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(冒頭)普通鉄道以外の軌道の材質
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ここでは、普通鉄道に使われる鋼製の断面が逆T字型をした'''鉄道レール'''を中心に記述する。
 
== 概要 ==
レールは車両の重量を直接に支え、車輪からの1点荷重を枕木と道床に分布させとともに、車両に円滑な走行面を与え、車輪が脱線しないように車両を案内する役割を持っている。また、車輪の[[軸重]]による垂直荷重のほかに、[[蛇行動]]や曲線での横圧荷重や水平荷重に十分に耐えられるものでなければならない。また、信号機の制御に使用される、[[軌道回路]]の信号電流やモーターで使用された動力電流の[[帰線]]の通路としても使用されている。
 
== 形状 ==
レールの断面の形状として望ましい条件としては次のことが上げられる
 
*レール頭部の形状は車輪が脱線し難い
*レールの磨耗前と磨耗後の形状の差が少ない
*垂直荷重に対しては高い方が望ましい
*上首・下首の半径の小さいものは傷が入りやすいので避ける
*低部の形状は設置が安定し易いように幅を広くする
*上下中間の幅は錆や腐食にも考慮する
 
レールの断面形状には、橋型レール、双頭レール、牛頭レール、平底レール、溝付きレールなどの種類がある。橋型レールは、低部から頭部にかけて同じ幅で垂直に上がっているのが特徴であり、最近では使用されていない。双頭レールは、上下の両頭部が同形であり、転頭して上下を変えれば再利用ができる。牛頭レールは、双頭レールを改良したもである。両者はイギリスなどで使用されており、日本では鉄道創業時にイギリスから購入して使用されていた。平底レールは、低部の形状が安定しやすいように幅を広げた形状となっており、列車走行の荷重に対する曲げ強度も高く、磨耗にも強い、横圧に対しても安定性があり、レールの基本形状として国内外共に使用されている。溝付きレールは路面電車で使用されている。
 
== 分類 ==
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=== 熱処理レール ===
普通レールに磨耗の進行を抑えるために、焼き入れと呼ばれる[[熱処理]]を施して、強度・硬さを増した'''熱処理レール'''と呼ばれるレールがある。これには、HH340レールとHH370レールがある。'''頭部全断面熱処理レール'''は、曲線部の外側レールなどに用いられる。'''端頭部熱処理レール'''は、レールに大きな負荷がかかるがロングレールが使用できず、継ぎ目を設けねばならないような箇所に用いるとされる。
 
== 継ぎ目 ==
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=== 材質と性質 ===
材料としては強度・耐磨耗性・耐食性などから[[高炭素鋼]]が用いられる。この材質は、刃物ほど硬くはないが、相当の[[靭性]]と耐接触疲労性があり、[[溶接]]が可能である条件を元に成分が決められている<ref>成分は、C 0.60-0.75%、Si 0.10-0.30% Mn 0.7-1.1% P≦0.035% S≦0.040% 引っ張り強さ≧80Kgf/mm&sup2; 伸び≧8%である。</ref>。
材料としては[[高炭素鋼]]が用いられる。
腐蝕に対しては無塗装でも比較的良好な状態を保つ。海岸部では、錆の進行を抑える酸化皮膜が[[塩素|塩化物イオン]]により破れるので、錆の進行が早くなる。地下水で湿潤なトンネルの中での錆の進行は意外に遅いが、[[廃線]]または線路の使用中止により、列車が上を通過しなくなった軌条は、錆の進行が進みやすくなる。これは列車の通過により巻き起こされる風の効果であることが判明している。十分な酸素の供給により[[不動態]]化するという説がある。また、車両からのオイルなどが表面を覆って、結果的に腐食を防いでいることもある。
=== レールの損傷・摩耗と寿命 ===
レールは、列車の通過により繰り返しの荷重を受けており、車輪の走行により磨耗・変形・疲労・損傷が起こり、経年により腐食・電食が発生する、曲線部では車輪の横圧によりレール頭部の磨耗が多くなり、レールを締結する枕木の下の道床がコンクリート道床の場合では、
レールの頭部表面に斑状摩耗が発生して異常振動が発生することがある。また、湿度の高いトンネルや海岸に近い路線では、レールの腐食が進むこともある。そのためレールには寿命があり、レールを取替えることでレールの性能を維持する。50Kgレールでの摩耗によるレールの取替えは、高さで約15mm、断面積で約20%を許容限度としている。普通は10年-25年を標準として取替えているが、急曲線において列車回数の多い区間では1年足らずで取替える場合がある。また、通過トン数では、2-5億トン位がレール交換の目安とされている。
 
== 歴史 ==