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== あらすじ ==
サクソン人の郷士セドリックはサクソン王家直系の血を引くロウイーナ姫の後見者であり、同じく王家の血を引くアセルスタンとの結婚を実現させてサクソン人勢力を統合し、サクソン人の復権を願っていた。だが一人息子ウィルフレッドあろうことかロウイーナ姫と相思相愛になってしまい、セドリックは計画を阻の障となため、息子を勘当させられてしまったする。ところがウィルフレッドは、仇敵のはずのノルマン人のイングランド王リチャードに従いアイヴァンホー領を貰い、十字軍に従軍してしまった。
 
物語はアイマー僧院長が[[テンプル騎士団]]の一員であるギルベールなどとセドリックの館で一晩の宿を求めるところから始まる。同じ日にユダヤ人の親娘のアイザックとレベッカ、そして聖地帰りの旅の巡礼がセドリックの館で一晩を過ごす。夕食後に旅の巡礼がロウイーナ姫に聖地で行われた馬上試合の模様を話す。巡礼は最後にギルベールが負かされた話になり言葉を濁すが、ギルベールはセドリックの息子ウィルフレッドに負けたこと、そして再戦を望んでいることを自ら言う。セドリックは勘当した息子の活躍に複雑な表情であった。
 
その夜、巡礼はユダヤ人アイザックをたたき起し、すぐに逃げるように言った。ギルベール達がアイザックの身ぐるみをはがす相談をしていたのを聞いたからである。巡礼が実は騎士身分であることを見抜いたアイザックはその巡礼に借りを返すため、彼が武具一式を知人から借りることができるように手配することを約束する。
 
=== 馬上試合(Tounament) ===
王弟ジョンの人気取りのため馬上試合が開かれた。1日目は5人の選ばれた騎士に対し参加者が挑戦する形式であり、2日目は2組に分かれての集団戦、そして3日目は弓の腕比べの予定であった。1日目に最も活躍した騎士は愛と美の女を選ぶ権利が与えられ、その女性は2日目に最も活躍した騎士に対し栄誉を与えることになっていた。
 
セドリックはロウイーナ姫とアセルスタンと共に馬上試合にやってきた。アセルスタンは参加するように促されたが、やる気示さない。
 
ギルベールは5人の選ばれた騎士の中でもリーダー格であった。挑戦する者たち全員撃退され観客が失望する中、兜をかぶったままの騎士が勘当された騎士と名乗りギルベールに実槍での勝利を申し込んだ。騎士は誓約を立てているために顔を明かせないといい、そういった誓いは当時一般に認められていたため許された。その勘当された騎士はギルベールを破ると残りの4人にも勝ち、王弟ジョンが苦い顔をする中で愛と美の女を選ぶ騎士に選ばれた。その騎士はロウイーナ姫を指名する。
 
勘当された騎士はセドリックの館に泊まった巡礼であった。セドリックの豚飼いガースを従者とし、ユダヤ人アイザックから約束通り武具を借り参加していた。慣習として勝者は敗者の武具を戦利品とする。4人の騎士からは武具の代わりに相当する代金を受け取るが、ギルベールからの使いには決着をつけることを望み武具の受け取りを拒否した。勘当された騎士は受け取った金をガースに託し借りている武具を買い取る代金としてアイザックの元へ行かせた。アイザックは喜んで代金を受け取るが、娘のレベッカは父の命の恩人に対する礼として武具を貸したのに代金を受け取るのはおかしいとして、ガースに代金を返した。帰途ガースは山賊に襲われが、勘当された騎士の従者と知られると、昼の痛快な活躍を見ていた首領が見ており、山賊は何も取らずに解放した。
 
翌日、ギルベールと勘当された騎士はそれぞれの組の主将となり、2組に参加騎士が分けられた。アセルスタンは婚約者のロウイーナ姫が目の前で愛と美の女に選ばれたのが面白くなく、ギルベール側についた。集団馬上試合ではやがてギルベールたち3人の騎士に勘当された騎士追いつめられるが、それまで試合場の隅で何もしていなかった黒い騎士が突然割り込み、助太刀をした。そのため勘当された騎士の組が勝利しギルベールは打ち負かされたが、勘当された騎士手傷を負ってしまった。その日の最優秀騎士も勘当された騎士だと衆目は一致していたが、王弟ジョンは面白くなく黒い騎士を指名した。しかしだが黒い騎士は試合終了後に立ち去ってしまいおり、勘当された騎士が2日目も最優秀に選ばれた。栄誉を受けるために顔を明かすように言われ、勘当された騎士はやむなく顔を明かすが、それはウィルフレッドであった。
 
ジョンは兄のリチャード王が虜囚から逃れたことを知らされ、日程を繰り上げ、3日目の弓の腕試しをすぐ行うことにした。そこでロックスリーと名乗る者が恐るべき腕を見せ、最後まで争った者からも脱帽され称えられた
 
ウィルフレッドの怪我は思ったより深かった。セドリックはウィルフレッドを連れ帰るように命じるが、その前に観戦に来ていたユダヤ人アイザックの娘レベッカが看病のために連れ出していた。従者をしていたガースは農奴であるために、セドリックに見つかり捕えられてしまった
 
森の中で黒い騎士は1人の僧の元へ一晩の宿を借りにきたようとする。僧は生臭ですぐに黒い騎士と意気投合し、酒盛りを始めて盛り上がる。
 
=== 虜囚と解放 ===
帰途のセドリック一行は、ウィルフレッドを連れていたアイザックとレベッカ親娘が護衛に逃げられ困っているところに行きあい、仕方なく同行させ。ウィルフレッドは馬車の中に寝かせられ、誰も気付かなかった。しかしそこにギルベール一行が現れてセドリック達を捕えられ、豪族レジナルド・フロン・ド・ブーフの城に連れて行かれてしまった。一味のモーリス・ド・ブラシーはふとしたことから馬車の中の人物がウィルフレッドであることを知った。アイヴァンホー領を横領しているレジナルド・フロン・ド・ブーフが知ったら殺してしまうであろうが、騎士道のために黙っていた。一行のうち道化のウォンと豚飼いのガースは逃れることができた。
 
セドリックとアセルスタンは一緒の部屋に幽閉された。一方でギルベールはユダヤ娘のレベッカの美しさに惹かれる。モーリス・ド・ブラシーはロウイーナ姫を貰おうと考える。
 
弓試合の勝者ロックスリーが森の僧の戸を叩いた。ガースとウォンと出会ったロックスリーはガースを逃がした森の義賊の首領であり、セドリック一行の解放を約束し、その助力を森の僧に頼みに来たのであった。黒い騎士も助力を願い出ると、アウトロー達を集めてフロン・ド・ブーフの城へ押し寄せた。
 
一方でウォンは僧の振りをして告解のためにフロン・ド・ブーフの城へ入り込み、セドリックのために身代わりとなり、セドリックを脱出させた。セドリックは自分よりもサクソン王家の地を引くアセルスタンを逃がすように言うが、ウォンは自分の主人はセドリックだと主張し、アセルスタンもセドリックが脱出して救出の手助けをしてくれるように言ったために、セドリックは服を交換して牢を出た。その途中、城の奥にいる老女ウルリカと出会う。その老女がかつてセドリックの父の親友の娘であり、その一族がフロン・ド・ブーフの父親に攻め込まれた際に親兄弟を殺され自身は慰み者になっていたのだった。しかし年をとり誰にも顧みられなくなっていた。ウルリカは自分のつらい人生を語り自分のみじめさを訴えるが、セドリックはなぜ隙をみて殺さなかったのかと言うと、ウルリカは名誉を取り戻すためにはそれしかないとうなずく。セドリックはそのまま城を出て黒い騎士たちと合流する。
 
黒い騎士の指揮の下、ロックスリーたちは城攻めを開始した。ギルベールなども奮戦するが、旗色が悪い。モーリス・ド・ブラシーは戦死し、フラン・ド・ブーフは地下の食糧庫にウルリカが城に火を放ったために、逃れられずに焼死した。ギルベールはレベッカを連れて逃げるが、自由の身となったアセルスタンがロウイーナ姫を連れて逃げようとしているのだと勘違いし、軽備もないまま立ちはだかり、ギルベールに脳天を叩き割られてしまった。
 
ウィルフレッドは塔の一室にモーリス・ド・ブラシーによって移され、レベッカが看護していた。火が回って危ういところをレベッカはギルベールが連れ出し、ウィルフレッドはとり残されたが、黒い騎士がウィルフレッドの残っていることを知り、助け出した。
 
セドリックはアセルスタンの最期を聞き、助け出したロウイーナ姫を連れてロックスリーと黒い騎士に感謝を伝えた。黒い騎士はこの借りを返してもらうつもりだと言った。
 
=== 裁判 ===
レベッカを連れ出したギルベールはアイマー僧院長の元へ戻ったが、ユダヤ人の女性を連れていることはすぐに知られてしまった。ギルベールはレベッカに愛を告白し、受け入れてくれるならばギルベールは今の境遇を全て捨て、中東へ行って一緒に住むとまで言うが、レベッカはギルベールの愛を拒絶した。レベッカは宗教裁判で聖堂の騎士を異教徒の身で誘惑し堕落させたとして死刑を宣告されるが、見知らぬ人からの助言で代戦士を求めた。レベッカのために戦う戦士が勝てば、レベッカが正しいことが証明され無罪となる。しかしユダヤ人であるレベッカのために戦うような人物はすぐには見つからない。レベッカはウィルフレッドは重傷であることを知っており、ウィルフレッド彼にはに頼めないことは分かっていた。アイザックはレベッカがギルベールに捕えられたことを知って僧院へ向かったが追い出されてしまったレベッカが代戦士を求めたために、そしてレベッカのために代戦士を見つけるために出発する。
 
セドリックはアセルスタンの居城に行き、善後策を練ることにしていた。アセルスタンの葬儀を営むが、そこへ黒い騎士ことリチャード1世が現れた。リチャード1世は勘当された騎士ことウィルフレッドの勘当を許すように求めた。そこへアセルスタンがひょっこりと現れ。アセルスタンは実は死んでおらず、回復して戻ってきたのであった。アセルスタンはロウイーナが自分を愛していないことを実感しており、ロウイーナとの婚約を自分から取り消した。そして友であるウィルフレッドとロウイーナの仲を祝福する。2人共が結婚を求めていないことを知り、セドリックはサクソン王家の復権を諦め、ウィルフレッドの勘当を許した。ウィルフレッドは黒い騎士ことリチャード1世に傷が治るまで動かないように命じられるが、レベッカの件を聞き、直ちに僧院へ向かった。
 
ギルベールはレベッカにこのままではレベッカも死に、代戦士も必ずギルベール自分に殺されると言い、翻意を促していた。共に逃げようというのであるが、レベッカは頑なに拒んだついにギルベールはレベッカのために戦おうとまで思ったのである。そこへ期限直前にウィルフレッドが来ると、ギルベールは今までの行きかりもあり、レベッカを死に追いやることとは知りながら、ウィルフレッドと戦う。しかしウィルフレッドが勝ち、ギルベールは死んでしまった。

レベッカは無罪を勝ち取ったが、ウィルフレッドを愛しつつもロウイーナ姫とウィルフレッドの仲を知っており、身を引くかのようにスペインへ向かおうと父のアイザックへ言うのであった。
 
== 登場人物 ==
;サー・ウィルフレッド・オブ・アイヴァンホー (Sir Wilfred of Ivanhoe)
:サクソン人セドリックの一人息子。物語の主人公。父の不興を買い勘当され、ノルマン人のイングランド王リチャード1世(獅子心王)に仕え、アイヴァンホー領を与えられる。第3次十字軍に王の忠実な部下の一人として従軍するが、傷のためにリチャード王が帰国の途についてしばらくはシリアに留まっていた。
 
;セドリック・オブ・ロザウッド (Cedric of Rosewood)
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:アルフレッド大王の血をひくサクソン人の中で最も高潔な血統の女性で、多くの領地も引き継ぐ。また、非常な美女として描写されている。ウィルフレッドの行方を気にしている。
 
;アセルスタン・オブ・コニングズバラ (Aethelstane of Coningsborough)
:サクソン人の血を引く騎士。セドリックからロウイーナ姫と結婚してサクソン人の王統を統一してほしいと望まれており、本人もロウイーナ姫のことを想っている。武芸はたつが、おっとりとしており、セドリックをやきもきさせることも多い。大食漢である。
 
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:ユダヤ人の商人。旅の巡礼を助けたことが縁で物語に関わる。ユダヤ人ということで多くの災難を受ける。
 
;レベッカ (WambaRebecca)
:本作品の準ヒロイン。アイザックの美しく心が優しい末娘。