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en:Euclidean_vector#History (22:42, 14 November 2013‎ UTC)を翻訳
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</math>
このとき、空間内の点 ''Q'' に対して ''Q'' = ''P''('''v''') となるベクトル '''v''' を点 ''Q'' の'''位置ベクトル'''と呼ぶ。
==歴史==
今日我々が知っているベクトルの概念は、およそ200年もの時間を掛けて徐々に形成されてきたものである。そこでは何十人もの人々が重要な役割を果たしてきた<ref name="Crowe">Michael J. Crowe, [[A History of Vector Analysis]]; see also his [http://web.archive.org/web/20040126161844/http://www.nku.edu/~curtin/crowe_oresme.pdf lecture notes] on the subject.</ref>。ベクトルの先祖は[[四元数]]であり、ハミルトンが1843年に複素数の一般化によって考案したものである。ハミルトンは最初に、二次元における複素数と複素平面のような関係を満たすような数を三次元空間にも見いだそうとしたが失敗し、最終的に四次元(数が4組)の四元数へとたどり着くこととなった。ハミルトンは1846年に四元数の複素数における実部と虚部に相当するものとしてスカラーとベクトルという用語を導入した(今日の用法とは異なることに注意されたい):
 
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代数的な虚部(ベクトル)は、幾何的には直線または半径ベクトルであり、それらは一般的には、各々の四元数によって決定され、空間における向きと長さが定まり、それをベクトル部(虚部)または単に四元数のベクトルと呼ぶ<ref>W. R. Hamilton (1846) ''London, Edinburgh & Dublin Philosophical Magazine'' 3rd series 29 27</ref>。
 
{{仮リンク|ベラヴィティス|en|Giusto Bellavitis}}、コーシー、グラスマン、メビウス、{{仮リンク|セイントベナント|en|Comte de Saint-Venant}}、{{仮リンク|マシュー・オブライエン|en|Matthew O'Brien (mathematician)}}といったハミルトン以外の何人かの数学者たちは同時期にベクトルに似た概念を開発した。グラスマンの1840年の論文「Theorie der Ebbe und Flut」(減衰と流れの理論)は空間解析の最初の体系であって、今日の体系と類似したものであり、今日の外積、内積、ベクトルの微分に相当する概念が含まれていた。グラスマンの業績は1870年代まで不当に無視され続けていた<ref name="Crowe"/>。
 
{{仮リンク|ピーター・テイト|en|Peter Guthrie Tait}}はハミルトンの後に四元数の基礎を確立した。テイトの1867年の「Elementary Treatise of Quaternions」(四元数の初等的理論)には今日の∇(ナブラ)演算子に相当する概念が含まれていた。
 
{{仮リンク|ウィリアム・クリフォード|en|William Kingdon Clifford}}は1878年に{{仮リンク|力学原論|en|Elements of Dynamic}}を出版した。ここでクリフォードは完備四元数積(complete quaternion product)から今日の二つのベクトルの外積、内積に相当する概念を抽出した。このアプローチは四次元の実在に疑念を抱いている技術者などの人々にベクトル解析を通じて三次元空間の解析を行う手段を提供したといえる。
 
[[ウィラード・ギブス|ギブス]]は、四元数ベースで書かれていた[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル|マクスウェル]]の電磁気学の著書、「Treatise on Electricity and Magnetism」を現代的なベクトル解析を用いたものに書き直した。ギブスはベクトル解析の専門書「Elements of Vector Analysis」の最初の分冊を1881年に出版したが、ここでは今日用いられているベクトル解析の基本概念が概ね確立されているといえる<ref name="Crowe" />。
{{仮リンク|エドウィン・ウィルソン|en|Edwin Bidwell Wilson}}が1901年に出版した「Vector Analysis」はギブスの講義を元に書かれており、四元数の名残を完全に抹消し今日のベクトル解析を確立した最初の著作であるといえる。
 
==参考文献==
<references />
 
==関連項目==