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== 成立までの経緯 ==
范曄は[[字]]は蔚宗と言い、幼い頃から学問に長じ、経書に通じて文章・音楽を良くしたという。宋の創始者・[[劉裕]]に仕えて尚書吏部郎となったが、左遷されて宣城[[太守]]になり、在任中の[[432年]]([[元嘉 (南朝宋)|元嘉]]9年)、『後漢書』を著した。ただし范曄が執筆したのは本紀と列伝のみである。志については、范曄が後に[[文帝 (南朝宋)|文帝]]の弟、[[劉義康]]擁立の事件に関ったことで処刑されたので書かれていない。後に南朝[[梁 (南朝)|梁]]の[[劉昭]]は、范曄の『後漢書』に、[[西晋]]の[[司馬彪]]が著した『[[続漢書]]』の志の部分を合わせ注を付けた。このため現在伝わるのは、後述の李賢注と劉昭注の『続漢書』の志を合刻した[[北宋]]時代の版本に基づくものである。
 
范曄著『後漢書』の成立は既述の通り、[[432年]]と後漢滅亡から200年以上が経ってからのことであり、年代的には『後漢書』より後の時代の範囲を記述している『[[三国志 (歴史書)|三国志]]』の方が、范曄の『後漢書』よりも約150年も前に既に成立していた。後漢滅亡から200年余りの間に後漢についての歴史書を数多くの史家が著している。後漢がまだ存続していた時から書かれた同時代史書である『[[東観漢記]]』、東晋の[[袁宏]]の『[[後漢紀]]』など。その他にも数多くの史書が存在していて、これを八家後漢書(あるいは七家)と呼んでいる。
*『後漢書』([[呉 (三国)|呉]]の[[謝承]]
*『後漢書』(呉の[[薛瑩]])
*『後漢書』(西晋の[[華嶠]]、『漢後書』とも)
*『続漢書』(西晋の[[司馬彪]])
*『後漢書』(東晋の[[謝沈]]
*『後漢書』(東晋の[[袁山松]]
*『後漢書』(著者不明)
*『漢紀』(東晋の[[張璠]]
范曄は『東観漢記』、『後漢紀』をベースにこれらの書物を参照しながら、『後漢書』を著した。しかし八家後漢書はほとんど現存しておらず、[[汪文臺]]『七家後漢書』、[[裴松之]]の『三国志』注などのこれらの書物から引用した書物から集めた一部分のみ見ることが出来る(『東観漢記』は『[[永楽大典]]』からの輯本(引用された文章を集める事で散逸した書物を復活させること)があり、司馬彪の『続漢書』は、前述の通り志の部分が現存している。袁宏の『後漢紀』はほぼ完全な形で現存している)。
 
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『後漢書』に最初に注釈を付けたのが既述の劉昭の手による『集注後漢』であるが、[[本紀]]・列伝部分の注釈は散逸し、志に付けた注釈部分が現存している。
 
そして本紀・列伝に付けられた注釈として最も有名なものが[[唐]]の章懐太子[[李賢 (唐)|李賢]]の手によるものである。李賢は[[高宗 (唐)|高宗]]・[[武則天]]夫婦の六子として生まれ、兄の[[李弘]]が[[皇太子]]の座を廃されてから皇太子に立てられながら、後に実の母親に殺害されたといわれる人物である。この李賢注は文の解釈と共に足りない事実の補填をその他の書物から取って非常に高い評価があり、その他の『後漢書』に対して范曄の『後漢書』が存続したのも李賢注があるからだと言う評もある。
 
その他の『後漢書』の注釈としては[[清]]の[[恵棟]]の『後漢書補注』、[[王先謙]]の『後漢書集解』、[[李慈銘]]の『後漢書集注』がある。
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| [[:s:zh:後漢書/卷83|巻83]] || <!--八十三 -->逸民列傳<!--第七十三--> || [[野王二老]]・[[向長]]・[[逢萌]]・[[周黨]]・[[王覇 (逸民)|王覇]]・[[厳光]]・[[井丹]]・[[梁鴻]]・[[高鳳]]・[[台佟]]・[[韓康]]・[[矯慎]]・[[戴良]]・[[法真]]・[[漢陰老父]]・[[陳留老父]]・[[ホウ徳公|龐公]]
|-
| [[:s:zh:後漢書/卷84|巻84]] || <!--八十四 -->列女傳<!--第七十四--> || [[鮑宣]]妻・[[王霸]]妻・[[姜詩]]妻・[[周郁]]妻・[[班昭|曹世叔妻]]・[[樂羊子]]妻・[[程文矩]]妻・孝女曹娥・[[許升]]妻・[[袁隗]]妻・[[趙娥|龐淯母]]・[[劉長卿]]妻・皇甫規妻・[[陰瑜]]妻・[[盛道]]妻・孝女叔先雄・[[蔡エン|董祀妻]]
|-
| [[:s:zh:後漢書/卷85|巻85]] || <!--八十五 -->東夷列傳<!--第七十五--> || [[夫余|夫餘]]・[[挹婁]]・[[高句麗|高句驪]]・[[東沃沮]]・[[ワイ人|濊]]・[[三韓]]・[[倭]]
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**後漢書 別冊 人名索引・地名索引 ISBN 400-008871-8  
 
*[[渡邉義浩]]編、[[池田雅典]][[岡本秀夫]]ほか訳注、[[汲古書院]](全18巻別册)、2001年12月~
**全譯後漢書 本紀1 (光武帝紀~和帝紀) 第1册 ISBN 9784762927041
**全譯後漢書 本紀2 (安帝紀~皇后紀) 第2册 ISBN 9784762927058