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Hsugawar (会話 | 投稿記録)
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==== 社会保障 ====
 
社会保障は、アメリカ合衆国内で所得のある国民、永住外国人などすべての納税者が加入しており、所得の一定割合(年間上限額あり)を「社会保障税」として所得税などとともに[[内国歳入庁]]に納付しなければならない直接目的税方式なので、日本の[[年金未納問題|国民年金保険料未納]]のような問題は起きにくい。納付された社会保障税は、国庫とは別会計の社会保障基金で運用・運営される。自営業者は社会保障税を100%自己負担(日本の[[国民年金]]に相当)、会社員は雇用者と折半(日本の[[厚生年金]]に相当)であるが、税率、年間納税上限、退職後の支給額との関係などに差はない。研修(J-1)ビザなどで一時的に滞在する外国人は、国内で所得を得ても社会保障税は免除される
 
満額支給年齢(Full Retirement Age、FRA)は[[2012年]]現在66歳であるが、生年が遅くなるにつれ二ヶ月単位で支給開始年齢が遅くなる(2012年現在、最高67歳まで)。満額支給年齢を待たずに62歳から繰り上げ減額受給(受給開始をFRAから1ヶ月繰り上げるごとに5/9%減額、36ヶ月を超える分は1ヶ月ごとに5/12%減額、最大30%減額)や、70歳まで受給開始を遅らせる繰り下げ加算受給制度(受給開始をFRAから1ヶ月遅らせるごとに2/3%受給額に加算、最大32%加算)もあるが、繰り上げ受給は減額が一生続く以外にもFRA以前に社会保障以外の所得(給与など)を得ている間は減額され、繰り下げ受給は加算分の累計が受給遅延分に追いつくのに繰り下げ期間の長短を問わず実際に受給開始から12年半を要するなどのデメリットがある。ただし、下記に示すように、勤労・事業所得や[[IRA_(アメリカ)|IRA]][[401k|401(k)]]からの引き出しなど社会保障以外に一定額以上の課税所得がある場合は、社会保障受給額の一部が連邦所得税の課税対象となり、また累進課税の効果、未来の税率が予測不可能など、損得勘定にはかなり曖昧で大胆な予想・仮定を含む面倒な計算が必要で、加算分の累積が繰り下げ期間中の得べかりし受給額に追いつく時間だけを以て一概に繰り下げ受給が損または得とは断定できない。

社会保障は、社会保障税を納税してきた本人が障碍者高齢になり退職しとき生活保碍年金や死亡し場合配偶者と未成老齢遺族に支払われ金が基本であ[[遺族年金]]未成年(18歳未満)以下実子・養子に対して支払われる手当てような様々な保障も社会保障の一部である。
*本人が[[障害者|障碍者]]になったときの[[障害年金|障碍年金]]
*本人が死亡した場合の配偶者と未成年遺族に支払われる[[遺族年金]]
*未成年(18歳未満)で未婚の実子・養子に対する養育年金(18~19歳の[[中等教育]]以下の教育課程にフルタイムで在籍の子、22歳以前に発症した18歳以上の障碍者の子を含む)
*夫婦の一方が少額あるいはゼロ社会保障受給の場合、他方の配偶者の社会保障受給額の半分と本人の受給額のどちらか高額を支給する配偶者年金(年齢、結婚期間などの条件あり。離婚した元配偶者にも一定の条件で適用)
 
日本の厚生年金の受給開始年齢の男女差のような性別にかかわる差別は一切ない。
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支給金額(Primary Insurance Amount、PIA)は、過去に納付した社会保障税の対象所得金額と加入期間で計算される「平均補正月収(Average Indexed Monthly Earnings、AIME)」によって決まる。2013年現在の支給金額の計算方法の概要は以下のとおり。
#受給開始前の35年間の社会保障税対象所得金額(所得を得た年が36年以上ある場合は上位金額の35年)を選ぶ(各年度の上限金額あり)
#各年度の所得金額に物価上昇分を[[補正]]するための古い年ほど大きくなる重み係数(例えば[[1952年]]の所得は14.46倍)を乗じで合計する
#上記合計金額を420カ月(35年)で除した金額がその人の「平均補正月収」(日本の厚生年金の「標準報酬額」に相当)になる
#上記平均月収額の最初の791ドルの90%、次(791ドルを超える分)の3,977ドルの32%、4,768(791+3,977)ドルを超える分の15%を和したものが支給額(最初の「35年間の所得金額」の各年度に上限金額があるので「平均補正月収」も上限額があり、支給額が[[青天井]]になることはない)
 
日本の[[老齢基礎年金]]のように、所得に関係なく毎月一定の保険料を納付し続け、支給金額は保険料の支払い回数に完全正比例で決まる、言わば積み立て型の年金額計算とは'''違い'''、生涯労働年数35年をモデルとした[[所得保障]]指向である(ただし、日本の国民年金が40年で保険料の払い込み終了となるのとは異なり、35年を超えても社会保障税の対象所得がある限り、既に社会保障受給中でも社会保障税が徴収される)。また、上記の最後のステップで分かるように、平均補正月収が少ない人ほど実際の支給額の平均補正月収に対する割合が大きい。例えば、平均補正月収額791ドルの人の受給金額は712ドル(90%)、4,768ドルの人のそれは1,984ドル(42%)である。これは、社会保障が[[所得再分配]]の性格を持っていることを意味する。2013年現在66歳の人の受給額は最低1ドルから最高2,533ドル(月額)である(支給額は事務処理の都合で1ドル単位に丸められる)。
 
社会保障とその他一切の所得(給与、自営、利子、配当、課税繰り延べ資金からの引き出しなど)の合計収入が一定額(2013年現在、社会保障受給額の半分とその他の所得の合計が単身者で34,000ドル、夫婦の合算申告で年間44,000ドル)を超えると、社会保障の収入の最高85%も連邦所得税の対象となる<ref>http://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p554.pdf</ref>(ただし非居住者の外国人については85%が課税対象――多くの国では租税条約により控除対象となる)。これらの所得には、[[401k|401(k)]]や通常[[IRA_(アメリカ)|IRA]]のような課税繰り延べ老後資金の取り崩しも含まれる。他に所得があっても支給額そのものが減額されることはないが、例外はWEP(Windfall Elimination Provision、タナボタ排除条項<ref>http://www.ssa.gov/pubs/EN-05-10045.pdf</ref>)と呼ばれる制度で、外国の公的年金など社会保障税の対象とならない過去の所得に起因する年金所得のある場合、一定額以上の社会保障税の対象となる所得を得た実績が30年未満であると、生年と社会保障税の対象となる所得を得た年数によって2013年現在最高月額395.50ドル減額される。例えば、日本の公的年金を併せて受給する場合、その受給額の一部が社会保障から減額されることがある。これは、前述のように社会保障の目的が老後の所得保障であり所得の再分配であるという理由による。社会保障収入そのものが社会保障税の対象になることはない。州の所得税は州により課税する州としない州がある。
 
==== 個人年金 ====