「繰り込み」の版間の差分

(→‎概要: Regularization schemeによる違いの加筆他)
例えば[[量子電磁力学]]において、[[電子]]が(仮想的な)[[光子]]を放出してこれを再び自分で吸収する過程が存在する。これは電子が自身の作る電磁場中において持つ電磁的なエネルギーへの寄与を与え、[[自己エネルギー]]と呼ばれる。また、光子から(仮想的)電子と(仮想的)[[陽電子]]が[[対生成]]し、再結合して[[対消滅]]し光子に戻るという過程も起こる。このように電子の周囲の真空に[[電子]]と[[陽電子]]が絶えず対生成、対消滅していることを[[真空偏極]]という。
 
これらの電磁相互作用による[[輻射補正]]はループを回る粒子の運動量を積分すると無限大に発散する。簡単な例としてスカラー4点理論の、次元正則化法における2点間数の1-loop補正は
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<math>
\Pi(k^2,m_s^2) = \frac{i}{16 \pi^2} m_s^2 \left( \frac{2}{\epsilon} +(1-\gamma) + \log{\frac{m_s^2}{4\pi}} + \mathcal{O}(\epsilon) \right)
</math>
}}
と書ける。ここで<math>k</math> はスカラー場の外線運動量、<math>\gamma</math> はオイラー定数、<math>m_s</math> はスカラー場の質量、 <math>\epsilon</math> は次元正則化においてdの4次元極限で0となる量、ここでは<math>4-d \equiv \epsilon</math> であり、括弧内の末項は4次元極限で消滅する <math>\epsilon</math> の一次以上の項である。ここで括弧内の第一項に発散が現れていることが分かる。この式では左辺は外線運動量の関数として書かれているが右辺は外線運動量を含まない関数系となっている。これはスカラー4点理論特有の結果であり、一般にフェルミオンやベクトル場を含む理論では外線運動量を含む項が右辺に現れる。
しかしこ右辺に現る発散は物理的な発散ではなく計算上現れる余分な発散であり、これらの無限大は電子の[[質量]]や[[結合定数]]などの理論のパラメータの再定義によって取り除くことができる。具体的な方法は、そもそもの場の理論が場、質量、結合定数の値が発散している理論であるパラメータ裸のパラメータ:bare parameter)と)を用いて記述されている理論からスタートて考え裸の理論を物理的なパラメータに対応する部分(くりからまれたパラメータ)と非物理的な発散部分(counter term)切り離すことで物理的な有限理論を取り出し、有限理論くりこまれた量使っ用い輻射量子補正を計算した結果現れる発散から、先に切り離した発散しているcounter termの発散を引くことで発散を相殺させというもの計算法が最も簡単な処方であり(Minimal Subtraction scheme)このような処方をくりこみと呼ぶ例えばスカラー4点理論における二点関数に関しては「裸の」ラグランジアン
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<math>
\mathcal{L}_{B} = \frac{1}{2}\phi_B ( \partial_{\mu}^2 - m_{sB}^2 ) \phi_B -\frac{\lambda}{4!}\phi^4_B
</math>
}}
の裸の質量に関して
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<math>
m^2_{sB} = \frac{Z_m}{\sqrt{Z_{\phi}}} m^2_{sR}\equiv m^2_{sR} + (Z^{1}_{m}-1) m^2_{sR}
</math>
}}
と、くりこまれた有限の質量パラメータ <math>m_{sR}^2</math> を定義することで裸の質量から発散を切り離す。
最右辺の初項がくりこまれた質量パラメータ、二項目がcounter termとなる。Counter termとくりこまれたパラメータで書かれた量子補正による発散の相殺条件の一つとして
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<math>
(Z^{1}_{m}-1) = \frac{i}{16 \pi^2} \frac{2}{\epsilon}
</math>
}}
というくりこみ条件を与えることが出来る(minimal subtraction scheme)。
Minimal Subtraction schemeで発散を取り除いた後のスカラー場の2点関数は1-loopレベルで
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<math>
\Pi(k^2,m_s^2) = \frac{i}{16 \pi^2} m_s^2 \left(1-\gamma + \log{\frac{m_s^2}{4\pi \mu^2}} \right)
</math>
}}
{{Indent|
<math>
\Pi(k^2,m_s^2) = \frac{i}{16 \pi^2} \left(\Lambda^2 + m_s^2 \log{\frac{m_s^2}{4\pi \Lambda^2}} \right)
</math>
}}
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