「黙秘権」の版間の差分

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== 黙秘権に批判的な見解 ==
黙秘権は巨大な権力を持つ行政機関から弱い個人である被疑者を守る目的があるが、それは真実の解明・真犯人の特定、円滑・迅速な捜査や処罰の要請、被害者感情と相容れない場合がある。[[城丸君事件]]では被害者と最後に接触して被害者の遺体を密かに所持して最重要人物と目された被疑者が逮捕、起訴されたが、黙秘権を行使し続けた結果、重大な犯罪で被害者を死なせた疑いが強いが殺意については合理的な疑いが残るとして殺人罪の無罪が確定した。この事件では被告人が黙秘権を行使し続けたために被害者の死の真相が明らかにならなかったとして、被害者遺族に同情的な見解がある<ref>なお、この事件では、致死罪、[[死体損壊罪]]は公訴時効が成立していたため、殺人罪以外で刑事訴追することはできなかった。</ref>。
被告人が終始黙秘を続けた[[和歌山毒物カレー事件]]の第一審でも、同事件の被害者の会を中心に、黙秘権行使に反対する署名運動が展開された。同事件第一審判決は、黙秘の事実は事実認定の資料になっていないことを明言した上で、黙秘権の趣旨並びに正当性を説明する異例の言及を行っている。
 
被疑者が終始黙秘権を行使したことにより、却って被疑者が起訴されて不利益を受けたと評価されかねない事例もある<ref>東京地判平成6年12月16日『[[判例時報]]』1562号p141。同事件の判決において、裁判所は、被告人が起訴され長期の裁判を受けることとなったのは捜査段階で黙秘していたことが一因であると指摘している。なお、同事件で被告人は無罪判決を受けている。</ref>。