「肩こり」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
30行目:
== 言語文化と「肩こり」 ==
*「肩が凝る」という言葉は、[[夏目漱石]]による造語との説<ref>『[[w:門 (小説)|門]]』([[1910年]]新聞掲載)の以下の箇所が初出とされる。</br>「もう少し後の方」と御米が訴えるように云った。宗助の手が御米の思う所へ落ちつくまでには、二度も三度もそこここと位置を易えなければならなかった。指で圧してみると、''頸と肩の継目の少し背中へ寄った局部が、石のように'''凝っていた'''''。御米は男の力いっぱいにそれを抑えてくれと頼んだ。</ref>があり、さらに、それ以前はいわゆる肩こりの症状を特に指す用語は日本語になく、肩こりという言葉が生まれたことで、多くの日本人が肩の筋肉が固くなる症状について自覚するようになったとの言説がある。
**しかしながら、『門』の発表とほぼ同時期には、「肩が凝る」を現代語と同じ用法で使用している例<ref>一體唐は詩賦文章の時代で、經學の如き'''肩の凝る'''ものは嫌ひであつた。([[狩野直喜]] 『日本國見在書目録に就いて』 1910年)</ref>は見られるし、それ以前より、「痃癖の凝り」といった表現が見られるため、この表現の源流を漱石のみに帰するのは疑問がある。
**また、『さらに、それ以前はいわゆる肩こりの症状を特に指す用語は日本語になく』なる説は、『門』以前にも[[樋口一葉]]が「肩が張る」と言う表現を用いており、そもそも、[[1686年]]には、当時の医学書『[[病名彙解]]』において「痃癖」として紹介されており、その俗語が「うちかた」であるとの記述があって、妥当とはいえない。従って、「肩こり」と言う言葉が生まれたゆえ、その症状を自覚するようになったと言説は、正確性を欠く。
*このような言語文化に特有の症状の例としてフランス以外ではまれにしか報告されない重い足(jambes lourdes)が世界的には有名である。フランスでは日本での肩こりと同じように重い足を治すための民間療法なども多く存在している。
*しかしながら、『門』の発表とほぼ同時期には、「肩が凝る」を現代語と同じ用法で使用している例<ref>一體唐は詩賦文章の時代で、經學の如き'''肩の凝る'''ものは嫌ひであつた。([[狩野直喜]] 『日本國見在書目録に就いて』 1910年)</ref>は見られるし、それ以前より、「痃癖の凝り」といった表現が見られるため、この表現の源流を漱石のみに帰するのは疑問がある。
*また、『さらに、それ以前はいわゆる肩こりの症状を特に指す用語は日本語になく』なる説は、『門』以前にも[[樋口一葉]]が「肩が張る」と言う表現を用いており、そもそも、[[1686年]]には、当時の医学書『[[病名彙解]]』において「痃癖」として紹介されており、その俗語が「うちかた」であるとの記述があって、妥当とはいえない。従って、「肩こり」と言う言葉が生まれたゆえ、その症状を自覚するようになったと言説は、正確性を欠く。
*英語では肩こりを「stiff neck」「tight shoulders」「shoulder discomfort」「shoulder stiffness」などと表現する。ただ文化的な要素が大きいため日本語の「肩こり」の語意を伝えるには多少説明が必要である。