「シュテファン=ボルツマンの法則」の版間の差分
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が導かれる。
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この法則と[[ヴィーンの変位則]]により、黒体輻射における電磁波の[[スペクトル]]の形に対する制限が見いだされる。
[[波長]] {{mvar|λ}} で表した放射発散度のスペクトルは
{{Indent|
<math>I_\
}}
となる。あるいは、[[振動数]] {{mvar|ν}} で表したスペクトルは
{{Indent|
<math>I_\nu(\nu,T) =\frac{c_1}{c^4} \nu^3 f\Big( (c_2/c) \nu/T \Big)</math>
}}
となる。
実際、全ての波長について積分した放射発散度は
{{Indent|
<math>I(T) =\int_0^\infty I_\nu(\nu,T)\, d\nu
=\frac{c_1}{c^4} \int_0^\infty \nu^3 f\Big( (c_2/c) \nu/T \Big)\, d\nu
:<math>x = {h \over kT} \nu</math>▼
=\frac{c_1 T^4}{{c_2}^4} \int_0^\infty x^3 f(x)\, dx</math>
}}
となり、積分が収束すればシュテファン=ボルツマンの法則 {{math|{{mvar|I}}∝{{mvar|T}}{{sup|4}}}} が導かれ、シュテファン=ボルツマン定数が
{{Indent|
<math>\sigma =\frac{c_1}{{c_2}^4} \int_0^\infty x^3 f(x)\, dx</math>
}}
と計算される。
=== プランクの法則による計算 ===
[[プランクの法則]]によれば、振動数 {{mvar|ν}} で表した放射発散度のスペクトルは
{{Indent|
<math>I(\nu,T) = \frac{2\pi h}{c^2}\frac{\nu^3}{\mathrm{e}^{h\nu/kT} -1}</math>
}}
で与えられる。
これは
{{Indent|
<math>f(x) =\frac{1}{\mathrm{e}^x -1}</math>
}}
の形をしている。放射定数は
{{Indent|
<math>c_1 =2\pi hc^2,~ c_2 =\frac{hc}{k}</math>
}}
であり、シュテファン=ボルツマン定数は
{{Indent|
<math>\sigma =\frac{2\pi k^4}{c^2h^3} \int_0^\infty \frac{x^3\, dx}{\mathrm{e}^x -1}</math>
}}
となる。
積分は[[リーマンゼータ関数#ゼータ関数の特殊値|ゼータ関数の特殊値]]の知識を用いて計算される。
[[ガンマ関数]]を用いた[[リーマンゼータ関数]]の定義式
{{Indent|
}}
により、この積分は
{{Indent|
<math>\int_0^\infty \frac{x^3}{\mathrm{e}^x -1} dx = \Gamma(4) \zeta(4)
}}
となる。
従って、シュテファン=ボルツマン定数は
{{Indent|
<math>\sigma =\frac{2\pi^5k^4}{15c^2h^3}</math>
}}
と計算される。
=== ヴィーン近似による計算 ===
高周波数領域における近似式である[[ヴィーンの放射法則|ヴィーンの公式]]においては
{{Indent|
<math>f(x) =\mathrm{e}^{-x}</math>
}}
の形をしており、積分は
{{Indent|
<math>\int_0^\infty x^3\,\mathrm{e}^{-x} dx =\Gamma(4) =6</math>
}}
となる。2つの放射定数がプランクの法則に基づく値と等しいとしてシュテファン=ボルツマン定数を計算すれば
{{Indent|
<math>\sigma_\text{Wien} =\frac{12\pi k^4}{c^2h^3}
=\frac{\sigma}{\zeta(4)} =\frac{\sigma}{1.0823\ldots}</math>
}}
となり、プランクの法則から導いた値と比べて少し小さい値となる。
=== レイリー近似による計算 ===
高周波数領域における近似式である[[ヴィーンの放射法則|ヴィーンの公式]]においては
{{Indent|
}}
の形をしている。積分は
{{Indent|
<math>\int_0^\infty x^2 dx</math>
}}
であり、発散してしまう。
== 応用例 ==
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