「空燃比」の版間の差分

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混合気中の酸素と燃料が、過不足なく反応する時の空燃比を'''理論空燃比'''という。例えば、[[ガソリン]]1gの燃焼には空気14.7gが必要であり、ガソリンにおける理論空燃比は14.7となる<ref>[[模型]]用エンジンなどに用いられる[[メタノール]]は6.45、[[ニトロメタン]]は3.96で、ガソリンに比べ燃料の割合が高い</ref>。理論空燃比よりも濃い[[混合気]]の状態を混合気がリッチであるといい、薄い状態をリーンであるという。理論空燃比のことをストイキオメトリー(ストイキ)ともいう。
 
== 乗用車用ガソリンエンジンの実際の空燃比 ==
今日の[[ガソリンエンジン]]では[[排気ガス]]浄化のために[[三元触媒]]が使われており、これが有効に機能するためにはストイキ近傍で燃焼させることが必要である。
 
しかし、常にストイキで燃焼しているわけではなく、[[燃費]]に有利で有害排出物質が少なくなるリーン傾向の'''経済空燃比'''と、[[出力]]を稼ぎやすく発進時や[[加速]]時に使われるリッチ(過濃)傾向の'''出力空燃比'''<ref>こちらは燃料がい = [[炭化水素|HC]]と[[一酸化炭素|CO]] が発生しやすい</ref>がある。[[負荷]]の状況によって空燃比は使い分けられており、常にその値は変化している。
 
さらに、高回転化したエンジンでは、熱負荷の軽減([[冷却]])のためリッチ傾向で運転されることが多い。
* ストイキのまま回転数を上昇させると、たとえ[[点火時期]]を早めても排気[[バルブ#内燃機関におけるポペットバルブ|バルブ]]の開弁後かなりの時間にわたり燃焼が終了せず、[[アフターファイアー]]を生ずる。
* 高出力時には発生する熱量そのものも膨大となり、[[シリンダー]]、シリンダヘッド内壁面や、バルブシートその他からの放熱だけでは間に合わなくなる。結果として、主に排気バルブや[[ピストン]]の溶損等を生じる。
 
これを防ぐため、空燃比をかなりリッチ傾向の設定とする。これにより燃焼速度が高くなり、アフターファイアーが緩和され、また、燃焼しきれないガソリンの[[気化]][[潜熱]]([[蒸発熱]])により、バルブ周りやシリンダ内が冷却される(エキゾー[[排気ガ|排気]]と共に排熱される)。しかし、この状態での運転は、燃費が悪化するのはもとより、[[三元触媒]]が働かないなどの弊害もある。
 
このため高速連続運転の比率の高い欧州車等の一部の乗用車では燃費改善のため、
* 金属[[ナトリウム]]封入排気バルブの採用(バルブ溶損の防止)
* シリンダー壁面材料を高い熱伝導率を持つアルミ等へ変更(シリンダ壁面放熱性の向上)
等を行い、ガソリン過剰を少しでも改善させる方策が採られているが、技術上の問題やコストの観点から、多くの乗用車に普及するまでには至っていない。