「集団思考」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m ウィリアム・ホワイト への仮リンク修正
編集の要約なし
13行目:
ジャニスは上述の事例に基づく検討から、次にあげる条件があるとき、集団思考の兆候が現れ、それが欠陥のある意思決定につながると結論づけた<ref>Janis, Irving, ''Decision Making: Psychological Studies of Policy Decisions and Fiascoes'', p.244.</ref>。
 
;=== 先行する条件 ===
(1)# 団結力のある集団が、(2)
# 構造的な組織上の欠陥を抱え、(3)
# 刺激の多い状況に置かれる
以上の3条件を満たすと、集団思考に陥りやすい。
 
構造的な組織上の欠陥とは、メンバーに発言の機会を平等に与える公平なリーダーシップの欠如<ref>ibid., pp.42-43.</ref>、整然とした手続きを求める規範の欠如、構成員の社会的背景とアイデンティティの均一性などのことである。また、刺激の多い状況とは、リーダーの意見よりもよい解決策が望めないような、集団外部からの強い脅威などのことを指している。
 
;=== 集団思考の兆候 ===
上述の先行する条件があるとき、次のような集団思考の兆候を示し始めることが多い。
 
; 第1類型
*第1類型:: 自分たちの集団に対する過大評価。自分たちを[[不死身]]と見なす幻想や、集団固有の[[倫理]]に対する信仰のことである。例えば、ニクソン大統領とそのアドバイザーは、不死身の幻想に陥り、ウォーターゲート事件による致命的ダメージを警告する声を無視したとされる<ref>ibid., pp.220-225.</ref>。
; 第2類型
*第2類型:: 閉ざされた意識。集団による自己弁護、集団外部に対する[[偏見]]が具体例である。例えば、ピッグス湾事件における意思決定では、「敵は間抜けで弱体」と見なす集団外部への偏見が働いていたという<ref>ibid., pp.36-37.</ref>。
; 第3類型
*第3類型:: 均一性への圧力。自分の意見が集団内の明白な合意から外れていないかを[[自己検閲|自ら検閲]]する行為や、決定が多数派の見解と一致するよう留意すること[[全会一致の幻想]]、決定の倫理性、効果に対する集団の自己満足を妨げる情報が集団に伝わるのを防ぐ成員の出現を指す<ref>ibid., p.175.</ref>。
 
;=== 欠陥のある決定の兆候 ===
*第2類型:閉ざされた意識。集団による自己弁護、集団外部に対する[[偏見]]が具体例である。例えば、ピッグス湾事件における意思決定では、「敵は間抜けで弱体」と見なす集団外部への偏見が働いていたという<ref>ibid., pp.36-37.</ref>。
 
*第3類型:均一性への圧力。自分の意見が集団内の明白な合意から外れていないかを[[自己検閲|自ら検閲]]する行為や、決定が多数派の見解と一致するよう留意すること[[全会一致の幻想]]、決定の倫理性、効果に対する集団の自己満足を妨げる情報が集団に伝わるのを防ぐ成員の出現を指す<ref>ibid., p.175.</ref>。
 
;欠陥のある決定の兆候
集団思考の兆候を示す3類型のうち、いずれかまたは全てに当てはまると、集団内の合意形成の努力の結果として、欠陥のある決定を下すことが多い<ref>ibid., p.175.</ref>。
 
その兆候とは、
その兆候とは、(1)代替案を充分に精査しない、(2)目標を充分に精査しない、(3)採用しようとしている選択肢の危険性を検討しない、(4)いったん否定された代替案は再検討しない、(5)情報をよく探さない、(6)手元にある情報の取捨選択に偏向がある、(7)非常事態に対応する計画を策定できない、といった点である。
# 代替案を充分に精査しない
# 目標を充分に精査しない
# 採用しようとしている選択肢の危険性を検討しない
# いったん否定された代替案は再検討しない
# 情報をよく探さない、
# 手元にある情報の取捨選択に偏向がある
# 非常事態に対応する計画を策定できない
といった点である。
 
== 脚注・出典 ==