削除された内容 追加された内容
m ボット: 言語間リンク 4 件をウィキデータ上の d:Q1041116 に転記
wikify(定義、見出し整理、リンクの適切化)
1行目:
'''GRAS'''(グラス)と、[[アメリカ食品医薬品局]](FDA)より[[食品添加物]]に与えられる安全基準合格証。'''Generally Recognized As Safe'''の[[アクロニム]]であり、日本語では'''(訳:一般に安全と認められる'''と翻訳される[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[食品添加物頭字語]]の[[ステータス]]である
[[動物実験]]などによる充分な毒性データがないものの、長年の食経験や科学的な知見などを総合して評価した場合に、食品添加物としての使用に際立った[[リスク]]がないとみなされた物質がこれに該当する。
 
== 制定の経緯概要 ==
アメリカにおいて[[1958年]]の食品添加物規制の大幅な改訂(Food Additives Amendment)の際に設けられた[[ポジティブリスト]]制度である。
このときに食品添加物に[[ポジティブリスト]]制度が設けられた。
すなわち、法律に指定されていない添加物は使用禁止とすることになった。
そこで従来から慣習的に使用されていた食品添加物をどうするかが問題となった。
そこで、それらの食品添加物のうち、食経験や科学的な知見から専門家が判断して一般的な使用法においてリスクがないものとみなされた物質をGRAS物質として使用できるようにすることとなり、[[連邦規則集]]第21編 Part170.30に規定された。<ref>[http://www.ffcr.or.jp/zaidan/CFR21.nsf/index?openview 日本食品科学研究振興財団のFDA 21CFR 和訳サイト]</ref>
これがGRAS物質のリスト化のはじまりである。
経緯としては日本における[[既存添加物]]リストの制定と類似している。
 
そこで毒性データの有無に関わらずそれら長年食品添加物のうち、食経験や科学的な知見から専門家が判断などを総合して一般的な評価した場合に、食品添加物としての使用おいて際立った[[リスク]]がないものとみなされた物質GRAS物質として使用できるようにすることとなり、リスト([[連邦規則集]]第21編 Part170.30に規定された。<ref>[http://www.ffcr.or.jp/zaidan/CFR21.nsf/index?openview 日本食品科学研究振興財団のFDA 21CFR 和訳サイト]</ref>)に加えられた。リストに指定されていない添加物は使用を禁じられる。
== 制度の概要 ==
この制度の開始により1958年時点で用いられていた添加物の中で充分な毒性データがないものがGRASとされた。
GRASとされた物質はその後に[[アメリカ食品医薬品局|FDA]]によって再評価がなされる。
再評価によってもGRASであることが確認された場合、GRAS確認済み物質というステータスとなる。
動物実験などによる毒性評価がなされた場合には、GRASではなく通常の食品添加物に移される。
また再評価の結果、使用禁止になる場合もある。
例えば[[サイクラミン酸]]はGRAS物質であったが、[[ラット]]への大量投与により[[膀胱癌]]の発生が確認されたため、1969年に[[デラニー条項]]により使用禁止となった。
 
== 制度評価概要流れ ==
この制度の特徴としてGRAS物質の認定には専門家による評価があればよく、政府(FDA)の承認を要求していない点があげられる。(なお、1997年からはFDAに評価の手順を届出、その手順に従って正しく評価が行われたことを確認する制度となっている。)
GRAS物質は、認定後にFDAによって再評価がなされる。再評価によってもGRASであることが確認された場合、その物質は「GRAS確認済み物質」というステータスとなる。再評価の結果、物質が使用禁止になる場合もある。例えば[[サイクラミン酸]]は最初GRAS物質であったが、[[ラット]]への大量投与により[[膀胱癌]]の発生が確認されたため、[[1969年]]に[[デラニー条項]]により使用禁止となった。
そこでアメリカの[[フレーバー]][[業界団体]]である[[Flavor and Extract Manufacturers Association]](FEMA)では1965年から独自に専門家によるパネル(FEXPAN)を設立し、[[フレーバー]]に関するGRAS物質リストを審査するようになった。
 
このリストは'''FEMA GRAS'''と呼ばれ、多くの国でフレーバーの規制に採用されている。
[[動物実験]]などによって得られる毒性評価がなされた場合には、GRASではな通常の食品添加物リストに移される。
FEMA GRASの審査法はデシジョンツリーを使用したものである。<ref>[http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-hyouka-170721-acetaldhyde.pdf 日本におけるアセトアルデヒドのデシジョンツリーによる審査。リンク先8ページ目]</ref>
 
[[JECFA]]のフレーバーの安全性評価においてもFEMA GRASの審査法は採用されており[[デファクトスタンダード]]となっている。
この制度の特徴として当初、GRAS物質の認定は専門家による評価があればよくのみで、政府(FDA)(FDA)の承認を要求していない点があげられるかった(なお、[[1997年]]からはFDAに評価の手順を届出、その手順に従って正しく評価が行われたことを確認する制度となっている。
日本においても2002年に[[食塩]]への[[フェロシアン化物]]の使用の認可からスタートした食品添加物規制の[[ハーモニゼーション]]において、フレーバー物質の評価方法として一部採用されている。
 
== FEMA GRAS ==
アメリカの食品用[[香料]](フレーバー)の[[業界団体]]・[[:en:Flavor and Extract Manufacturers Association|Flavor and Extract Manufacturers Association]](FEMA)において、[[1965年]]から専門家によるパネル(FEXPAN)が設立され、フレーバーに関するGRAS物質リストを独自に審査するようになった。このリストは'''FEMA GRAS'''と呼ばれ、多くの国で規制基準に採用されている。FEMA GRASの審査法は[[決定木|デシジョンツリー]]を使用したものである。
 
== 他国に対する影響 ==
経緯としては* 日本における[[既存添加物]]リストの制定と経緯がGRASと類似している。
 
* 日本において食品添加物規制の国際化が[[2002年]]より開始された際、FEMA GRASが一部採用されている([[食塩]]への[[フェロシアン化物]]の使用認可など)。
 
*[[JECFA]]の安全性評価においては、FEMA GRASの審査法が採用されており[[シジョファクトスタツリを使用したものであド]]となってい<ref>[http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-hyouka-170721-acetaldhyde.pdf 日本におけるアセトアルデヒドのデシジョンツリーによる審査。リンク先8ページ目]</ref>
 
== 脚注 ==