「コラッツの問題」の版間の差分

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確率論の言葉を用いるとこれは無限のステップ数を取る極限で1に平均収束するということであり、厳密には予想の確からしさとは無関係である。[[ストレンマイヤー]]は1957年にマルティンゲールの理論を用いて上記の議論を精密化し、任意のコロモゴルフ測度の下で有限ステップ内に数の大きさが1に[[概収束]](確率1で収束)することを証明した。
 
==整数、有理数、複素数一般への変数nの拡張による問題の拡張==
コラッツの問題は、その代入される変数nを、自然数から、0や負の数を含む整数、有理数、複素数へと拡張することが可能である。
== 類似の問題 ==
関数 ''f'' の定義を少し変えることにより、コラッツの問題の類似を考えることができる。
===変数nが奇数の時の乗数の奇数自然数一般への拡張による類似問題===
例えば「任意の 0 でない[[自然数]] ''n'' に対して
*''n'' が偶数の場合、''n'' を 2 で割る
*''n'' が奇数の場合、''n'' に 自然数の奇数 2''m'' - 1(m ≥ 1) をかけて 1 を足す
という操作を繰り返すと、有限回で 1 に到達する」という命題を考える。''m'' = 1 のときは、この命題が正しいことがすぐに分かる。''m'' = 2 の場合が上述のコラッツの問題である。''m'' ≥ 3 の場合は、任意の ''m'' に対して、任意の''n''を与えた場合、(1を含まない)数列のサイクル、もしくは際限なく増大していく数列が得られるため、この命題は一般に成り立たない。たとえば ''m'' = 3 の場合、nを13に設定すると、13, 66, 33, 166, 83, 416, 208, 104, 52, 26, 13 という数列のサイクルが得られるため、上記の命題は成立しない。これは上記のヒューリスティクスの観点からして、mが大きくなるほど1に到達する可能性は低くなると予想されることからも支持されている。
 
===変数nが奇数の時の加算数の奇数自然数一般への拡張による類似問題===
また、もう一つの類似として、「任意の 0 でない[[自然数]] ''n'' に対して
*''n'' が偶数の場合、''n'' を 2 で割る
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という操作を繰り返すと、有限回で 1 に到達する」という命題を考える。
ここで、''l'' = 1 のときが上述のコラッツの問題である。しかし、''l''≥2の場合、(1を含まない、もしくは含むが1以外の数を繰り返す)数列のサイクルが得られる場合があるので、この命題は一般に成り立たない。
 
たとえば、''l'' = 2とすると、この命題は成り立たない。たとえば、n=43を与えた場合、43, 132, 66, 33, 102, 51, 156, 78, 39, 120, 60, 30, 15, 48, 24, 12, 6, 3, 12, 6, 3という数列のサイクルが得られる、この''l'' = 2の場合、n=1, 2などを与えた場合有限回で1に到達するが、そのあとは、6, 3, 12, 6, 3と、3を繰り返すサイクルになる。この''l'' = 2の場合、コラッツの予想を応用し、
「任意の 0 でない[[自然数]] ''n'' に対して、上記の操作を行えば、有限回で3に到達する」という命題を代わりに立てれば、これが成り立つと予想される。

しかし、これも、たとえば、この二つの予想を一般化して、「任意の 0 でない[[自然数]] ''n'' に対して
*''n'' が偶数の場合、''n'' を 2 で割る
*''n'' が奇数の場合、''n'' に 3をかけて 自然数の奇数2''l'' - 1(l ≥ 1) を足す
という操作を繰り返すと、有限回で 自然数の奇数2''l'' - 1(l ≥ 1) に到達する」という命題を立てたとしても、''l''≥3以上の場合には、この命題は一般に成り立たない。その明確な判例の一つとして、2''l'' - 1(l ≥ 1)以外の数のループが行われることがある。''l=3''の場合、任意の自然数''n''が、5に到達しなければいけないが、実際には''n''=13の時、13, 44, 22, 11, 38, 19, 62, 31, 98, 49, 152, 76, 38, 19と、19を繰り返す無限ループに到達し、5には到達しない。
 
===変数nが奇数の時の乗数と加算数双方の、奇数自然数への拡張による類似問題===
以上の事から、一般化は困難ではあるが、個別事例として個々に考えるなら、更に進んで、「任意の 0 でない[[自然数]] ''n'' に対して
*''n'' が偶数の場合、''n'' を 2 で割る
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という操作を繰り返すとき、n、m、lの値に応じてどのような数列が展開されるか」
 
という問題にも拡張できるなど、コラッツの問題の拡張類似問題の幅は広い。
 
== 参考文献 ==