「肉質虫」の版間の差分

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[[肉質虫]](Sarcodina)は、原生動物の最上位の分類単位の一つとして使われた言葉である。運動の仕組みとして、[[原形質流動]]に伴う細胞の変形によって[[偽足]]を形成する。[[繊毛]]は持たず、[[鞭毛]]は一時的に持つものもある。中には変形する細胞と鞭毛を共に持つものがあり、この類と[[鞭毛虫]]をまとめて肉質鞭毛虫類などとすることもある。
 
典型的かつ最も有名なのは[[アメーバ]]である。裸の細胞で、細胞が変形して、その内部が流れるようにして移動する。この運動を[[アメーバ運動]]と言い、その際に生じる移動方向に伸ばされた細胞の突出部を偽足あるいは仮足という。
 
[[根足虫]](Rhizopoda)という語は、この群を指す言葉としては古くから使われた言葉であったが、以下に述べるように、ここに含まれる群には様々なものがあり、アメーバのイメージからは見かけも偽足の様子も掛け離れたものもある。そこで根足虫をアメーバを含む一群の名とし、全体を含めるには肉質虫(Sarcodina)を用いることもあり、現在ではこちらの使い方をする方が多い。
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放散虫や有孔虫では鞭毛を持つ[[遊走子]]の知られている例がある。
 
== ミトコンドリア ==
生活環の多様性は、これらの群が、実はそれぞれ別の系統であり、肉質虫という群が、様々な系統のものの寄せ集めであることの現れと見ることもできる。それは、他の形質からも推定されている。例えば[[ミトコンドリア]]の形質にもそれが見られる。
 
ミトコンドリアは[[真核生物]]のほとんどすべてが持つ、重要な[[細胞器官]]であり、[[酸素呼吸]]にかかわっているとされる。しかし、原生生物ではミトコンドリアに独特の形質のものが見られることが知られる。例えば、一般にミトコンドリア内膜のひだであるクリステは'''平板状'''であるが、[[ミドリムシ]]や[[トリパノソーマ]]のそれは先が膨らんだ'''団扇状'''になっており、この両者が近縁であることの証拠ともされる。
 
これを肉質虫について見ると、アメーバ類のクリステは平板状である。これに対して、有孔虫類のそれは'''管状'''である。管状クリステは粘菌類や[[繊毛虫]]にも見られ、原生生物にはいくつもの群に見られる形質である。また、アメーバに似た姿のペロミクサには、ミトコンドリアがない。
 
以下に、各群のクリステの形を示す。
 
*ミトコンドリア無し:ペロミクサ
*クリステは平板状:アメーバ類・([[細胞性粘菌|アクラシス類]])・太陽虫
*クリステは管状:粘菌類・有孔虫類・放散虫(多泡類・濃彩類)
 
 
== 分類 ==
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== 分類表 ==
以下にこの類を一つの群と見なした形での分類表を示す。実際にこの形、あるいはこれに近い形が使われる場合もあるが、系統的に意味のあるものとは言えないであろう。広く認められた、安定した体系は未だにない。実際には、ここで目や綱として扱っているものを、独立門と見なす例も多々ある。
 
肉質虫亜門 Sarcodina