「お見立て」の版間の差分

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あらすじのシェイプ(過剰な改行と約物を整理)、情報の整頓
→‎あらすじ: 禅寺のシーンを訂正、バリエーションの加筆
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喜助は杢兵衛に「さっきのは旦那を傷つけないための嘘で、実は花魁は、先月のこの日に亡くなったのです。『わちきはこのまま死んでもいいが、杢兵衛お大尽に、ひと目会いたいよ』と言って……」と言いつつ、湯飲みの茶を目尻に付けて泣くふりをする。杢兵衛が「これから墓参りにいくべ。寺はどこだ?」と尋ねるので、困った喜助はとっさに「[[山谷 (東京都)|山谷]]です」と答えてしまう(吉原から山谷は歩いて行けるほどの近距離である)。喜助は花魁部屋に取って返し、喜瀬川に相談する。「どこでもいいから、山谷の寺に杢兵衛を案内して、どの墓でもいいから『喜瀬川花魁の墓でございます』って言えばいい。うまくいったらお小遣いをあげる」
 
喜助は「お花と[[線香|お線香]]をたくさんお買いになってください。お線香は、なるたけ(=なるべく)煙の出るものを、お花は大盛りにして……」と杢兵衛に指示する。花と線香の煙で、墓石に刻まれた名を隠してごまかす算段であった。ふたりが山谷へ向かう道中、杢兵衛は喜助に「喜瀬川の[[宗派|宗旨]]は何だね」とたずねる。喜助はしどろもどろになり「ええその、あっ、[[禅#日本の禅の歴史|ゼンデラ]]宗です」と適当に答える。杢兵衛は「[[禅宗]]か。じゃあ、この寺だな」と、一帯で唯一の禅寺の墓地に入る。
 
喜助は寺番の老婆か大量の[[仏花]][[線香]]を買う。「お線香は、なるたけ(=なるべく)煙の出るものを……」花と線香の煙で、墓石に刻まれた名を隠してごまかす算段であった。喜助はたくさん並んだ墓のひとつを適当にひとつ選んで杢兵衛を案内し、花を山積みになように供え、束のままの線香に火をつけて、杢兵衛に参るよう促す。杢兵衛は案内されるまま、その墓に線香をあげ向かって、のろけたり泣いたりしながら手を合わせて読経する。線香の煙にむせ、思わず[[扇子]]で煙を払うと、墓石の[[戒名]]は「養空食傷信士(ようくう しょくしょう しんじ。「良う食う=[[食中毒|食傷]]」という地口)」で、没年は「[[天保]]三年」となっている。「『信士』とは男の戒名だ。[[天保]]3年といえば大昔、[[鼠小僧]]の死んだ年でねぇか! バカ野郎、墓を間違えやがって」「へぇ、あいすみません、こちらでございます」「[[南無阿弥陀仏]]、南無阿弥陀仏……『天垂童子、[[安政]]二年卯年』。これは子供の墓じゃねえだか!」「失礼しました、こちらです」「『故 [[陸軍]][[上等兵]]某』。いってえ(=一体)本当の墓はどれだ!?」
 
「へえ、ズラリとたくさんございます。よろしいのをひとつ、お見立て願います」
 
== バリエーション ==
* 冒頭で「張り見世」の説明を行わずに、ふたりが寺へ向かう道中のシーンで、喜助が「いい花魁は他にもいっぱいいますよ。いつでも旦那にお見立ていたします」と言い、杢兵衛が「今はそんなことを考えられない」と言って叱る、というセリフを挿入する、という演じ方がある。
* 墓石に書かれた戒名は、演者によって細かく異なる。
 
== エピソード ==