「生産性」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
11行目:
*生産性=アウトプット/インプット
 
より少ないインプットからより多いアウトプットが得られるほど、より'''生産性'''が高いという関係にあることがわかる。
 
生産性が高い方法は、'''生産性'''が低い方法よりも、より少ない[[コスト]]で[[生産]]ができたり、労働の[[余暇]]をふやせたり、[[利益]]を沢山上げたりできる。仕組みにも因るが、より多くのアウトプット(付加価値)を実現できる。
 
また、国際的には'''生産性'''の高い産業は生き残ることが出来るため、各方面で'''生産性'''の改善が活発に行われている。実際、国際的な競争下にある製造業(貿易財)の'''生産性'''は、非貿易財である[[サービス業]]に比べて概して高い。
 
'''生産性'''改善は、'''生産性'''という発想のもとである、[[製造業]]の生産ラインにおいては最も強く発揮されている。一方で、サービス業は、フローの把握や[[分業]]が進展していないこともあり、生産性の向上も遅れている。
 
なお、俗にサービス残業などに因る労働強度の増加に拠って生産、あるいは、利益を増やすことを'''生産性'''を上げると表現することがあるが、上記から明らかなようにその場合は労働力投入というインプットが増加しているため、仮にアウトプットが増加しても'''生産性'''が上昇するとは限らない。経済学者が'''生産性'''を上げるべきだと主張する時は、上記のようなあくまでインプット対比でのアウトプットについてであるが、これが「労働強度を高めて酷使されるという意味である」と混同される場合があり、注意が必要である。
 
==生産性の種類==
'''生産性'''には何を基準に置くかで幾つか種類が有る。これはインプットとアウトプットが何であるかに因って'''生産性'''という言葉の意味が異なるためである。
 
===資本生産性===
28行目:
 
===労働生産性===
[[労働力]](単位時間当たりの労働投入)1単位に対してどれだけ価値を産めたか。通常、労働力が遊ばないようになるだけ多く資本を装備すると、労働力の回転率が上昇して'''労働生産性'''が高まる。ただし、この場合は'''資本生産性'''が低下する。
 
===全要素生産性(TFP)===
上記の2項の'''生産性'''を含めて、全投入要素1単位に対してどれだけ価値が産めたかを指す。通常は緩やかな上昇基調であるが、[[イノベーション|技術革新]]の際に高い上昇を見せる。[[交通革命]]や[[IT革命]]などが、その革新に該当する。(IT革命による'''全要素生産性'''の改善については、なお、議論の余地が有る。)
 
===国民経済生産性===
産出量としての[[国内総生産|GDP]]を投入量としての就業者総数で除したもの。'''労働生産性'''の国際比較において使用される際には、各国の[[購買力平価]]でUSドル換算したGDPが用いられる。
 
[[File:OECD Productivity levels 2007.svg|thumb|500px|none|OECD諸国の時間あたりのGDPで算出した'''労働生産性'''の平均比較 (青線: OECD平均)]]
41行目:
 
==生産性と景気循環==
[[景気循環]]は'''生産性'''に大きく影響している。通常、大規模な[[イノベーション|技術革新]]が起こらない場合、'''労働生産性''''''資本生産性'''は逆の動きをする。
 
景気回復時には見かけ上での'''労働生産性'''の伸びが高めに出る傾向がある。これは労働者一人あたりの効率性が改善しなくても稼働率を高めることによって生産高を増加させることができるためである。逆に、景気後退時には、'''労働生産性'''の伸びが低めに出る傾向がある。
 
労働力の調整が硬直的な[[経済]]([[終身雇用]]制など)の場合、資本がより循環するため、景気回復時には'''労働生産性'''が上昇し、景気下降時には'''労働生産性'''が低下する。
 
労働力の調整が柔軟な経済([[解雇]]が比較的容易など)の場合、労働力がより循環するため、景気回復時には'''資本生産性'''が上昇し、景気下降時には'''資本生産性'''が低下する。
 
==生産性の成長要因==