「レオナルド・トーレス・ケベード」の版間の差分

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トーレスはこの機械以外にも、1900年頃から[[歯車]]と[[リンク機構]]を用いて 2 次方程式 X<sup>2</sup> - pX + q = 0 の[[複素数|複素数解]]を求める小型の計算機械を考案し、また[[微分方程式|一階微分方程式]]を解く積分器なども製作した<ref name="Gonzalo1951">Gonzalo Torres-Quevedo Polanco. ''[http://ropdigital.ciccp.es/detalle_articulo.php?registro=16636&numero_revista=2831&anio=1951 Torres Quevedo y la automática,]'' Revista de Obras Públicas, Núm.2831, pp.99-109, 1951.</ref>。現在それらのいくつかはマドリード工科大学にあるトーレス・ケベード博物館(Museo "Torres Quevedo")に収められている。
 
=== オートマチックティカ、解析機関 ===
トーレスは1913年に発表した論文''"オートマチックティカに関する小論"''(''Ensayos sobre Automática'')で「オートマチックティカ」(自動機械、[[スペイン語|西]]: automática)と呼ばれる機械の提案とその実現可能性の検討を行った<ref name="LTQ1913es">L. Torres Quevedo. ''Ensayos sobre Automática - Su definicion. Extension teórica de sus aplicaciones,'' Revista de la Academia de Ciencias Exacta, Revista 12, pp.391-418, 1913.</ref>
<ref name="LTQ1915fr">L. Torres Quevedo. ''[http://diccan.com/dicoport/Torres.htm Essais sur l'Automatique - Sa définition. Etendue théorique de ses applications,]'' Revue Génerale des Sciences Pures et Appliquées, vol.2, pp.601-611, 1915.</ref><ref name="Randell1982p89">B. Randell. ''Essays on Automatics,'' The Origins of Digital Computers, pp.89-107, 1982.(トーレス論文の英訳)</ref>。これは人間のように知的な行動を行う、あるいは人間を置き換えるような機械で、現在のさまざまな自動制御機械に相当する。この機械は、外部からの情報を取り込む[[センサー]]、腕のように外界を操作する部分、電池や空気圧などの動力源、そして最も大切な、取り込んだ情報や過去の情報を使って「判断」を行う部分からなり、外部からの情報に応じて生物のように反応を制御し環境の変化に適応して動作を変えることができるものとして定義された<ref name="LTQ1915fr"></ref><ref name="Randell1982p89"></ref>。
 
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条件分岐命令を含んだプログラムを実行できる汎用の電気式/機械式[[コンピュータ]]が現れるのは1940年代であり、トーレスの論文はこれよりはるかに早い。トーレスの論文はスペイン語とフランス語のみで発表されたこともあり英語圏ではほとんど知られず、その後のコンピュータ開発に大きな影響を与えることはなかった<ref name="Randell1982"></ref>。コンピュータの歴史の研究者であるランデル(Brian Randell)は、トーレスが実際の歴史より20年以上早く電気機械式の汎用コンピュータを実現可能だったかもしれず、実際のニーズやモチベーション、資金力も持っていたと指摘している<ref name="Randell1982"></ref>。
 
また論文の発表後、1920年にトーレスは電気機械式アリスモメータ(Arithmometer)と呼ばれる計算機械を作成しパリで発表を行った。この計算機械はプログラム可能なものではなかったが、計算を行う装置と[[タイプライター]]とを電線でつなぎ、タイプライターから数式(例えば"532 × 257")と"="を打つだけで自動的に計算を行い答えの数値を印刷することができた<ref name="Randell1982p109">B. Randell. ''Electromechanical Calculating Machine,'' The Origins of Digital Computers, pp.109-120, 1982.(トーレス論文の英訳)</ref>。[[ユーザインタフェース]]からみれば、この機械は[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]]を入力インターフェースとする現在のコンピュータの前身と見なすことができる。また利用形態としてみれば、電線の延長によるリモートでの計算も想定しており<ref name="Randell1982p109"></ref>、通信回線を利用する現在の[[オンラインシステム]]等の初歩的なものと考えられる。さらに、電気機械式アリスモメータについての1920年の論文には、さまざまな「オートマチックティカ」(自動機械)において、連続的な数値を有限の[[離散的]]な値として表現し処理と判断を行うことの必要性が指摘されている<ref name="Randell1982p109"></ref>。これは現在の[[デジタル|デジタル処理]]に相当する。トーレスは当時としては非常に先進的な多くのアイデアを持っていた。
 
=== その他の発明とさまざまな活動 ===