「重症筋無力症」の版間の差分

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3~8%に[[甲状腺機能亢進症]]がみられる。[[甲状腺]]機能の亢進は、筋無力症状を悪化させうる。胸腺腫合併MGに合併しやすい自己免疫性疾患としては尋常性白斑、脱毛などの皮膚疾患や赤芽球癆などの血液疾患である。
 
== 胸腺と重症筋無力症 ==
重症筋無力症の発症機序の解明および治療標的として胸腺は非常に重要な組織と考えられている。重症筋無力症における胸腺の主な働きは、抗体産出の場、抗原蛋白質(AChR)の発現部位、AChR特異的T細胞の次奥的活性化、抗原提示細胞の存在部位、MHCクラスⅡ蛋白質の発現、サイトカイン発現亢進、免疫細胞のpositive・negative selectionの異常、胸腺過形成(または胸腺腫)内の抑制性T細胞の機能不全などが考えられている。
 
== 診断と分類 ==
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|エドロホ二ウム||アンチレクス|| ||診断、投与量の調節
|}
 
;ステロイド
初期増悪に注意して漸増する。40%前後で投与後1~2週間以内に症状の増悪(初期増悪)をきたし、約10%でクリーゼにいたる。初期増悪の機序に関しては未だ不明である。軽症MGにおいてはステロイド導入せずに胸腺摘除術を施行することが一般的である。亜急性進行で呼吸筋、球筋の障害が目立ち術後増悪が懸念される症例に限って、胸腺摘除術に先行してステロイドを導入することにより手術を安全に施行することができ、術後クリーゼを回避できる可能性を示唆している。
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胸腺摘除術の一般的な方法は胸骨を縦切開して、周囲の脂肪組織を含めて摘出する拡大胸腺摘除術であり、その効果は数ヶ月以上先に現れる。胸腔鏡や縦隔鏡による術式もある。胸腺腫関連MGでは全例胸腺摘除術の適応と成る。摘除後は速やかなMG症状の改善やAChR抗体減少が得られないことが多い。胸腺摘除が有効な非胸腺腫MGは一部に限られ、若い発症、病初期のACh抗体陽性過形成胸腺例とされている。おおむね60歳以下の全身型で抗AChR抗体陽性、ステロイド薬を使用しても十分なコントロールが得られない場合に適応とされている。眼筋型や抗AChR抗体陰性の場合は適応がないと考えられる。
;免疫抑制剤
カルシニューリン阻害薬である([[タクロリムス]]水和物製剤や[[シクロスポロン]]の他[[アザチオプリン]]製剤、[[シクロホスファミド]]が用いられる。副作用としてはシクロスポリンでは感染症、血圧上昇、耐糖能異常、腎障害、歯肉肥厚、多毛などがある。タクロリムスでは感染症、耐糖能異常、白血球増多、筋痙攣などがみられる。カルシニューリン阻害薬やシクロホスファミドは症状改善効果が期待できるがアザチオプリンは効果発現に2~3年必要とされている。
([[タクロリムス]]水和物製剤や[[アザチオプリン]]製剤、[[シクロスポリン]]製剤が用いられる。
;免疫グロブリン大量療法
[[免疫グロブリン大量療法]]はクリーゼの際になどに用いられる。
;血漿交換
単純[[血漿交換]]のほか、トリプトファンカラムによる免疫吸着療法なども行われる。
;リツキシマブ
他の治療法で効果が十分でない場合に検討される。長期的効果と早期効果の両者が認められる。
 
== 予後 ==