「プロテスタント」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
9行目:
プロテスタントは主にカトリック教会から分離した教派、さらにそこから分離した教派を指す。[[正教会]]をはじめとした[[東方教会]]から分離した教派を指すことはない([[古儀式派]]などはプロテスタントとは呼ばれない)。
 
[[聖公会]]([[イングランド国教会|英国国教会]])は、カトリック教会から分かれてプロテスタントの教義から影響を受ける一方で、カトリック教会の信条・聖職制度・[[典礼]]等を引き継いでいるという経緯がある。そのため、聖公会をプロテスタントに[[分類]]する見解もあり、聖公会も自身を「宗教改革の結果生まれた結果の教会としては、プロテスタントに属している」と規定している。一方で、カトリックの伝統も受け継いでいることから「中道の教会」「橋渡しの教会」とも位置づけている<ref>[http://www.nskk.org/osaka/seikoukai1.html 日本聖公会大阪教区]</ref>。[[イギリス王室|英国王室]]では、王位継承者でプロテスタント信仰を持っている者、正教の信仰を持っている者は王位継承後、[[スコットランド国教会]]にも帰属しなければならないとしており、この場合聖公会はプロテスタントに含まれると考えられる。
 
カトリックから分離した教派であっても、聖公会をプロテスタントと呼ぶか否かは上述のように当人らはプロテスタントと自認していてもる聖公会をそのように呼ぶか否かは、各教団・信徒個人で意見が分かれる。また同じくカトリックから分離した教派である[[復古カトリック教会]]は、プロテスタントを自認する聖公会とは[[フル・コミュニオン]]の関係にありながら、カトリックを自称しておりプロテスタントには含まれないとされる。このように、プロテスタントなのかそれ以外なのか線引きの難しい教派や教団も見られる。
 
非常に稀な例ではあるが、プロテスタントの流れでありながら正教会の奉神礼を採用している[[エヴァンジェリカル・オーソドックス教会]]という教派も存在する。これは元々福音派系プロテスタントであった教派が結果的に正教会の奉神礼を採用したのであり、源流は正教会ではなくカトリック分離組の流れ([[福音派]]経由)のプロテスタントである。なお、この教派の多くの教会は最終的にどこかしらの地域の正教会に合流しており、独自のプロテスタント教派としては現在では数を減らしている。
23行目:
 
=== 他教派との相違 ===
当項の冒頭にもあるように「プロテスタント」は諸教派の総体であって、プロテスタント全体の代表者や指導者のような存在([[カトリック教会]]における[[教皇]]や[[正教会]]における[[総主教]])や、プロテスタント全体を統括するような教団連合組織はない<ref>各教派、教団ごとの代表者、代表理事などの経営・運営上のトップは殆どの場合存在する</ref>。また、各教派の成立自体も初代統一プロテスタントからの分離・離脱から生じ、複数に別れたといったものではなく、最初期のプロテスタントである[[アナバプテスト]]、[[ルーテル教会|ルター派]]、[[カルヴァン派]]、[[ツヴィングリ派]]などは互いの影響は受けつつも、それぞれ全く別個に成立したもので、最初から統一されたプロテスタントは存在しなかった。それゆえ、前出の聖公会などをはじめ、「プロテスタントなのか、そうでないのか」が曖昧で線引きの難しい教派・教団が生まれる結果にもなっている。それぞれの成立については本項の系統の節参照。
 
対して、カトリック教会はそれに属するすべての教会が中央である[[ローマ教皇庁]]([[バチカン]])に結び付いている。[[正教会]]は基本的には国や地域ごとに教団は複数に分かれているものの、同じ教義・[[奉神礼]]を共有し、相互に[[フル・コミュニオン]]関係を維持する連合体として存在しており、[[イスタンブル]]の[[コンスタンディヌーポリ総主教庁]]を全地総主教庁と呼ぶなど、名誉的にではあるが全正教会の筆頭・総本山的扱いとしている<ref>ローマ教皇庁のような、全教会政治の最高権限を有しているわけではない。</ref>。そういった意味では、カトリックや正教会と同じような意味・用法での「プロテスタント」という名の教派は存在しないのである。