。</ref>。これらの函はもっとも深いところで海面下約60mの場所に置かれる。海水部分が55m、海底部分が4.6mである<ref name="Julian">Smith Julian, [http://www.wired.com/science/planetearth/magazine/15-09/ff_quake "The Big Dig" ''Wired Magazine.'' Sept. 2007]</ref><!--前記ページの下部の図面と一致しないような-->。世界有数といわれる[[海流速]](約2.5m5m/秒)という厳しい条件下での施工であったが、[[2004年]]5月に着工し、2008年8月には海中60mでの沈埋函接続を、2010年2月には海底トンネル([[沈埋工法]])とアジア側のアイルルクチェシュメから掘られた陸地トンネル([[シールド工法]]・[[NATM工法]])との接続をそれぞれ成功させた。2011年2月にはヨーロッパ側のカズルチェシュメから掘られたトンネルとも接合され、トンネル全体が貫通した。
 
なお、海底トンネル沈設完了の公式セレモニーは[[2008年]][[10月13日]]に<ref name="railwaygazette.com">[http://web.archive.org/web/20081026100601/http://www.railwaygazette.com/news_view/article/2008/10/8948/marmaray_tunnel_completed.html]</ref>貫通記念セレモニーは[[2011年]][[2月26日]]にそれぞれ執り行われた<ref name="taisei"/><ref group="注釈">貫通式典には同国の[[レジェップ・タイイップ・エルドアン]]首相など政府要人も駆けつけており、このプロジェクトの重要性が窺える。</ref>。
 
=== 鉄道計画 ===
地下駅として<!--[[-->ユスキュダル駅<!--]]-->(新設)、[[シルケジ駅]]、<!--[[-->イェニカプ駅<!--]]-->が建設され、37駅は改築あるいは改装される<ref name="ff">[http://www.marmaray.com/html/technical.html Facts and figures], web page at the Marmaray web site. 2007年9月24日閲覧。</ref><ref name="tt">[http://www.marmaray.com/html/gen_travel.html Travel time and alignment], web page at the Marmaray web site. 2007年9月24日閲覧。</ref>。イェニカプ駅では[[イスタンブル地下鉄]]および[[イスタンブルLRT|ライトレール]]と接続予定である<ref>[http://www.urbanrail.net/eu/ist/istanbul.htm Istanbul], web page at urbanrail.net. 2008年9月4日閲覧。</ref><ref>[http://www.marmaray.com/html/gen_istanbul.html Istanbul Metro and LRT], web page at the Marmaray web site. 2007年9月24日閲覧。</ref>。郊外線の改良区間では3線目の線路が追加され、両方向とも輸送能力が 7万5000人/時に増やされる。ゲブゼ‐ハルカル間を104分で結ぶ予定である<ref name="tt" />。
 
[[2013年]][[8月4日]]に、試運転が始まり、トルコ共和国建国から90周年に当たる2013年[[10月29日]]に開業し、開業記念式典・開通式典には日本の[[安倍晋三]]内閣総理大臣も出席した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131029/plc13102908410004-n1.htm 日-トルコ「友情のシンボルに」 首相、ボスポラス海峡横断地下鉄開通で祝辞]</ref>。
 
完成すると、イスタンブルでの公共交通の鉄道利用率が3.6%から27.7%に上昇し、[[東京]]の60%、[[ニューヨーク]]の31%に次いで世界第3位になるとされている。従前フェリーで30分間かかっていた海峡間の移動は、4分に短縮される<ref name="建設通信新聞" />。
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全長 22m のステンレス車は5両編成または10両編成で組成される。現代ロテムとトルコの車両製造メーカー[[ツヴァサス|TÜVASAŞ]]の合弁会社[[ユーロテム]]により製造される車両もある。車両は3次に渡って製造され、最初の2011年には160両製造され、2014年に完了する予定である。
 
== 工事 ==
=== 遺跡の出土 ===
計画は2010年現在、2年以上の遅れが発生している。この遅れは海底トンネルのヨーロッパ側の終端予定地での[[東ローマ帝国|ビザンティン帝国]]時代の遺跡の発掘が大いに関係している。([[2005年]]に、4世紀の[[コンスタンティノープル]]の港「ポルトゥス・テオドシアクス(Portus Theodosiacus テオドシウス港)」の遺跡を掘り当てた<ref name="Julian157">Smith Julian, 前掲誌 p. 157.</ref>。)<!-- 研究者達はこれまでに発見された船がビザンチン様式の海軍艦艇だけであるように見えることを回復し、建設計画がフルスピードで実施されることを妨げている。{{要出典|2008年8月}}<!--原文 Researchers are recovering what appears to be the only Byzantine naval vessel ever discovered, preventing the project from proceeding at full speed. 初版注:個人的には後段はわかるが、前段がよく分からない(特に、recoverが出てくること)-->さらに発掘により、[[アンフォラ]]を含む古器物加工品、陶器の欠片、貝殻、骨、馬の頭蓋骨、袋の中に入った9つの人間の頭蓋骨等、イスタンブルにおける定住の最古の証拠が掘り出され、紀元前5000年より前から人間がイスタンブルに住んでいたことが分かった<ref>Smith Julian, 前掲誌 p. 159.</ref>。<!-- 建設工事の遅れによりトルコ政府は1日あたり100万ドルの収入が減るが、政府はその遺跡を破壊する余裕がない。{{要出典|date=2008年8月}}-->
 
=== 工事中の地震対策 ===
トンネルは[[北アナトリア断層]]から18kmしか離れていないため、心配する技術者や地震学者もいる。1万人以上が死亡した巨大地震が知られているだけでも2桁は発生している。<!-- http://iisee.kenken.go.jp/utsu/ の検索結果で確認-->30年以内にマグニチュード7.0以上の地震に見舞われる可能性が最大77%になると科学者により見積もられている<ref>[http://quake.wr.usgs.gov/research/deformation/modeling/papers/istanbul.html Heightened odds of large earthquakes near Istanbul: An interaction-based probability calculation], web page at the USGS web site. 2008年9月6日閲覧。([http://quake.wr.usgs.gov/research/deformation/modeling/papers/parsons2000japanese/parsonsetal2000jap.pdf 日本語版PDFファイル])</ref>。トンネルが建設される場所の下の水を多く含み泥のような土壌は地震で液状化することが知られており、技術者は安定にするために海底下24mに工業用[[セメント]]を注入している<ref>[http://www.ita-aites.org/cms/fileadmin/filemounts/general/pdf/ItaAssociation/ProductAndPublication/OpenSession/OS_2005_MarmaraFVDK.pdf PowerPoint Slide (PDF file, p. 6)], web page at the ita-aites web site. 2008年9月6日閲覧。<!--見られない場合は http://www.ita-aites.org/cms/en/ita-aites-home/publications/ita-wtc-open-sessions/major-subsea-tunnels.html から--></ref>。トンネルの壁面は防水コンクリートと鋼鉄のシェルでできており、それぞれが独立して水の浸透を防ぐ。地震が発生した場合に、高層建築物のように曲がるように造られている。壁が壊れた場合には、函の接続部にある[[水門]]が閉まり、水を隔離できる<ref>Smith Julian, 前掲誌 p. 158.</ref>。