「恒温動物」の版間の差分

現生動物において比較するかぎり、体温の恒常性の有無と[[成長]]速度、あるいは急速な[[成長期]]の有無には関連性は特に認められない。例えば、典型的な恒温動物である[[ヒト]]は誕生してから15年で体長で4倍・体重で20倍程度に成長するに過ぎないが、典型的な変温動物である[[カイコ]]は30日で体長で30倍・体重で5000倍にも成長する。同じく変温動物である[[ニホンカナヘビ]]では1年で体重で20倍程度、人間と同程度の成体体重の陸上脊椎動物である[[アミメニシキヘビ]](15歳程度)の誕生時体重は100g程度(つまり5〜600倍)であり、[[ワニ]]の成長速度はこれよりも速い。
 
また、[[完全変態]]昆虫の多くは[[幼虫]]期は非常に急速に成長し、成虫はほとんど成長しない。つまり成長期が存在する。しかも、スズメガを見ればわかるようにほとんど成長しない成虫は恒温性であっても急速な成長をする幼虫期は通常典型的な変温動物である。[[四肢動物]]でも同様で、典型的な変温動物である[[アマガエル]]や[[アベコベガエル]]は幼体である[[オタマジャクシ]]は急速に成長するが、上陸後の[[カエル]]の体重増加は非常に緩やかである。[[ニホンカナヘビ]]でも最初の一年は体重が急速に増加するがその後(5〜6年の[[寿命]]がある)の体重増加は緩やかである。</br>これらは決して特殊な例外ではない。逆の例(恒温・内温動物の方が成長が早い・成長期がある)を例示することも極めて容易である(上の例を、[[ヒト]]→[[ゾウガメ]]、[[カイコ]]→[[カンガルー]]や[[ミツバチ]]、[[ニホンカナヘビ]]→[[ウサギ]]、[[アミメニシキヘビ]]→[[ウシ]]、[[ワニ]]→[[ライオン]]などとし、倍率なども適宜動かせばよい)。つまり、化石生物などで個体の成長速度が速いことや、急速な成長期があることが類推できる形質が認められても、恒温動物であろう、もしくは逆に変温動物であろうという推定は成立しない。むしろ、恒温変温かかわらず[[r戦略]]傾向を強く持つ種では[[成長]]速度が速く([[昆虫ハツカネズミ]]や[[線虫ニホントカゲ]]類の内は誕生4週で3倍程度)、[[r-K戦略説|K戦略]]傾向を強く持つ種では[[成長]]速度が極めて速は遅い(例えば線虫''[[C. elegansウシ]]や[[ムカシトカゲ]]''では、60時間誕生1年3003程度)。
 
<!-- 恒温動物のみが成長速度が早い・急速な成長期があるなどという、実際に動物を育ててみればすぐわかる嘘を誰が(調べる気も起きないが)もっともらしく言い始めたのだろうか? 少なくともこんなことを生きた生物を相手にしている専門家が口にした例を知らない。こんな非科学的な思いつきを、いくら昔で詳細がわからないとはいえ、古生物学者(というより恐竜学者か)は一般向け書物に書かないでほしいモノではある。 一般人をバカにする・もしくは不勉強も大概にして欲しい。読者も学者が言うことを無批判に信じてはいけない、自らも考えなければならないないという例示になれば幸いである
また、[[骨]]や[[歯]]、[[角]]、[[鱗]]、[[耳石]]のような硬組織における[[年輪]]のような[[成長線]]の有無で恒温と変温の推定をすることもあるが、これはその個体の当該硬組織の成長速度に大きな変動があり、かつ、それが残ったことを示しているに過ぎない。つまり、成長線があったからと言って、変温動物である、もしくは無ければ恒温動物である、とはいえない(つまり化石などによる体温調節能の憶測は非常に困難)。
 
現生生物の例では、通常典型的な恒温動物である大型哺乳類にも成長線が形成されるものがたくさん存在する。[[クジラ]]類の[[歯]]や[[骨]]、[[ウシ]]類の[[角]]や[[象牙]]には明確に成長線があり、[[シカ]]類の骨格や歯にもしばしば認められる。また、通常、成長線のできない[[ヒト]]の[[骨]]においても、季節的に飢餓状態に置かれたことによると思われる成長線(飢餓線:ハリス線、Harris' Line)が認められる例がある。野生の[[イノシシ]]の牙には通常明瞭な成長線があるが、飼育下の[[ブタ]]では観察されない。<ref>熊本大学社会文化研究7(2(X)9)7(2009) 155ブタ・イノシシ歯牙セメント質年輪の形成要因と考古学的応用</ref>これも野生下では栄養状態に季節的変動があるが飼育下ではほとんど無いことが原因であろうと推定されている。<ref>R.M.Laws Age determination of Pinpeds with special reference to growth layersm the teeth. Zoo geogegraphical rerationship saugetierk 1962.27:l29-l46</ref><ref>[[大泰司紀之]]「ニホンジカ第一切歯、第一臼歯セメント質を用いた年齢鑑定」「解剖学雑誌」48巻1973</ref><ref>Helen Grue and Birger Jensen 1973 Review of the formation of incremented lines in tooth cementum of terrestrial mammals. Danish review of game biology 11:pp3-48</ref>
 
季節変動のある地域で数年以上にわたって成長し、成長が季節変動する変温動物は数多くあるが、その硬組織に成長の変動が残るとも限らない。例えば[[セミ]]や[[ロブスター]]は何年にもわたって成長する変温動物であるが、硬組織を脱皮によって捨てるため成長線は残らない。当たり前であるが季節変動のない地域に生息している変温動物、例えば熱帯の[[ワニ]]類や[[ニシキヘビ]]類には基本的に成長線は認められない。
<!--
一般人が通常観察することのない成長線の有無で変温・恒温が推定できるというこの嘘はより悪質である。2011年現在、さすがに成長速度で恒温・変温を議論するようなことはなくなったが、未だにこの論は大手を振ってまかりとおっている。古生物学者の一部は研究者として事実を精査して議論することができないのではないかという疑いまで想起する。有り体に言って化石のみの情報で恒温・変温を推定することは現代科学では不可能に近い。例えば、カッコウやナマケモノの骨格標本を見て変温動物であることがわかるはずはないし、ミツバチやホオナガスズメバチの展翅標本やザゼンソウの液浸標本をみて恒温性と解析することも2011年現在の科学ではほぼ不可能である(標本は化石より保存状態がよい)。生きた個体を実際に測定するしか決め手はない。だから昆虫類・魚類・植物などの恒温性や、哺乳類や鳥類が相当程度変温的体温調節をすることは、小型機器装着により記録できるようになる近年までわからなかった。化石生物を対象にしたこの手の議論は予算獲得の話題づくり、よく言っても根拠の薄い推測程度以上のものではない。-->
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
匿名利用者