「R過程」の版間の差分

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'''r過程'''(アールかてい, r-process)は恒星核が重力崩壊する[[超新星|超新星爆発]]時に起きると考えられている[[元素合成]]([[超新星元素合成]])における、[[中性子]]を多くもつ[[重金属|鉄より重い元素]]のほぼ半分を合成する過程のこと。これは迅速かつ連続的に中性子を[[ニッケル]]56のような核種に取り込むことによって起きる。そのためこの過程はr (Rapid) 過程と呼ばれる。重元素を合成するほかの過程には[[s過程]]があり、これは[[漸近巨星分枝星]] ([[赤色巨星]]への進化段階) でゆっくり (Slow) した[[中性子捕獲]]によって元素合成を行う。この2つの過程が鉄より重い元素の元素合成過程の大半を占める。r過程はs過程に比べ未解明の部分が多い。
 
== 歴史 ==
 
=== 重力崩壊型超新星 ===
大質量星の進化の最後での重力崩壊に起因する超新星爆発であり、爆発の衝撃波によって物質を宇宙空間に放出すると共に、中性子星やブラックホールを残す。
まず、rプロセスの源としては、中性子星を残すことからも分かるように中心領域が中性子過剰になることが期待されるため、有力視された。
爆発の衝撃波によって物質を宇宙空間に放出すると共に、
 
中性子星やブラックホールを残す。
しかし、近年の詳細な研究の結果、中性子過剰な物質は例外的な場合を除いて、普通は期待できないことが分かってきた。
まず、rプロセスの源としては、中性子星を残すことからも分かるように
中心領域が中性子過剰になることが期待されるため、有力視された。
しかし、近年の詳細な研究の結果、中性子過剰な物質は例外的な場合を除いて、
普通は期待できないことが分かってきた。
 
=== 原始中性子星風 ===
重力崩壊型超新星の内側にはできたばかりの中性子星(原始中性子星)が存在する。原始中性子星の中心には重力崩壊の過程で高温かつ高密度の状態になっており、内側に大量のニュートリノが閉じ込められてる。恒星の内側に閉じ込められた光子によって恒星風が生じるように、このニュートリノも原始中性子星から「風」を引き起こすと考えられている。
超新星爆発に付随し、超新星爆発の内側で起こるため、観測的には超新星と同じと言ってよい。
原始中性子星の中心には重力崩壊の過程で高温かつ高密度の状態になっており、
内側に大量のニュートリノが閉じ込められてる。
恒星の内側に閉じ込められた光子によって恒星風が生じるように、
このニュートリノも原始中性子星から「風」を引き起こすと考えられている。
超新星爆発に付随し、超新星爆発の内側で起こるため、
観測的には超新星と同じと言ってよい。
 
この中性子星風は、それほど大きく中性子過剰ではないが、放出速度やエントロピーが適切に高ければ、元素合成の過程で
うまく高い中性子密度(正確には種核との比)を達成でき、rプロセス元素を生成することができる。
放出速度やエントロピーが適切に高ければ、元素合成の過程で
うまく高い中性子密度(正確には種核との比)を達成でき、
rプロセス元素を生成することができる。
 
=== コンパクト連星合体 ===
== 天体観測 ==
 
隕石や太陽の観測により、太陽系の元素組成は詳細に調べられており、rプロセスのみによって作られた元素(rプロセス元素)も特定されている。
rプロセスのみによって作られた元素(rプロセス元素)も特定されている。
加えて、銀河系のハロー領域の金属欠乏星でもrプロセス元素が卓越した星が観測されている。
 
太陽系は、複数回の元素合成の結果として形成されたと考えられているため、すなわち、複数のrプロセス天体現象を経験した結果である。
対して、金属欠乏星に見つかる元素のパターンは、1回あるいは少ない回数での元素合成の結果だと考えられる。
すなわち、複数のrプロセス天体現象を経験した結果である。
すなわち、1つのrプロセス天体現象のそのままの結果であるか、色濃く反映されていることになり、重要な研究対象である。
対して、金属欠乏星に見つかる元素のパターンは、1回あるいは少ない回数
での元素合成の結果だと考えられる。
すなわち、1つのrプロセス天体現象のそのままの結果であるか、
色濃く反映されていることになり、重要な研究対象である。
 
太陽系元素組成におけるrプロセス元素とrプロセス元素過剰な金属欠乏星の元素パターンは、いくつかの例外を除いて驚くべき一致をみせており、
天体現象によらず、rプロセスの物理環境が似たようなものであることが示唆されている。また、この観測値の一致については、rプロセスの「ユニバーサリティ」とも言われる。
の元素パターンは、いくつかの例外を除いて驚くべき一致をみせており、
天体現象によらず、rプロセスの物理環境が似たようなものであることが
示唆されている。
また、この観測値の一致については、rプロセスの「ユニバーサリティ」とも言われる。
 
== 参考文献 ==