「累進課税」の版間の差分

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単純累進税率方式では税率が課税標準の変化に応じて非連続的・階段状に変化するため、課税標準が増えた以上に税金賦課額が増加することがあり得るが、超過累進税率の場合はそのようなことはない。
 
日本における累進課税方式の代表例は政府税収の多くを占める[[所得税]]と、[[贈与税]]である。かつては地方公共団体の[[住民税]]も累進税であったが、平成19年度から一律10%(道府県税4%、市町村税6%)となった。
 
== 累進課税の特徴・評価 ==
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日本の所得税制度における基礎控除、配偶者控除制度は、一定金額以下の所得には課税しないため累進所得税と同じ効果をもたらす。このため生計の主たる部分を夫の所得に頼っている家庭では、妻の所得が年間103万円を超えると配偶者控除が受けられなくなることを嫌って、[[パートタイム]]で働く多くの主婦が年間103万円以上の仕事ができる能力と時間があるにもかかわらず年間103万円以下になるように「調整」している<ref>[http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1800.htm パート収入はいくらまで所得税がかからないか]</ref>。
 
自由主義者とされる[[フリードリヒ・ハイエク]]、[[ミルトン・フリードマン]]は、[[所得]]は貢献度に応じて支払われるべきものであり, 累進課税等による所得再分配政策は認めない。しかし、その一方では、貧困問題を放置するべきではないという姿勢を一貫して示している<ref>[http://research.n-fukushi.ac.jp/ps/research/usr/db/pdfs/00084-00007.pdf 2010年9月 日本における貧困議論の現状と展望 山上俊彦]</ref>。
 
地方(州)レベルの政府は累進税を採用したがらない傾向がある。隣接する二つの行政区で税率が異なれば、人々はより税率の低い地域に移転したがるからである([[足による投票]])。ただしこのような効果は、国家レベルの税制ではほぼ無視できる<ref>ポール・クルーグマン ロビン・ウェルス『クルーグマン ミクロ経済学』東洋経済新報社、2007年。p.606</ref>(たとえばドイツが一国だけで強い累進課税を採用すればオーストリアやスイスに移住する富裕層が増えるであろうが、そういう条件にある国はきわめて少ない)。
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* 経済不況時には、所得は減り税収も減少するため、財源として安定性を欠く。
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== 日本の累進税 ==
累進課税とは逆に、所得が少ない人ほど税の負担率が高くなる租税を逆進税という。
 
ある税が逆進的かどうかは所得に対する税率で評価される。たとえば高所得者層が支払う税の総額が低所得者層の支払う総額を上回っていたとしても、低所得者の所得に占める税負担の割合が高所得者の負担割合より大きい場合、その税は「逆進的」であると評価される<ref>ジョセフ・E・スティグリッツ『ミクロ経済学 第2版』東洋経済新報社、2002年。pp.648-649</ref>。そのような例としては、一般消費税や個別消費税(たばこ税、酒税)がある。また、[[人頭税]]についても、所得の多寡にかかわらず人間単位で同じ税額を課すものであるため、家計所得に対して逆進的に作用するとの説明がされることがある。
== 日本の累進税 ==
日本における累進課税方式の代表例は政府税収の多くを占める[[所得税]]と、[[贈与税]]である。かつては地方公共団体の[[住民税]]も累進税であったが、平成19年度から一律10%(道府県税4%、市町村税6%)となった。
 
また、[[人頭税]]についても、所得の多寡にかかわらず人間単位で同じ税額を課すものであるため、家計所得に対して逆進的に作用するとの説明がされることがある。
日本の累進税についてなされる議論のひとつは主に税率の高低に関するものであり、他の先進諸国と比較して税率が高いかどうかということが論点となる。もうひとつには累進税そのものの公平性を争う議論もあり、[[小泉内閣]]の[[国務大臣]]であった[[竹中平蔵]]は、〝(人が)同じように責任を果たし、義務を負うのであれば、税は所得に対して課するのではなくて、人頭税が望ましいでしょう。”として累進課税は「不公平」であるから、[[人頭税]]導入が理想であると主張した<ref>『[[Voice (雑誌)|Voice]]』[[2001年]]5月号[http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2001/04/10/post_42/ 竹中平蔵・櫻井よしこ連載対談 目を覚ませ、日本人 第5回]、[[佐藤雅彦 (メディアクリエーター)|佐藤雅彦]]との共著『経済ってそういうことだったのか会議』([[日本経済新聞社]])77ページなど</ref>。また竹中は「一番よい税は一人ずつ払うという意味でシンプルな人頭税であるが、もっと言えば税金の無い社会が一番よい」と指摘している<ref>佐藤雅彦・竹中平蔵 『経済ってそういうことだったのか会議』 日本経済新聞社学〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、402頁。</ref>。
 
== 逆進税学者の見解 ==
自由主義者とされる[[フリードリヒ・ハイエク]]、[[ミルトン・フリードマン]]は、[[所得]]は貢献度に応じて支払われるべきものであり, 累進課税等による所得再分配政策は認めていない。しかし、その一方では、貧困問題を放置するべきではないという姿勢を一貫して示している<ref>[http://research.n-fukushi.ac.jp/ps/research/usr/db/pdfs/00084-00007.pdf 2010年9月 日本における貧困議論の現状と展望 山上俊彦]</ref>。
累進課税とは逆に、所得が少ない人ほど税の負担率が高くなる租税を逆進税という。
 
日本の累進税についてなされる議論のひとつは主に税率の高低に関するものであり、他の先進諸国と比較して税率が高いかどうかということが論点となる。もうひとつには累進税そのものの公平性を争う議論もある。
ある税が逆進的かどうかは所得に対する税率で評価される。たとえば高所得者層が支払う税の総額が低所得者層の支払う総額を上回っていたとしても、低所得者の所得に占める税負担の割合が高所得者の負担割合より大きい場合、その税は「逆進的」であると評価される<ref>ジョセフ・E・スティグリッツ『ミクロ経済学 第2版』東洋経済新報社、2002年。pp.648-649</ref>。そのような例としては、一般消費税や個別消費税(たばこ税、酒税)がある。また、[[人頭税]]についても、所得の多寡にかかわらず人間単位で同じ税額を課すものであるため、家計所得に対して逆進的に作用するとの説明がされることがある。
 
日本の累進税についてなされる議論のひとつは主に税率の高低に関するものであり、他の先進諸国と比較して税率が高いかどうかということが論点となる。もうひとつには累進税そのものの公平性を争う議論もあり、[[小泉内閣]]の[[国務大臣]]であった[[竹中平蔵]]は、(人が)同じように責任を果たし、義務を負うのであれば、税は所得に対して課するのではなくて、[[人頭税]]が望ましいでしょう。”として累進課税は「不公平」であるから、[[人頭税]]導入が理想であると主張した<ref>『[[Voice (雑誌)|Voice]]』[[2001年]]5月号[http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2001/04/10/post_42/ 竹中平蔵・櫻井よしこ連載対談 目を覚ませ、日本人 第5回]、[[佐藤雅彦 (メディアクリエーター)|佐藤雅彦]]との共著『経済ってそういうことだったのか会議』([[日本経済新聞社]])77ページなど</ref>。また竹中は「一番よい税は一人ずつ払うという意味でシンプルな人頭税であるが、もっと言えば税金の無い社会が一番よい」と指摘している<ref>佐藤雅彦・竹中平蔵 『経済ってそういうことだったのか会議』 日本経済新聞社学〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、402頁。</ref>。
 
== 脚注 ==
<references/>
 
==参考文献情報==
{{参照方法|date=2014年10月|section=1}}
 
*「F.シェハーブ「累進課税論」」早見弘(小樽商科大学商学討究1959.9.15)[http://barrel.ih.otaru-uc.ac.jp/bitstream/10252/3238/1/ER_10(2)_81-101.pdf]