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{{出典の明記|date=2010年12月}}
'''エマルジョン燃料'''(エマルジョンねんりょう)は、[[燃料油]]([[重油]]や[[灯油]]・[[軽油]]・[[廃油]]等)に[[水]]と[[界面活性剤]]を添加し、機械的に攪拌してオイル中に水を分散させた[[燃料]]である。ただし、添加剤を用いない場合でもエマルジョン燃料と呼ばれる。用途としてボイラー用に使用されるエマルジョン燃料とジーゼルエンジン用に使用されるエマルジョン燃料の二種類がある。使用燃料が大幅に削減され、燃料が削減された分だけ
== 性状 ==
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=== メカニズム ===
ボイラーで使用されるエマルジョン燃料は、エマルジョン燃料製造装置により、そのボイラーが従来使用していた油に水と界面活性剤を加えてエマルジョン燃料を製造して使用する。A重油を使用しているボイラーはA重油エマルジョンを製造して使用する。エマルジョン燃料はボイラー内でまず水を包んでいる油が燃焼し中の水が急激に沸騰して微爆発を起こす。微爆発を起こして微粒子化した燃料は空気との接触面積が3200倍に増えるので完全燃焼しやすくなる。また、燃料と水の比率が70:30のエマルジョン燃料の場合は、従来の100燃料に比べて燃料は70%なので理論空気量も70%に減らせる。完全燃焼しやすいので過剰空気量も少なくて済み、空気量は100%燃料に比べて
このエマルジョン燃料を内燃機関で着火させると、まず低沸点の水粒子が[[気化]]・[[蒸発]]する。その際、まわりを取り囲む油が飛散し、より細かい径の粒子となる。この油粒子は体積あたりの[[酸素]]と接する面積が大きくなり、局部的な不完全燃焼が少なくなるため燃焼効率が高まりPMの発生量が減少する。同時に、含有する水の影響で内燃機関の[[温度]]が比較的低温となることから、窒素酸化物の発生も抑えられる。水分比25%の軽油エマルジョン燃料で[[ディーゼルエンジン]]を稼動させた実験では、軽油100%と比較して窒素酸化物排出量が60%減少、PMの発生量は90%まで低減された。これにより、排出ガスを浄化する装置への負荷減少にも効果がある。
=== 燃焼効果 ===
エマルジョン燃料は、水を包んでいる外側の油が燃え中の水が急激に沸騰して微爆発することにより微粒子化し、空気との接触面積が飛躍的に増加するために、理論空気量に近い空気量で完全燃焼をして燃焼効率が上がる。燃料の絶対量が減るため、空気量の絶対量もその分だけ減り、過剰空気も少なくて済むことから空気量が
== 現状 ==
ボイラーの燃焼効率や環境負荷物質低減などに最も適した[[混合比率]]は、油分の種類や界面活性剤の選択なども条件にからんでおり、使用目的と使用環境により決定される。一般的には燃料:水は、
また、ジーゼルでは、攪拌機についても内燃機関と直結させるための工夫が進んでおり、実用化で先行している工場での発電機などの据付型から、小型にして[[トラクター]]などのエンジンと一体化させる研究も行われている。
エマルジョン燃料製造装置は、10年前と比較し格段と進歩を遂げ、ボイラーでの不着火や失火は全くなくなっている。24時間自動運転する装置も市場で運用されており、高品質のエマルジョン燃料が確実に製造され
最近では、エマルジョン燃料製造装置を燃料消費者が購入するのではなく、エマルジョン燃料製造プラントにより製造されたエマルジョン燃料を購入して使用するという方式も始まっている。この方式では、中小の燃料消費者は一切の設備投資を必要とせずに燃料経費が削減でき、同時にCO2の削減等環境に寄与できることから注目されている。この方式は、長時間分離しない高品質のエマルジョン燃料が製造できるようになったことにより実現したものである。従来のエマルジョン燃料は、時間の経過とともに油水分離を起こしてしまう低品質なものだった。
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=== 大規模実証実験例 ===
* 山形県東置賜郡川西町JAおきたま花卉栽培ハウス
: 山形県米沢市に建設されたエマルジョン燃料製造プラントから、3年間エマルジョン燃料を配達してもらい、アルストロメリア栽培のハウス3棟でA重油エマルジョン燃料を使用。生燃料使用の前年対比で大幅な燃料経費削減を実現。近隣のハウス栽培農家9件にエマルジョン燃料使用が拡大したが、12月~3月の
=== エマルジョン燃料利用例 ===
エマルジョン燃料製造装置は、
== 関連項目 ==
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