「パスワード (コンピュータゲーム)」の版間の差分

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[[コンピュータゲーム]]における'''パスワード'''とは、ゲームを途中で中断する際にゲーム[[プログラム]]によって発行され、ゲームを再開するときに入力する文字列などのことである。日常でセキュリティの目的で使用される「[[パスワード]]」とは用途が異なる。
 
==目的==
かつて、1日のプレイだけでクリアすることが困難なゲームにおいて、ゲームような進行状況を保存するための手段としてパスワードが使用されることが多かった。特に、[[コンピュータRPG|ロールプレイングゲーム]]や[[アドベンチャーゲーム]]などで多く使用されたが、[[ステージ (コンピュータゲーム)|ステージ]]の多い[[アクションゲーム]]などでも使用されることがあった。しかし今日では、パスワード方式よりも保存作業が容易な[[バッテリーバックアップ]]方式や[[メモリーカード]]の出現により方式が普及したため、パスワードはほとんど使用されなくなった。
 
== パスワード誕生の歴史的背景 ==
パスワードを最初に採用したのは[[1985年]]8月に発売された[[アクションロールプレイングゲーム]]の原典である『[[ハイドライド]]』([[T&E SOFT]])[[MSX]]版の[[ロムカセット|ROMカセット]]からであり、る。「'''パスワード'''」という名称も本作で初めて名付けられた同作品である。
 
当初、1985年3月に、あまり普及していなかった[[コンパクトカセット|カセットテープ]]([[データレコーダ]])用でMSX版の『ハイドライド』を発売していた。当時カセットテープ(データレコーダ)用のソフトを動かすには[[メインメモリ]]が64KB(キロバイト)必要だったのだが、最も普及していたMSXのメインメモリは8KBしかなく、ROMカセット用のソフトしか動かすことができなかった。ROMカセットでは[[Static Random Access Memory|SRAM]]を使ったバッテリーバックアップしか方法が無かったのだが、当時の状況で高価すぎてとてもカセットにSRAMを搭載すると価格が極端に高価になるため採用できなかった。
 
しかし、当時のユーザーにはそのような専門的知識は無く、誕生したばかりのアクションロールプレイングゲームを遊んでみたい思いから、T&E SOFTにはROMカセット版の『ハイドライド』を発売してほしいという投書が毎日のように送られていた。そこでT&E SOFT、それまで他の[[ゲームメーカー]]が行わなかった、「バッテリーバックアップを使わない新しい記録方法を発明する」ことに挑戦した。うしてでき考案されたのがパスワードによって進行状況を記録する方式であった
 
『ハイドライド』のパスワードは、0~9までの数字とA~Zまでのアルファベットと.と,のみを使いながら最大11文字(ファミコン版はMPと魔法があるため最大14文字)だけで現在のレベル・現在の体力の状態・現在までに集めたアイテム・現在の位置情報などを完全に記録するもので、当初のものとしてかなり完成度の高いものであった。
 
技術的には「コロンブスの卵」的な物だったらしく、翌年には[[エニックス]](当時)の[[ファミリーコンピュータ]](ファミコン)用ソフト『[[ドラゴンクエスト]]』でも使われている。同作より前に発売されていたエニックスのファミコンソフトで、[[鳥山明]]や[[すぎやまこういち]]以外はほとんど同じ開発スタッフの『[[ポートピア連続殺人事件]]』では、パスワードどころか記録方法自体が無かったため、『ドラゴンクエスト』ではゲームの途中から続きができるようにするべく、パスワードが採用された。
 
以後も多くのゲームがパスワードを採用したが、中にはプレイ内容に一部記録できないものがあったり、非常にストレスを感じるほど長かったり(50文字を超えるものもあった)、少々間違えていてもパスワードを受け付けるがプレイ内容の異常により後で取り返しのつかないことになることがあるなど、開発者やメーカーによってその完成度はかなり異なった。
 
== パスワードの使い方 ==
プレイヤーは中断時に、ゲーム画面に表示されるパスワードをメモ帳などに書きとめておく。そして次回のゲーム開始時に、書き留めておいたパスワードを正確にゲーム画面に入力すれば、前回中断したときと同じ状態で、あるいは同じ場所から再開することができる。
 
しかし、入力したパスワードが1箇所でも間違っていると、エラーとなり、ゲームを再開することができない。メモしたパスワードが書き写し間違いでないのであれば、メモしたものと画面に入力したものとをもう一度照合・確認して入力しなおすことで再開可能だが、書き写し間違いの場合はゲームを続行することが不可能となり、それ以前のデータから再開せざるをえなくなる。そのときのプレイ内容によってはプレイヤーはかなりの精神的ダメージを負ってしまう。さらに、もしメモ用紙にパスワードを書ていて場合一度使って不要たものを廃棄しいると、そのゲームを全く続行できなくなる場合もあるってしまう。そのため書き写しの際には細心の注意を払って正しいかどうかをチェック何度も確認する必要がある(特に紛らわしい字には注意が必要)。一部のゲーム公式ガイドブックでは、予備のパスワードでプレイできるように、パスワードを2回表示させてメモすることを推奨している。中には書き間違いを極端に恐れ、画面をビデオに録画したり、画面写真を撮影したりするなどして間違いを回避する者もいた
 
なお、バッテリーバックアップ方式の場合、一度ゲームを保存するとデータが上書きされたことになり、それ以前のデータは消えてしまうが、パスワード方式の場合、新しいパスワードを発行させても、今までに発行させたパスワードは引き続き有効のままである。そのため、どうしても最新パスワード発行以前のデータからやり直したい場合は、今までに発行された古いパスワードを入力して再開することができる。
どうしても書き間違いが嫌な人の中には、画面をビデオに録画する、写真に撮影するなどして間違いを回避する者もいた。
 
== パスワードの仕組み ==
生成されるパスワードは、パスワード発行時のプレイヤーキャラクターの状態や場所、所持している[[アイテム]]などのデータを、ゲームプログラム内で独自に定められた法則で暗号化([[エンコード]])し、文字列などにしたものである。そしてゲーム再開時にパスワードが入力されると、そのパスワードがプログラムによって再びゲーム内のデータに変換([[デコード]])される仕組みとなっている。このときに、プログラムがパスワードを正常にデコードできない場合は、入力したパスワードが誤っているということになり、エラーメッセージを画面に表示させ、プレイヤーに再入力を促す。
 
しかし、ゲーム途中のパスワードをメモしていなくても、適当な文字列を入力することによって、偶然、デコードに成功し、ゲームを途中から始めることができてしまう場合もある。また、開発者が故意にパスワードを仕込んだそれを入力することで特殊な状態(能力値最大、強力アイテム所持など)でプレイしたり、特別な画面が表示されたりするようなものも存在することがある。これらは同じ文字を連続させたもの、あるいは文章として読むことの可能なパスワードが存在することのであることが多い。このようなパスワードは[[ゲーム雑誌]]に[[裏技]]として紹介されることもあった。
 
== 多種多様なパスワード ==
以前は通信機能、メモリーカード等の外部記録媒体の使用が難しかったため、ソフトにバッテリーバックアップ機能が内蔵されているものであっても、ユーザー間でデータのやりとりをするためにパスワードが使用されることがあった。
 
最初にゲーム継続以外の目的でパスワードを使用したのは、パスワードの発明者でもある[[T&E SOFT]]が1986年から1988年にかけて発売した『[[DAIVA]](ディーヴァ)』シリーズである。『DAIVA(ディーヴァ)』では、7つの異なるストーリーが6つの[[パーソナルコンピュータ]]と[[ファミリーコンピュータ]]で発売され、各々のストーリーが相互に関連性を持つため、例えば、1つの機種をクリアした時に手に入るパスワードを他の機種へ入力すると今まで使っていた艦隊を援軍として送り込むことが出来る。
 
現在でも、『[[実況パワフルプロ野球]]』シリーズなどでは携帯機から据え置き機へのデータ移行がパスワードで行われる。