「項 (言語学)」の版間の差分

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== 内項と外項 ==
語彙要素Xの項は、統語的にその語彙要素の最大投射XP(もしくはX′投射<ref>これは研究者の採用する分析によって異なる。例えば Williams (1981)では最大投射、[[統率・束縛理論]]で[[動詞句内主語仮説]](後述)を取るHilda Koopman and Dominique Sportiche (1991) ではX′投射である(次の脚注の“The Stowellposition (1991)of psubjects.115 参照)。</ref>)の外側に生起する''Lingua'外項'''と内側に生起す 85: 211-258 ではX′投射であ'''内項'''とに分けられる<ref>例えば、Stowell(Stowell, Tim (1991) “The alignment of arguments in adjective phrases.” In Susan D. Rothstein, ed.,'' Perspectives on Phrase Structure: Heads and Licensing,'' Syntax and Semantics 25, 105-135. San Diego, CA: Academic Press の p.115 参照)。</ref>)の外側に生起する'''外項'''と内側に生起する'''内項'''とに分けられる<ref>この区別は Williams (1981) で導入された。</ref>。語彙要素Xの外項は、叙述関係 (predication relation) の観点からは、その語彙要素Xの投射で表される述語によって叙述される要素に相当する<ref>Williams (1981) の pp.83-84。</ref>。
 
例えば、「太郎が 時計を 壊す」の場合、動詞「壊す」は項として「太郎」と「時計」を取っており、「太郎」は動詞の最大投射VPの外側([[動詞句内主語仮説]]<ref>主語は動詞句の{{仮リンク|指定部|en|Specifier}}に生成されるという仮説。Koopman, Hilda and Dominique Sportiche例えば、三原健一 (19911998) “The『生成文法と比較統語論』 position東京:くろしお出版 of subjectsp.” ''Lingua'' 85: 211-258 で提案された45。</ref>によるとV′の外側)にある<ref>ある要素が動詞句の外側にあるか内側にあるかは、「そうする」との代替が可能かどうかなどの{{仮リンク|構成素テスト|en|Constituent (linguistics)#Constituency tests}}で確認できる。</ref>ので外項、「時計」は内側にあるので内項である。そして、外項「太郎」は、「壊す」の投射である述語「時計を壊す」によって叙述されている。
 
各々の語彙要素は外項を1個か0個持ち<ref>Williams (1981) の pp.83-85。</ref>、外項を持つときはその外項が主語になることが多い。例えば、一般的な[[他動詞]]においては外項が主語、内項が目的語となり、自動詞の場合は外項が主語となるもの([[非能格動詞]])と外項を持たず内項が主語となるもの([[非対格動詞]])がある<ref>例えば、三原健一 (1998) 『生成文法と比較統語論』 東京:くろしお出版 の pp.2-3。</ref>。
 
:(a) 太郎が[外項] 時計を[内項] 壊した。(一般的な他動詞)