「銀河の形成と進化」の版間の差分

多くの銀河は、他の銀河と重力で結びついており、他の銀河の引力から逃れることはできない。銀河の大きさが同程度の時は、結果として生じた銀河はどちらとも似ていないものになる<ref>Barnes,J. Nature, vol. 338, March 9, 1989, p. 123-126</ref>。同じくらいの大きさの銀河同士の衝突のイメージを描いたのが左図である。融合の間、両方の銀河の恒星や暗黒物質は、他方の銀河の影響を受ける。融合の最終段階に向けて、重力位置エネルギーや銀河の形が急速に変化し始め、恒星の軌道も大きく変化する。この過程は力学的緩和(violent relaxation)と呼ばれる<ref>van Albada, T. S. 1982 Royal Astronomical Society, Monthly Notices, vol. 201 p.939</ref>。衝突中には秩序だった恒星の運動はランダムなエネルギーに代わり、結果として生じた銀河では恒星はランダムな方向に運動する。これが、楕円銀河で我々が見ている姿である。
 
[[ファイル:Antennae galaxies xl.jpg|thumb|200px|right|[[アンドロメダ触角銀河]](NGC4038/4039)は、衝突した1対の銀河の衝突の例である。銀河内ような衝突で恒星の密度希薄で星間距離も長いので、両方の銀河の恒星衝突せずに通り過ぎる。これは、個々の構成のサイズに比べ、星間空間が非常に広大だからである。しかし分散した銀河内のガス雲は衝突しやすく、重力の影響を受けて局部に圧縮され[[星形成]]の契機となる。したがって衝突を免れた恒星も、若い星の重力や強い輻射を受けるなど影響は少なくない。明るい青い部分は、銀河の衝突によってできた若くて熱い恒星を示している。]]
融合した銀河は非常に多数の[[星形成]]の場にもなる<ref>Schweizer, F. Starbursts: From 30 Doradus to Lyman Break Galaxies, Held in Cambridge, UK, 6–10 September 2004. Edited by R. de Grijs and R.M. González Delgado. Astrophysics & Space Science Library, Vol. 329. Dordrecht: Springer, 2005, p.143</ref>。融合する銀河では、毎年太陽質量程度の数千個の新しい恒星が生まれており、これは銀河系で10個程度であるのと比べると非常に多い。銀河の融合で恒星同士が衝突することはほとんど無いが、巨大な分子雲は銀河の中心部に急速に落ち込み、他の分子雲と衝突する。これらの衝突によって、分子雲の密度が高まり、新しい恒星の誕生の場となる。この現象は近傍宇宙でも観測できるが、10億から100億年前に形成された今日見られる楕円銀河の形成過程においては、分子雲の量も多かったため、より盛んであった。また、銀河の中心部から離れた領域では、分子雲は相互に衝突し、この衝撃が新しい恒星の誕生の刺激となる。このような激しい過程の結果として、銀河が融合した後には新しい恒星の形成のための分子雲はほとんどなくなる。銀河が大きな衝突を起こし数十億年経過すると、銀河に若い恒星はほとんどなくなる。これが、今日我々が観測するような、若い恒星や分子雲をほとんど含まない楕円銀河の姿である。これは、楕円銀河が銀河の進化の最終的な姿であるためと考えられる。
 
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