「ハンガリーの民話」の版間の差分

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'''ラドカーン'''(Radokàn)とはハンガリーの民話名であり、主人公の魔法使いの名前でもある。竜に奪われた太陽と月を取り返すという民話で最後は太陽と月を奪い返し、復讐にやってきた竜の母も返り討ちにした
 
== 概要 ==
24頭の竜が月と太陽と暁の星を奪って、その国は暗黒の世に落ちたという。王は国中におふれを出して月と太陽と暁の星を取り返した者には娘と王国の半分を与えると約束した。ラドカーンは鍛冶屋に住む3人兄弟の末っ子だった。2人の兵士が鍛冶屋を訪ね「月と太陽と暁の星を取り返す勇者を募集してる」と言ったところラドカーンは志願した。そんなラドカーンを気に食わず自分たちもラドカーンを妨害した上で志願した。ラドカーンは横になって兄弟たちが出かけたところを見計らうと、とんぼ返りしてグリフィンに変身した。2人の兄が橋の上で24頭の竜によって丸裸にされかけた時に一気に持っていた剣で24の首を切り落とした。24頭の竜の持ち物だった馬と肩掛け袋にぶら下げていた太陽を手に入れた。さらに橋の前に着くと、24頭の竜の兄弟が馬に乗りながら肩掛け袋に月と暁の星を入れているとこを発見した。さっそく橋の下から攻撃する。この時3羽の大カラスの助力もあって奪還した。2人の兄弟がたどり着いたときにはラドカーンは月を暁の星を奪還済みだった。ラドカーンはさらに猫を見失った2頭の竜の母のところまで行き、とんぼ返りするとさっそく猫に変身した。ラドカーンは竜が猫をなでている隙を見てとんぼ返りして竜の目を刺した。さらにとんぼかえりして蚊の姿になってその場を逃げた。逃げる途中、今度は小人が現れ勝負を挑む。そこで小人は何とラドカーンの袋を奪い、月と太陽と暁の星を天に投げてしまった。その瞬間国中が明るくなった。ラドカーンは仕方なく王に国中が明るくなったことを報告しようとした。ラドカーンが城門の中に入るろうと、そこに老いた母竜もやってきた。ラドカーンに顔が見えるよう穴をあけてくれと懇願した。すると竜は穴に鼻を突っ込んでしまいには頭まで突っ込んだ。竜が大口をあけて街中を飲み込もうとするとき、7年間もかまどで焼いた巨大な棍棒があったので鍛冶屋のヤノーシュは竜の口に棍棒を突っ込んで退治した。王は仕方なくラドカーンに国の半分と娘を差し出したという。
 
== 補足 ==
天体解放民話の1つとされる。本民話は東方からもたらされたとされており、ルーマニア、ブルガリア、スロヴァキアにも類似民話がもたらされている。ハンガリーにおける本民話はマイランド・オスカール([[w:hu:Mailand Oszkár|Mailand Oszkár]])<ref>トランシルヴァニアの民俗学者(1858生-1924没)である。</ref>がルーマニアの[[ムレシュ県]]カルガレニ(Călugăreni)<ref>オルトゥタイ著、徳永康元編訳「ハンガリー民話集」岩波書店(岩波文庫)1996,p332.より。しかしカルガレニは「[[カルガレニの戦い]]」で有名なあのカルガレニだとしたら参考文献は間違いということになる。[[ジュルジュ県]]カルガレニになり、ブルガリア国境付近ということになる。当然、そこは旧ハンガリー領ではない。参考文献に挙げられているCălugăreniのスペルもジュルジュ県の「カルガレニ」と全く同一である。なお参考文献はカルガレニを旧マロシュトロダ(Marostorda)県ミクハーザ(Mikháza)としている。ミクハーザ([[w:hn:Mikháza|Mikháza]])はムレシュ県にちゃんとあるので、ここは参考文献の方が正しいとみなした。</ref>で採取したものとされている。マイランドは1901年、1902年、1903年に民謡と民話を採集した。当時のルーマニアのムレシュ県はルーマニアではなくオーストリア=ハンガリー二重帝国<ref>[[オーストリア=ハンガリー帝国]]とも言う。</ref>の領土だったことに留意したい。収集民話はハンガリー-ルーマニア民話の比較上大変重要とされており、初めの半分は『ハンガリー民話集』第七巻として刊行され、後の半分の手稿部分は民俗博物館資料室に収蔵されている。その一部に残っていたのが「ラドカーン」である。
 
本民話のもう一つの特徴は太陽と月が奪われていたにもかかわらず国がどのように真っ暗だったのかという描写もまったくないという点も注目したい。この物語はそれだけでなくランプなどの照明器具は一切物語には登場しないのである。
 
== 脚注 ==
4,340

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