「ソフト・パワー」の版間の差分

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ソフト・パワーとは、軍事力や経済力などの他国を強制し得るハード・パワーと対置する概念であり、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の対外政策のあり方・手法として生まれた概念である。アメリカ国内においてソフト・パワーという考え方が唱えられた背景には、[[ジョージ・ウォーカー・ブッシュ|ブッシュ]][[政権]]以降のアメリカの中東政策による、国際的な批判の高まりによるところが大きい。[[2001年]]、[[オサマ・ビン・ラディン]]率いる[[アルカーイダ]]による[[アメリカ同時多発テロ事件]]を契機として、アメリカが[[イラク]]に対する[[核兵器]]保有疑惑や[[テロリスト]]支援国の疑いがあることを理由にはじめた[[イラク戦争]]、また、その後のイラクの戦後統治などにおいて行った一連の政策が、圧倒的な軍事力を背景にした強硬なものであるという国際社会からの批判や、[[中東]]や[[イスラム世界|イスラム圏]]を中心とした反米感情の広がり、またそれを背景にした[[テロリズム]]の頻発やその被害に悩む中で、その事態の打開のための手法として提唱されるようになった。
 
ソフト・パワーという概念を提唱したのは、[[ビル・クリントン|クリントン]]政権下において[[アメリカ国家安全保障会議|国家安全保障会議]]議長、国防次官補を歴任した[[アメリカ合衆国|アメリカ]]・[[ハーバード大学]][[大学院]][[ケネディスクール]][[教授]]の[[ジョセフ・ナイ]]である。[[1980年代]]のアメリカ衰退論に異議を唱えた著書 ''Bound to Lead'' (邦題『不滅の大国アメリカ』)で最初に提示され、''Soft Power: The Means to Success in Wold Politics''(邦題『ソフト・パワー』)において精緻化されたものである。
 
ジョセフ・ナイはこのソフト・パワーによる対外政策の重要性を説く上でブッシュ政権や政権の中枢を占めた、いわゆる[[新保守主義 (アメリカ)|ネオコン]]という勢力に対し、客観的に評価または批判をし、軍事力や経済力など強制力の伴うハード・パワーにのみ依存するのではなく、アメリカの有するソフト・パワーを活かすことの重要性を唱えた。さらに、ジョセフ・ナイはこのソフト・パワーをハード・パワーと相互に駆使することによって、国際社会の支持を獲得し、[[グローバリゼーション|グローバル化]]や情報革命の進む国際社会において真の国力を発揮し得ることを説いている。