「勧善懲悪」の版間の差分

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{{分割提案Otheruses|物語の類型|イスラム|勧善懲悪 (イスラーム)|date=2014年2月}}
{{wiktionary|勧善懲悪}}
'''勧善懲悪'''(かんぜんちょうあく)は、「[[善]]を勧め、[[悪]]を懲しめる」ことを主題とする[[物語の類型]]の一つ。'''勧懲'''(かんちょう)とも略す。
#「[[善]]を勧め、[[悪]]を懲しめる」ことを主題とする[[物語の類型]]の一つ。'''勧懲'''(かんちょう)とも略す。
#[[イスラム主義]]の団体名、また[[イスラム]]の倫理概念の訳語。
 
 
== 物語類型 ==
欧米圏の文学において「'''詩的正義'''」({{lang-en-short|Poetic justice}})と呼ばれる類型と比較できる。
 
=== 日本における「勧善懲悪」の歴史 ===
近世[[江戸時代]]に、[[儒教]]で見られる政治や道徳に対する思想と、[[江戸幕府]]が打ち出した政治や道徳観の教育・方針の影響を受けて生まれた[[理念]]である。江戸時代後期の文学作品によく用いられ、特に読本や[[人情本]]、[[歌舞伎]]などの作品に多く散見される。[[曲亭馬琴]]の『[[南総里見八犬伝]]』などが、勧善懲悪の代表作品としてよく挙げられる。
 
一方、『[[小説神髄]]』で[[坪内逍遥]]などは、勧善懲悪を説く小説を'''勧懲小説'''と呼び、時代遅れの産物であると否定している。なお同書中において坪内は、[[模写小説]]にて[[人情]]を著す方を尊んでいる。
 
== 変形としての勧悪懲悪 ==
勧善懲悪の変形に'''勧悪懲悪'''(かんあくちょうあく)がある。勧悪懲悪とは、勧善懲悪において、本来であれば悪に値する存在([[強盗]]、[[殺し屋]]、[[闇金]]、[[女衒]]、[[詐欺#詐欺師|詐欺師]]など)が様々な理由(猛悪に対する正義心や義侠心の発露、仲間の裏切りや取り分の相違、権力闘争、あるいは助平心など)によって悪と対峙する立場になり、'''結果的に(他方の視点からして)悪を懲らしめる'''、という勧善懲悪と[[ピカレスク]]の融合による応用形。[[義賊]]が典型的である。ただし、単に双方とも悪というわけではなく、主人公側は人情が通じたり、合法的には裁けぬ悪を裁くなど心理的には善、もしくは善寄りであるため、懲罰手段が悪、若しくは所属が悪と同じだけの勧善懲悪であるとも言える。また、勧善懲悪とされるものでも、容赦なく手段を選ばず人情もなく悪人を殺し続ける場合などがあるため、勧悪懲悪との差異は明確ではない。なお、[[必殺シリーズ]]は「清廉潔白とは対極の生活を送る女たらしの按摩師」や「[[賄賂|袖の下]]を喜んで受け取る悪党的な面を持つ一見冴えない中年同心」が「金目当て」・「裏の仕事」として悪と対峙する、というようにさらに「洗練」された形となっており、特に前期必殺シリーズではこれらのテーマ性が強調されていた
 
[[義賊]]、[[強盗]]、[[殺し屋]]、[[闇金]]、[[女衒]]、[[詐欺#詐欺師|詐欺師]]などが勧悪懲悪の物語では典型的なものとしてある。ただし、単に双方とも悪というわけではなく、主人公側は人情が通じたり、合法的には裁けぬ悪を裁くなど心理的には善、もしくは善寄りであるため、懲罰手段が悪、若しくは所属が悪と同じだけの勧善懲悪であるとも言える。また、勧善懲悪とされるものでも、容赦なく手段を選ばず人情もなく悪人を殺し続ける場合などがあるため、勧悪懲悪との差異は明確ではない。
 
なお、[[必殺シリーズ]]は「清廉潔白とは対極の生活を送る女たらしの按摩師」や「[[賄賂|袖の下]]を喜んで受け取る悪党的な面を持つ一見冴えない中年同心」が「金目当て」・「裏の仕事」として悪と対峙する、というようにさらに「洗練」された形となっており、特に前期必殺シリーズではこれらのテーマ性が強調されていた。
 
=== 勧悪懲悪の例 ===
* [[地獄少女]]
この他、『[[ルパン三世]]』のアニメ版諸作品でも、泥棒である主人公一味が結果的に一国や地球的な規模の巨悪までをも粉砕する展開が少なからず見られる。
 
== 訳語としての「勧善懲悪」 ==
=== イスラムにおける「勧善懲悪」概念 ===
{{see|イスラム教#社会生活}}
[[イスラム教]]には「善行を指導し悪行を禁止する」({{lang-ar|الأمر بالمعروف والنهي عن المنكر}} <small>アムル ビル マアルーフ ワ アンナヒー アニ アルムンカル</small>)と呼ばれる倫理概念がある。この概念の簡明な日本語訳として「'''勧善懲悪'''」が当てられる。
 
ワッハーブ派などの原理主義派では勧善懲悪の実施を信徒の義務と考えており、日本のように物語上のフィクションではなく現実社会において行わなければならない行為と位置づけられている。この場合に正義とは、悪とは何かという問題に対してイスラムにおける正義が用いられる。
イスラム教国家の中には、「勧善懲悪」を実行する行政機関として宗教警察([[ムタワ]])が置かれている国家がある。宗教警察の名称の日本語訳として[[勧善懲悪委員会]]([[サウジアラビア]])や[[勧善懲悪省]](アフガニスタン)などの日本語訳が用いられている。
 
近代では「勧善懲悪=人権侵害」との批判が多くなり、イスラム社会でも「勧善懲悪」はあまり良い意味では用いられなくなってきている。
 
[[イスラム主義]]の団体名でもあり、英語でThe Promotion of Virtue and Prevention of Viceと称される団体を「勧善懲悪」と翻訳している。 [[FATA]]カイバル地区で活動している<ref>公安調査庁「[http://www.moj.go.jp/ITH/organizations/index.html 国際テロ組織、世界のテロ組織等の概要・動向]」</ref>
 
==脚注 ==
 
== 関連文献 ==
*在ドバイ日本国総領事館「[http://www.dubai.uae.emb-japan.go.jp/pdf/saudi_business_report01.pdf サウジアラビア内政(宗教勢力の動向:勧善懲悪委員会) ]」
 
== 関連項目 ==
[[Category:倫理]]
[[Category:ストーリー類型]]
[[Category:イスラム教]]
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