「主力戦車」の版間の差分

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'''主力戦車'''(しゅりょくせんしゃ、[[英語]]:{{Lang|en|Mainmain battle tank}}、略称:'''MBT''')は、[[戦車]]の分類の1である。現代の戦車はほとんどが主力戦車に分類され、戦力の要となっている。
 
[[第二次世界大戦]]まで戦車は[[重戦車]]、[[中戦車]]、[[軽戦車]]、[[豆戦車]]、[[駆逐戦車]]など多様であった。戦後、戦車に求められるあらゆる任務をこなせるように走攻守をバランス良く備えた主力戦車が登場し統合が進んでいった。その背景には戦術の確立と技術の発展があった。
 
== 歴史 ==
== 主力戦車の成立に至る過程 ==
=== 主力戦車以前 ===
[[第一次世界大戦]]当時の[[戦車]]は、[[機関銃]]に守られた[[塹壕]]陣地の突破を目的に開発された物(例:[[イギリス軍]]の菱形重戦車)、その機動力を改善した追撃用戦車(例:[[マーク A ホイペット中戦車|ホイペット]])、[[歩兵]]支援を目的とした[[大量生産]]が可能な軽戦車(例:[[ルノー FT-17 軽戦車|FT-17]])に大別できる。
 
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* [[ドイツ]]は新たな「[[電撃戦]]」のために新型の戦車を開発していた。本来は訓練用の[[I号戦車|I号]]、[[II号戦車]]はともかく、高い機動性で前線を突破し後方に浸透する[[III号戦車]]、それを火力支援する[[IV号戦車]]である。
 
=== 主力戦車の成立に至る過程 ===
第二次世界大戦が始まると、大半の戦車は敵[[対戦車砲]]に耐えうる装甲を持たないため大きな損害を出し、また、逆に耐えられる装甲を持つ物は機動性に難があることが判明した。こうして泥縄式に従来型の戦車の火力と装甲を強化することとなるが、一方で最初から高いレベルで火力・装甲・機動力のバランスがとれた戦車が求められるようになる。
 
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その成果は[[メルカバ (戦車)|メルカバシリーズ]]、[[チャレンジャー1]]、[[レオパルト2]]、[[M1エイブラムス|M1]]、[[ルクレール|AMXルクレール]]および[[90式戦車]]といった各国の戦後第3世代戦車となって表れた。これらは対戦車ミサイルなどのHEAT弾対策としてのスペースドアーマー(中空装甲)や、弾体の運動エネルギーを相殺する、英国製の[[チョバム・アーマー]]などのコンポジットアーマー([[装甲#複合装甲|積層装甲・複合装甲]])を装備し、従来型の装甲を備えた過去の重戦車とは比較にならない正面防御を備えた。さらに、必要に応じて各種の増加装甲も付加可能であり、1,000-1,500馬力の強力なエンジンにより、重量の増加をものともせず機動力は向上した。そして、発展した[[射撃管制装置#射撃統制システム (陸戦における射撃管制装置)|射撃統制装置]]や[[戦術データ・リンク]]などの情報戦対応能力も高くなり、真の意味であらゆる任務に対応できる主力戦車となったのである。
 
=== 主力戦車の現状 ===
しかし主力戦車は現在、かつての重戦車と同じ課題を突き付けられている。いくら機動力自体はエンジン強化などで確保できても、55-70トンに達しているその重量自体は運搬・架橋などを考えると既に運用上の限界に達しており、さらに強力な140mm砲の搭載やそれに耐えうる重装甲などの導入は困難となっている。そのため主力戦車の進化は戦後第3世代戦車を改良した3.5世代戦車で止まっている状態であり、この状況を打破すべく重戦車化に代わる新たなコンセプトも模索されている([[戦車#将来]]も参照)