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{{出典の明記|date=2009年7月}}
[[Image:Bt7 6.jpg|300px|thumb|right|ソビエト軍のタンクデサント訓練([[BT-7]] 1935年型)]]
'''タンクデサント'''([[ロシア語]]:'''{{lang|ru|танковый десант}}'''<small>タンコーヴィイ・ヂサーント</small>;[[ラテン文字]]転写の例
== 概要 ==
[[Image:M1A1 desant.JPEG|300px|thumb|right|[[イラク戦争]]における米軍の[[M1エイブラムス|M1A1エイブラムス]]
通常、[[戦車]]は戦場では随伴[[歩兵]]を伴って運用される。これは戦車単独では容易に歩兵や[[砲兵]]の[[対戦車兵器]]の[[砲火]]や肉薄攻撃に晒されてしまうからである。戦車は、視界が狭く、機動や俯角に制限があり、さらには同時に対処できる目標が限られるため、随伴歩兵の索敵・制圧力を必要とする。しかし、随伴歩兵が徒歩のままでは
▲通常、戦車は戦場では随伴[[歩兵]]を伴って運用される。これは戦車単独では容易に歩兵や[[砲兵]]の[[対戦車兵器]]の砲火や肉薄攻撃に晒されてしまうからである。戦車は、視界が狭く、機動や俯角に制限があり、さらには同時に対処できる目標が限られるため、随伴歩兵の索敵・制圧力を必要とする。しかし、随伴歩兵が徒歩のままでは[[戦車]]の機動速度についていけないという問題がある。また、随伴歩兵の移動速度に戦車の速度を合わせたのでは、戦車特有の機動性を発揮できない。そこで、通常は歩兵が[[貨物自動車|トラック]]などの軽車両や[[装甲兵員輸送車]]などの[[装甲戦闘車両]]に乗って随伴する。何らかの理由により随伴歩兵用の車両が用意されなかった場合には戦車の上にまたがり、しがみついて移動することがある。これがタンクデサントである。通常は移動時だけ戦車に登っているが、そのまま戦闘に突入させる場合もある。
== タンクデサントの長所と短所 ==
[[戦車]]は[[歩兵]]の護衛が得られ、彼らのための車両が省けるのは、タンクデサントのメリットである。が、デメリットも数多く、タンクデサントを行うのは、なんら保護されない生身の兵士であるから、攻撃に脆弱で[[砲撃]]や[[銃撃]]により容易に死傷する。しかも、最も目立つ上に隠れる場所の無い戦車の上に乗っているため、簡単に[[狙撃|狙い撃たれて]]しまう。また、歩兵が乗る事を前提としていない場所にしがみつくので疲労が大きく、ともすれば振り落とされてしまう。戦車の方も急激な機動や[[砲塔]]の旋回を行なうと歩兵が転落しかねないので動きに制約を受ける。
== 随伴歩兵についての補足 ==
[[戦車]]にとっては周囲警戒の目と反撃の為の戦力が車上に存在することになるため、戦車の生残性向上が期待できる。また、戦車兵にとっては防衛拠点構築や野営を手伝わせることができて負担が減るというメリットも有る。
== 歴史上のタンクデサント ==
=== ソビエト連邦の赤軍 ===
[[赤軍]]ではタンクデサントが多用され、[[ノモンハン事変]]などで広く見られた。[[第二次世界大戦]]が始まると[[ソビエト連邦|ソ連]]は、[[戦車]]などの主力兵器に生産力の大半を消費し、[[歩兵]]に供するべき軽車両の生産は極めて少なかった。補給などに必要最低限な車両も米国の[[レンドリース法]]による供与に頼っていたほどである。さらに
そのため、死傷率を少しでも下げようと[[SN-42]]のような金属製鎧が配備されたりもしたが、あまり効果があったとは言い難い。
戦後の[[ソビエト連邦軍|ソ連軍]]はタンクデサントの犠牲の大きさに対する反省として装甲兵員輸送車の生産に力を入れ、[[BTR-40]]
戦後の訓練風景の映像では[[T-54/55]]系などに乗った
=== 第二次大戦中の日本軍 ===
第二次大戦中の[[
=== 第二次大戦後 ===
[[Image:M48-Patton-on-road-to-vietnam.jpg|250px|thumb|ベトナム戦争にて[[M48パットン]]の車上に乗って移動する[[アメリカ海兵隊|米海兵隊員]]
[[ベトナム戦争]]時の[[アメリカ軍]]、[[アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)|アフガニスタン戦争]]での[[ソビエト連邦軍|ソ連軍]]、[[チェチェン紛争]]での[[ロシア連邦軍|ロシア軍]]でも、[[装甲兵員輸送車]]内部の兵員室ではなく車上に乗って移動することがよく見られた。
これは、[[地雷]]に巻き込まれる事を防ぎ、装甲兵員輸送車への攻撃からすばやく逃げるためである。[[RPG (兵器)|RPGシリーズ]]のように安価で強力な携行対戦車兵器が普及すると[[歩兵戦闘車]]の防御力不足が問題になった。当時の兵員輸送車は浮航性を持たせるために、極端に軽量化されており、装甲が薄かったり、アルミ製で、[[対戦車兵器]]や[[機関砲]]の貫通をやすやすと許した。ある程度は装甲を強化することで対応したが、出力の余裕から十分に強化出来なかったり、追加装甲のせいで視察窓がふさがったりした。軍によっては予算上の理由や浮航性を必要とする用兵のため未強化のままの運用されることも少なくない。そのため、車内で一網打尽にならないために車外に跨乗して警戒することを、兵士たちはしばしば選んだ。特に[[M113装甲兵員輸送車|M113]]の初期型や[[BTR-60]]/[[BTR-70|70]]など、ガソリンエンジンの車両は容易に燃料が引火して爆発炎上するため、兵に嫌われた。初期のBMPシリーズのように燃料タンクが剥き出しで危険なものも同様である。
また、20世紀末になると各国軍で[[砲弾]]片に有効な[[ボディアーマー]]が普及し、タンクデサント最大の弱点である[[砲撃|砲]][[爆撃]]からの脆弱性が軽減された。
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