「自由貿易」の版間の差分

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無制限な資本移動の自由によって開発途上国における賃金格差が増大することが近年わかってきている。1993年から2008年までの間に、サハラ以南のアフリカの国々の[[ジニ係数]]は9%増加した
<ref name=economist2014aug23G>[http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21613280-why-globalisation-not-reducing-inequality-within-developing-countries-revisiting Free exchange: Revisiting Ricardo] The Economist, 23 Aug 2014</ref>。この現象はリカードの比較優位説に欠陥があることを示唆するものであり、ノーベル賞学者[[エリック・マスキン]]らによる比較優位説修正の動きが始まっている。マスキンによる労働者マッチング法によれば、グローバル化によって[[中間財]]のアウトソース傾向が強まり、発展途上国の(とりわけ輸出企業の)熟練労働者は先進工業国の非熟練労働者と共同しやすくなり賃金が伸びていく。途上国の非熟練労働者は、グローバル化以前はその途上国内の熟練労働者と共に働いていたがグローバル化によってその共同作業者を失いがちになり、その結果生産性が低下し賃金が伸びない<ref name=economist2014aug23G />。現にメキシコの輸出企業の労働者は非輸出企業に比べて60%高い賃金を得ている。インドネシアでは外資系企業の社員は国産企業の社員より70%高い賃金を得ている。
 
===金融政策の不確定性の増大===
[[リーマンショック]]後の不況と高失業率に対して米国[[FRB]]は大規模な量的緩和で対処してきたが、緩やかな回復傾向にある経済にあってもパートタイム労働者の割合の増加や労働参加率の低下やターンオーバーの増加などが見られる。これらが周期的要因で起きているなら金融政策で対処できるが、いくらかの要因には対処できないとする見解を[[ジャネット・イエレン]]をはじめFOMCは出している<ref name=macrobusiness2014aug25G />。またグローバル化(あるいは企業が企業収益のみを追求すること)によって労働者の実質賃金が低下するケースをFOMCが金融政策ではコントロールできないと考えており<ref name=macrobusiness2014aug25G>[http://www.macrobusiness.com.au/2014/08/janet-yellen-brings-the-doves/ Janet Yellen brings the doves] MacroBusiness, 25 Aug 2014</ref>、これによって賃金上昇の阻害がおこり労働指標が現実の労働市場を反映しない可能性がある。これによってFOMCのメンバーが、利上げなど金融政策の出口政策を考える上での不確定要素となってしまっている<ref name=macrobusiness2014aug25G />。
 
== 脚注 ==