「オレステイア」の版間の差分

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==内容==
===『アガメムノーン』===
[[ミュケーナイ]]のアガメムノーンの宮の屋上にて[[トロイア戦争]]の勝利ののろしを待っている物見の男のうんざりした独白の中<ref>この物見の男は舞台背後のスケネと呼ばれる楽屋兼舞台背景となる建築物の上に上がって演技をする。意表をついたオープニングである。</ref>、のろしが上がるところから物語は始まる。コーラス隊が物語のここまでの経緯を説明した歌を歌ったのち、[[イーリオス]](トロイア)を陥落させた[[ギリシア]]軍総大将[[アガメムノーン]]が、10年ぶりにミュケーナイに凱旋帰国する。アガメムノーンの妃[[クリュタイムネーストラー]]([[ヘレネー]]の姉)が出迎え、二人は宮内に入るが、捕虜として連れられてきたトロイアの王女[[カッサンドラー]]は訳の分からない言葉を発しながら、アガメムノーン家に大きな不幸が起こると予言し、宮内に入るのを恐れる。ついにカッサンドラーが宮内に飛び込むと、アガメムノーンの悲鳴が宮内より聞こえてくる。宮門が開かれると、刃物を持ったクリュタイムネーストラーの足元にアガメムノーンとカッサンドラーが血まみれで倒れている光景が広がる。トロイア戦争へ出征する際、アガメムノーンは娘[[イーピゲネイア]]を女神への生贄として捧げた。これを怨んだクリュタイムネーストラーは、同じくアガメムノーンに恨みを抱いている[[アイギストス]]と深い仲になり、共謀して夫、そして捕虜たるその愛人を殺害したのだった。トロイア戦争におけるギリシア側の勝利という大義のためなら、娘の命を奪うこともやむをえないという父アガメムノーンにとっての正義は、愛する娘の命を戦争ごときのために奪ってはならないとする母クリュタイムネーストラーにとっての正義によって倒された。コーラス隊は妃を非難するが、クリュタイムネーストラーは娘を殺した犯人に対する復讐は正義に基づくものであると勝利の宣言をする。
 
===『供養する女たち』===