「力への意志」の版間の差分

==著書==
ニーチェは『力への意志』を著すために多くの草稿を残したが、本人の手による完成には至らなかった。ニーチェの死後、これらの草稿が妹の[[エリーザベト・フェルスター=ニーチェ|エリーザベト]]によって編纂され、同名の著書として出版された<ref>日本語訳: ニーチェ著、原佑訳 『権力への意志』上下巻、筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、1993年。</ref>。
ただし、力への意志という言葉は『ツァラトゥストラはこう語った』や『人間的な、あまりにも人間的な』の中でも登場し、その概念をうかがい知ることができる。このことは、「力への意志」という主題がニーチェにとって著作としてまとまったものになるほど成長することはついになかったということであり、言ってみれば、ニーチェはその偽悪的なポーズにも関わらず、彼のファナチックな読者たちよりもずっと慎重な性格だったということである。
 
著作としての『力への意志』は「ニーチェの意志」ではないという当然の評価は、第二次世界大戦でのナチスドイツ敗北後に、ハンザー社の『ニーチェ三巻著作集』で編集者シュレヒタが同著作を『八十年代の遺稿から』というアフォリズム集に編集解体して始めて認知された。それまでは、ナチス時代を通じ『権力への意志』こそがニーチェの理論的主著であるというのが通念だったのである。
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