「ファデエフ=ポポフゴースト」の版間の差分
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{{場の量子論}}
'''ファデエフ=ポポフゴースト'''
== ゲージ場の経路積分 ==
ゴースト場はゲージ場の理論を経路積分
▲経路積分では、ゲージ等価な物理的状態に対応する場の配位が重複して計算されることによる問題が生じる。この重複は経路積分の測度の因子に含まれる。それが原因で、[[ファインマン・ダイアグラム]]などの通常の方法を用いて、元の作用から様々な量を直接計算することができなくなる。
▲しかしながら、ゲージ対称性を破る場(ゴースト場)を作用に追加することにより問題を解決することができる。この手法はファデエフ=ポポフの方法と呼ばれる。ゴースト場は、現実の粒子ではなく[[仮想粒子]]としてのみ[[ファインマン・ダイアグラム]]に現れる計算上のツールであるが、ユニタリティを保つために必要となる。
物理量はゲージの選び方に依らないにもかかわらず、ゴースト場の定式化はゲージの選び方に依存する。通常は、ファインマン=トホーフトゲージがもっとも単純である。以後このゲージを仮定する。
== スピン-統計性の関係の破れ ==
ゴースト場に対しては、[[スピン角運動量#スピンと統計性|スピン-統計性の関係]]が成立しない。これはゴースト場が非物理的な場であることの理由づけとなっている。例えば、[[量子色力学]]などの[[ヤン=ミルズ理論]]では、ゴースト場はスピン 0 の
▲ゴースト場に対しては、[[スピン角運動量#スピンと統計性|スピン-統計性の関係]]が成立しない。これはゴースト場が非物理的な場であることの理由づけとなっている。例えば、[[量子色力学]]などの[[ヤン=ミルズ理論]]では、ゴースト場はスピン 0 の複素スカラー場であるが、フェルミオンのように反可換な場で表される。
一般に、ボゾン的な対称性に対しては反可換なゴースト場、フェルミオン的な対称性に対しては可換なゴースト場が必要となる。
== ファインマン・ダイアグラム ==
ファインマン・ダイアグラムでは、ゴースト場は3点の頂点を通じてゲージ場と繋がる閉じたループとしてのみ現れる。このダイアグラムのS行列への寄与は、
ゴースト場とゲージ場のループの寄与が互いに逆符号となるのは、フェルミオンとボゾンが互いに逆の性質
▲ファインマン・ダイアグラムでは、ゴースト場は3点の頂点を通じてゲージ場と繋がる閉じたループとしてのみ現れる。このダイアグラムのS行列への寄与は、(ファインマン=トホーフトゲージでは)3点の頂点からなるゲージ場のループと完全に相殺される。(3点以外の頂点を含むゲージ場のループはゴースト場のループとは相殺されない)
▲ゴースト場とゲージ場のループの寄与が互いに逆符号となるのは、フェルミオンとボゾンが互いに逆の性質を持っていることに由来する。(フェルミオンの閉じたループには -1 が余分につく)
== ゴースト場のラグランジアン ==
ゲージ条件 <math>\Phi^I(A)=0</math> を課してゲージ変換の自由度を固定するとき、ゴースト場の[[ラグランジアン]]は
{{Indent|
<math>\mathcal{L}_\text{FP} =ib^I c^a\delta^a\Phi^I(A)</math>
}}
で与えられる。ここで <math>\delta^a</math> は微小ゲージ変換である。
ゴースト場 <math>c^a(x)</math> はゲージ群の[[特殊ユニタリ群#随伴表現|随伴表現]]の添え字をもち、ゲージ変換のパラメータを反可換にしたような場である。
反ゴースト場 <math>b^I(x)</math> は拘束条件と同じ添え字を持ち、[[ラグランジュの未定乗数]]を反可換にしたような場である。
[[ヤン=ミルズ理論]]でのゴースト場 <math>c^a(x), \
{{Indent|
=-i\partial^\mu\bar{c}^a(\partial_\mu c^a +gf^{abc} A_\mu^b c^c)</math>
}}
で与えられる。
第一項は
ヤン=ミルズ理論の場合、反ゴースト場はゴースト場と同じ随伴表現の添え字をもつ。
▲第一項は複素スカラー場と同様の運動項であり、第二項はゲージ場との相互作用を表している。''g'' はゲージ場の結合定数、<math>f^{abc}</math> はゲージ群の構造定数である。
当初は反ゴースト場はゴースト場の複素共役であると間違って信じられていたが、ゴースト場、反ゴースト場はともに実である<ref>[[#kugo|九後]] pp.175-176</ref>。
[[量子電磁力学]]のように可換なゲージ群をもつ理論では、第二項の f<
== 脚注 ==
{{reflist}}
== 参考 ==
* {{Cite book|和書
|author=九後汰一郎
|title=ゲージ場の量子論Ⅰ
|publisher=培風館
|series=新物理学シリーズ
|year=1989
|isbn=978-4-563-02423-9
|ref=kugo
}}
{{粒子の一覧}}
|