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[[画像:Cow_female_black_white.jpg|thumb|ホルスタイン種]]
 
'''ホルスタイン''' (Holstein) 、または'''ホルスタイン・フリーシアン''' (Holstein Friesian cattle) は[[ウシ]]の品種のひとつで、名前は[[ドイツ]]の[[シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州]]にちなむ。日本では主に[[乳牛]]としてのイメージが強いが、欧州では肉乳両方を目的として肥育されている。
 
== 起源 ==
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<ref>[[オランダ]]は干拓により面積を広げてきたので、当時のライン川河口は[[ロッテルダム]]よりも、はるかに内陸部にあった。</ref>
に産した[[在来種]]を起源として、[[ゲルマン民族]]の移動に伴われて西に進み、[[オランダ]]に定着して乳用種として改良されたものである。よって、起源は[[ドイツ]]であるが、[[品種]]としての[[原産地]]という意味では、[[オランダ]]の[[フリースラント]]が正しい。ドイツの[[シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州]]も、この品種が牛の主流をなしている。その後、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]にも[[オランダ]]からもたらされた([[1795年]]~[[1852年]])。初めは'''ホルスタイン'''と称したが、その後'''フリーシアン'''とも称され、対立したが、[[1889年]]から統一して'''ホルスタイン・フリーシアン'''と称することになった。[[日本]]にはアメリカから入った(明治18年、[[1885年]])ため、当初はアメリカと同様の呼称を用いていたが、次第に略され、ホルスタインと呼称するようになった。なお、欧州ではむしろフリーシアンの方が共通的な呼称である。
 
欧米はもとより世界中に最も広く分布しており、しかも、どの国においても、全頭数に対しての比率が高まりつつある。
 
== 身体・特徴 ==
[[File:Red Holstein.jpg|thumb|赤白の斑のホルスタイン]]
特徴は黒白または白黒斑である。白地に黒斑があるように見えるが、実は、黒色の地肌に、(遺伝的に)優性の白斑が加わったものである。特に四肢、尾の先端付近、鼻面の周辺の6箇所は必ず白斑が入る事から、かつて日本では、本種を'''「六白牛」(ろっぱくぎゅう)'''と称した。
 
地肌が(先祖種のように)赤いものもあり、この場合は赤白の斑となる<ref>。これは、オランダで[http://geocities.yahoo.co.jp/gl/madeiyn/view/200502 [1844年]]以後数年間、体積を増すために[[ショートホーン]]種を交雑したことがあるので、その[[遺伝子]]が今も残ったものである。ことに、有力な種雄がそれを持っていたため、かなり伝播した。日本でも赤白斑のホルスタイン画像]</ref>がかなり多発するようになった
これは、オランダで[[1844年]]以後数年間、体積を増すために[[ショートホーン]]種を交雑したことがあるので、その赤毛の[[遺伝子]]が今も残ったものである。ことに、有力な種雄がそれを持っていたため、かなり伝播した。日本でも赤白斑のものがかなり多発するようになった。
 
体格は大型で、日本での成雌の標準は体高141cm、体重650kg。成雄でそれぞれ160cm、1,100kg。
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産肉能力は発育が早く、飼料効率もよく一日増体重は1.2kg程もある。と殺成績としては体が大きいので絶対肉量は多いが、長肢、骨太のため枝肉歩留は57%ぐらいで、ロース芯面積はやや小さい。脂肪の沈着は低めであるが、赤肉生産用としては問題ない。[[三重県]][[鳥羽市]]で飼育される[[肉牛]]の[[加茂牛]]はホルスタインの雄を肥育したものである<ref>[[生活協同組合]]コープみえ"[http://www.coop-mie.jp/goods-report/2010/201003.html 産直牛(加茂牛)]"(2012年1月7日閲覧。)</ref>。
 
性質は温順で、丈夫で飼いやすく産乳での飼料効率も高いが、高温、[[結核]]に対する抵抗性は弱い。
 
== 国による差違 ==
アメリカ、[[カナダ]]では乳専用として改良を進めたために大型化し、角張っており乳量が多い。
 
欧州では乳用種ではあるが、結果としての肉の活用も図っているので、やや短肢でかなり丸みを帯びた体型であり、乳量はアメリカ型に劣る。
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== 日本国内での考察 ==
日本での乳牛の主流になった理由としては、日本の[[酪農]]が飲用乳向けの都市近郊の専業酪農に発しているため、あまり濃厚ではないが多乳で飼料効率の利便性が良いため、他の品種を圧倒したと思われる。その後も国内の乳の主な仕向けが飲用であり、酪農が一般農家に普及したとはいえ飼育形態は初期の専業搾乳業に似て、小面積で多頭を飼い購入飼料への依存度の高いものであることと、大家畜は簡単に他の品種にえられないこともあって、現在の飲用乳産の主流となっている。また、道路網の発達により飲用乳圏が拡大され、保存法も進歩したので本種の優位性は今後も続くと思われる。
 
(参考文献 日本家畜人工授精師協会発行、人工授精師用テキスト)