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== 法律による定義 ==
日本では牛乳について、[[食品衛生法]]の乳および乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)いわゆる'''乳等省令'''で定めている。それによると「直接飲用に供する目的又はこれを原料とした食品の製造若しくは加工の用に供する目的で販売(不特定又は多数の者に対する販売以外の授与を含む(略))する牛の乳」を牛乳としている。
 
添加物、成分調整の有無によって大まかには次のように分類される。
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=== 商品名として ===
以前は、加工乳や乳飲料であっても一定以上の成分(無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分3.0%以上、生乳50%以上)が含まれていれば、商品名に「牛乳」という名称を使用できたが(濃厚牛乳、カルシウム牛乳、[[コーヒー牛乳]]など)、[[2000年]](平成12年)の[[雪印集団食中毒事件]]をきっかけに、消費者から「ややこしい」という声が起こり、[[2001年]](平成13年)に[[公正競争規約]]が改正され、生乳を100%使用していないものは「牛乳」とは名乗れなくなった(2年間の経過措置あり)。この結果、商品名から「牛乳」を外したり、「ミルク」への言い換えなどを余儀なくされ、コーヒー牛乳は「コーヒーミルク」「[[カフェ・オ・レ]]」「[[カフェ・ラテ]]」またはただの「コーヒー」などに商品名を変更した。<!--この時、一部マスコミで「コーヒー牛乳が無くなる」と騒がれた-->[http://www.chugoku-np.co.jp/Nie/question36.html]
 
 
== 処理方法 ==
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; 高温短時間殺菌(HTST法)
: 摂氏72度から78度で15秒間程度殺菌する方法。
LTLT法およびHTST法による牛乳は、'''パスチャライズド牛乳'''('''パス乳''')と称されることがある。これは、[[フランス]]の細菌学者[[ルイ・パスツール]]が開発した[[加熱殺菌法]]([[パスチャライゼーション]])を行った牛乳という意味である。
 
非耐熱性の菌は基本的に死滅するが、一部の耐熱性の菌は残存するので、後述する方法に比べ、期限表示(ほとんどが[[消費期限]])は短め(4 - 6日程度)になる。一方で、タンパク質の[[熱変性]]は抑えられるので、牛乳本来の風味を損なうことが少ない<ref>{{cite web
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}}</ref>。
 
LTLT法およびHTST法は、欧米の市販牛乳の主流といわれているが、殺菌工程に時間がかかることや良質の原乳が必要となるため、日本では全国規模の大手の乳業メーカはほとんど手がけておらず、農協系を中心とした地場ローカルメーカの一部商品や観光牧場で販売されている商品で、限定的に行われているだけである。ヨーロッパでは[[イギリス]]、[[フィンランド]]、[[スウェーデン]]、[[ギリシャ]]、[[デンマーク]]などでの主流である<ref name="syuryu">{{cite web
| title = The UHT route to long-life planet
| publisher = Times Online
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; UHT滅菌法
: 摂氏135度から150度で1秒間から3秒間UHT法で殺菌し、気密性の高い[[アルミニウム|アルミ]]コーティング紙パックや[[プラスチック]]容器などに無菌的に充填包装する方法。この方法によって生産された牛乳は'''[[ロングライフ牛乳]]'''(LL牛乳)と呼ばれ、未開封の状態で長期間(3ヶ月間程度)常温保存可能とされている。ただし、日本ではプラスチック容器入り牛乳は、[[2010年]](平成22年)時点では商品化されていない。2007年10月の法令改正によって牛乳の容器にペットボトルを使うことが可能になったが、同じペットボトルで販売される清涼飲料水と異なり、飲み残しの持ち歩きによる微生物繁殖のリスクや、新たな製造ラインの新設に莫大な費用がかかるためと言われている<ref>[http://www.asahi.com/edu/nie/tamate/kiji/TKY200803040306.html ペットボトルの牛乳なぜないの? ののちゃんのDO科学(朝日新聞)]</ref> 。
UHT法およびUHT滅菌法では、LTLT法およびHTST法に比べ殺菌の効果・効率ともに高い。<!--反面、ホエータンパク質の熱変成など本来の牛乳の栄養が著しく損なわれているという見方がある。--><!--[[沸点]]を超えた高温をかけるため、--><!--コメントアウトの理由:加圧化で行われるので沸騰しない。そもそも沸点を超えるかどうかは、被滅菌物の成分がどう変化するかどうかと直接関係ない--><!--タンパク質中の[[システイン]]や[[メチオニン]]が分解し{{要出典}}、[[硫化水素]]や[[ジメチルスルフィド]]などの物質が出現し{{要出典}}、-->
 
LTLT法では、一定量の牛乳を[[タンク]]等に入れ、加温の後一定温度に保持する[[バッチ]]方式の殺菌機械が主流であるが、それ以外では細管を通しながら[[蒸気]]と[[熱交換]]する方法や、成型されたプレートの間に牛乳を流して熱交換する方法(連続方式)が採られる。また近年では、LTLT法でも熱交換方式による方法が開発されている。
 
UHT法およびUHT滅菌法とLTLT法およびHTST法とでは製品としての牛乳の風味に若干の差異があるが、優劣というよりは好みの問題である。また、UHT法およびUHT滅菌法では失われる栄養素がLTLT法およびHTST法では失われないとされるが、双方の成分の違いによる人体に対する影響に有意な差が存在するとした研究は存在しない。一般にUHT法およびUHT滅菌法よりLTLT法およびHTST法の方が流通まで含めれば高コストとなるため、そのコストを付加価値と思わせるための宣伝であることがほとんどである。
 
== 販売方法 ==
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; 牛乳・乳製品に含まれる女性ホルモンはヒトの内分泌系に少なからぬダメージを与えている。
: 主として先進国で酪農の産業化のために70年ほど前から始まった妊娠牛からの搾乳により、現在市販されている牛乳の乳漿中のエストロゲン、プロゲステロン濃度は極めて高い状態となっている。女性ホルモン濃度は、妊娠していない牛から搾乳された牛乳に比べてエストロゲンで約2倍、プロゲステロンで6 - 8倍である。これらの過剰な女性ホルモンはヒトの免疫機能を低下させるため、感染症への抵抗力を落とす。また月経障害、生殖機能低下を招き、各種アレルギー反応を助長する。女性ホルモンによる影響は牛乳および全ての乳製品の摂取に拠る(角田(2001)参照)<ref>[http://homepage2.nifty.com/smark/Milk-EST.htm]</ref>。
: しかし、妊娠牛からの乳であっても女性ホルモンの含有量は1,000pg/mlであり、他の食品と比較して多いわけではない。例えば大豆における大豆イソフラボンの含有量は1.4mg/g(1400,000,000pg/g)程度あり、このうち半分程度が女性ホルモンとして扱われる状態に変化する。
; 牛乳に含まれる[[乳糖]]([[ラクトース]])を分解する酵素([[ラクターゼ]])を持たないヒトは、摂取によって軟便、下痢などが引き起こされる。
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{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
* The American Academy of Pediatricians 「[http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/002448.htm 乳児の牛乳摂取に対する声明文(原文)]」 Medical Encyclopedia
* 鈴木一郎 「[http://lin.lin.go.jp/alic/month/dome/1993/jul/nyutou.htm 牛乳を飲めない人のために-乳糖不耐症について-]」 農林水産省畜産試験場、1993年7月。
* 外山利通 「牛乳はこんなに体に悪い」『新潮45』6月号、[[新潮社]]、2001年。
** 佐藤憲雄、五十嵐太乙 「[http://www.maff.go.jp/www/houdo/houdo/130523gyu.htm 『牛乳はこんなに身体に悪い』(新潮45 6月号)に対する農林水産省の申し入れについて]」農林水産省、2001年5月23日。
* [[独立行政法人]]農林水産消費技術センター「[http://www.cfqlcs.go.jp/administrative_information/public_relations_magazine/kouhousi/science_of_food/fs19.htm 食のサイエンス(乳関連飲料)]」
* 「[http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/qa/alt/altqa020214.htm 消費者相談Q&A]」農林水産省、2002年2月。
* 「[http://www.yotsuba.co.jp/magazine/science/kouza01/kouza01b.html よつ葉マガジン-ミルクのサイエンスNEWS]」[[よつ葉乳業]]
* 佐藤章夫 「[http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/japanesemilk.html 日本人と牛乳]」『産業医学ジャーナル』2005年9月号
 
== 関連項目 ==
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* [[美味しんぼ]] - 高温殺菌について誤解を含む表記を行う等して抗議を受ける
* [[新谷弘実]] - 著書で牛乳有害論を展開、話題となる。
 
== 参考文献 ==
* The American Academy of Pediatricians 「[http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/002448.htm 乳児の牛乳摂取に対する声明文(原文)]」 Medical Encyclopedia
* 鈴木一郎 「[http://lin.lin.go.jp/alic/month/dome/1993/jul/nyutou.htm 牛乳を飲めない人のために-乳糖不耐症について-]」 農林水産省畜産試験場、1993年7月。
* 外山利通 「牛乳はこんなに体に悪い」『新潮45』6月号、[[新潮社]]、2001年。
** 佐藤憲雄、五十嵐太乙 「[http://www.maff.go.jp/www/houdo/houdo/130523gyu.htm 『牛乳はこんなに身体に悪い』(新潮45 6月号)に対する農林水産省の申し入れについて]」農林水産省、2001年5月23日。
* [[独立行政法人]]農林水産消費技術センター「[http://www.cfqlcs.go.jp/administrative_information/public_relations_magazine/kouhousi/science_of_food/fs19.htm 食のサイエンス(乳関連飲料)]」
* 「[http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/qa/alt/altqa020214.htm 消費者相談Q&A]」農林水産省、2002年2月。
* 「[http://www.yotsuba.co.jp/magazine/science/kouza01/kouza01b.html よつ葉マガジン-ミルクのサイエンスNEWS]」[[よつ葉乳業]]
* 佐藤章夫 「[http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/japanesemilk.html 日本人と牛乳]」『産業医学ジャーナル』2005年9月号
 
== 外部リンク ==
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{{DEFAULTSORT:きゆうにゆう}}
 
[[Category:牛乳|*]]