「強行採決」の版間の差分

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一方の議院で可決してももう一方の議院で可決できないまま会期終了すると国会の議決とならないため、法案成立のためには[[衆議院の再議決]]するための[[みなし否決]]の60日間、予算成立や条約承認のために[[自然成立]]する30日間の日数が必要なため、会期日数を考慮して衆議院で強行採決をする場合がある。特にいわゆる[[ねじれ国会]]の場合は与党による参議院での強行採決が不可能なため、会期日数を考慮に入れて衆議院における委員会と本会議での採決日が決められる。
 
きょうこうさい===評価===
強行採決を批判する立場からすると、少数派議員にとっては国民の持つ主権の至上性を代表している議員の名誉に対する極端な冒涜であり、多数派のなかの反対議員に対して行われる[[党議拘束]]とともに代表民主政治(間接民主政治)を否定する[[数の暴力]]の典型、となる。一方で審議の後に多数決で立法を決定する手続きは議会政治の基本であり、審議とはあくまでも意見の発表の場であり少数派が納得するまで続けよなどとする要求は会期制をとる議会の議会運営を無理に難しくするもので、少なくとも憲法典が多数決による法案採否を前提としている以上「強行」と批判的に表現すること自体には法的効果はない。また少数派は多数派の譲歩や妥協を得るための交渉を禁じられているわけではなく、また議員や投票有権者に説得を続けることで多数派を形成し自らの理念の立法化を目指すのが本筋であるという対立意見も存在する。[[党議拘束]]については政治的拘束にすぎず、これに反して自由投票を行うことが法律上禁じられているわけではないので、不満であれば離党を覚悟して自らの意志で投票すればよいとの主張もしばしば見られる。
 
命令委任の観点<ref>たとえば[[アメリカ合衆国大統領選挙]]における[[アメリカ合衆国大統領選挙#大統領選挙人|大統領選挙人]]は有権者団から選出された代表であり、自らの意志で大統領に投票することが認められている。彼らは評議員(議員)ではなく、代表同士での理性的な対話や互譲や合意を得ることは期待されていない。また、通常は立候補のさいに自らが投票する大統領候補を宣言・宣誓し、大統領選挙人に選出されたあとは有権者団の代表として宣言・宣誓に従い投票をおこなう。</ref>では個々の議員は有権者団の結論の仮の投票者にすぎないため、「強行」採決には倫理上の問題は生じず「強行」と表現されることもない。日本の国会議員は自由委任と解される(憲法43条)が半代表の主張も有力である([[国民主権]]も参照)。判例では強行採決による立法過程が法律の効力に影響を与えることは無いと判示している<ref>「所定の手続きにのっとって可決成立した法律の効力が国会における審議の内容、経過によって左右される余地はない」(最高裁大法廷平成16年1月14日民集58巻1号1頁)『選挙規程・立法過程・司法審査に関する試論』山岸敬子(中京法学42巻3・4号2008年)[http://www.chukyo-u.ac.jp/educate/law/academic/hougaku/data/42/3=4/yamagishi.pdf]PDF-P.3</ref>。
 
ただし、近年は日本も二大政党政治に移行している。この場合、野党側としては、与党の政策を批判して、明確な対立的立場を表明する方が次期の選挙において有利なため、特に重要な案件では、与党側の立案に賛成しない傾向が増えてきているため、こぞって、審議が野党の合意を取り付けないまま採決に至る「強行」が増えてきている。近年の例としてはでは[[犯罪捜査のための通信傍受に関する法律|通信傍受法]]案([[1999年]])、[[イラク特措法]]案([[2003年]])、[[国民年金法]]改定案([[2004年]])、[[特定秘密保護法]]案([[2013年]])の採決などがあげられる。
 
一方、野党が採決で議題を否決しようとせず最初から[[採決]]そのものを否定するのは、議案を可決することによる問題点を審議過程で野党が明らかにしても、ほとんどの場合、与党の[[党議拘束]]に基づく[[数の論理]]を背景に議案が可決されるためである<ref>よって、与党議員の造反が見込める場合は、野党が強行採決を批判せずに本会議の採決で否決しようとすることもある。数少ない具体例の1つとしては、いわゆる[[郵政国会]]における[[郵政民営化法]]案の採決([[2005年]])が挙げられる。</ref>。このため、与党議員への造反工作をほとんど行わずに議事妨害に終始していることから、野党の対応への批判もある。