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[[Image:Lindwurm.jpg|thumb|[[ドイツ]]・[[バイエルン州]]ヴルマンスクイック({{lang-de|Wurmannsquick}})の紋章におけるリントヴルム({{lang-de|Lindwurm}}) 翼のない竜である。 ]]
 
'''リンドヴルム王子'''(リンドヴルムおうじ、{{lang-en-short|Prince Lindworm}})は[[デンマーク]]及び[[スウェーデン]]南部地方に伝わる[[伝承]]であり、[[スカンディナヴィア]]の有名な民話である。日本語では「龍の王」({{lang-en-short|King Lindworm}})や「蛇王子」という題名にすることもあるが、ここでは忠実に物語の最初である「リンドヴルム王子」という題名で解説する。北欧では「レンオアム王子」の話型で、デンマーク、スウェーデン南部のスコーネしかみられないという。この物語は19世紀の[[ロマン主義]]時代に中世文学の復興という形で失われつつあった民話伝承をかき集めたものである。[[アールネ・トンプソンのタイプ・インデックス|AT分類]]433Bに分類される物語である。
 
==リンドヴルム王子物語の概略==
 
あるところに、子に恵まれない事を悩んでいる王妃がいた。ある日、出会った魔女に王妃が相談したところ、庭にある2輪のバラのうち、女の子が欲しければ白いほうを、男の子が欲しければ赤いほうを食べるようにという助言をもらった。王妃は女の子が欲しかったので白いバラを食べた<ref>たまねぎの皮を食べた、あるいは、魔法の木の実を使うという物語も見られる。</ref>が、バラがおいしかったので、魔女から2輪とも食べてはならないと忠告されていたにも関わらず、赤いバラも食べてしまった。王妃はその後双子の子供を産んだが、一方は人間の子、もう一方は醜い竜であるリンドヴルムであった<ref>「双子」の記述がない物語も見られる。</ref>。
 
リンドヴルムは王妃のベットの下にいつもいて、ときおり王に自分が子であることを認めるよう懇願した。しかし、王はリンドヴルムを子と認めず、激怒したリンドヴルムは「子と認められぬなら、かわりに数日のうちに私に妻を捜せ。さもなければ、父上を食い殺す」と王を脅した。
 
王は言う通りにするしかなく、リンドブルムとその妻のために地下に館を建て、また、国中からリンドブルムの妻となる少女を集めた。リンドブルムは集められた少女の中から1人選んで花嫁として自分の館に連れて行った。しかし、花嫁はリンドヴルムを愛さなかったために、リンドブルムは花嫁を食らい、また新しい花嫁を選ぶということを繰り返した<ref>花嫁を食べる記述は児童向け物語ではカットされることがある。</ref>。
 
国中のだれもが王子がリンドブルムであることを知り、国民は娘を差し出さなくなった。そこで、遠くに住む羊飼いに美しい娘がいるということを知った王は、家族に娘を差し出すよう命じた。娘は今度は自分が食べられてしまうことを覚悟し、家族は嘆き悲しんだ。王都への途上、娘は王妃に子供を授かる方法を助言した魔女と出会い、リンドブルムに対する対処法を教わった。
 
娘は助言の通り、大量の木の枝、桶一杯のミルク、亜麻布を竜の館に持っていった。王都の館に到着し、リンドブルムがやってくると、娘は魔女から教わった通り、「脱げよ、皮」、「脱げよ、皮」と7回繰り返した。繰り返すたびにリンドブルムの鱗が抜け落ち、とうとうリンドブルムは肉塊のような姿となった。それでも娘は一切臆することなく、助言の通りに肉塊となった竜を枝で7回打ち、ミルクの入った桶に入れ、最後に亜麻布に包んでベッドの上に寝かせた。
 
すると、次の朝ベットの上には誰も見たことの無い美しい王子がいた。王子と娘はその場でお互いに愛を感じ、結婚した。
 
===リンドヴルム王物語===
この話には続きがある。王が亡くなると王子が王位を継ぎ、竜王の名で呼ばれたという。羊飼いの娘も王妃となった。王妃は戦場の王に子が生まれたという知らせを手紙で送るのだが、使いの者が王妃を(玉の輿で成り上がった者と)妬んでおり、「犬2匹が生まれた」と書き直した。王は犬を大事にするようにと返事を出した。しかし謀があり、王と王妃を妬む別の妃は手下に「2人の息子を連れて王国から逃れるよう」にと王の手紙を書きなおすよう命令した。王妃は手紙を読んで2人の子を養子に出して王家を出て、気が付くと山に登っていた。
 
山頂には2つの王座があった。さらに白鳥と鶴がそれぞれ座っていた。そこであの時同様ミルクをのませたところ<ref>他説では鶴と白鳥の2人を生んだことがある「人」が母乳を出す場面と単にミルクという記述がある。木の実での物語りはここで最後の魔法の木の実を使う。</ref>、美しい王子2人に姿を変えた。やがて王妃は2人についていくと城の前にはガラスの城がそびえていた。王妃はここで2人のために尽くし、王を待つことにした。
 
戦から帰った王は激怒した。王妃を探すため国中を血眼になってさがし、ようやく竜王は山頂にあるガラスの城<ref>ガラスではなく水晶の城という記述で紹介する本もある。</ref>を発見した。しかし、2人は王妃を取られるのをいやがり、竜王と王子のどちらを選ぶのかと王妃に迫った。王妃はこう答えた。
 
「白鳥王は親しい人、鶴王は最も近しい人、だが竜王こそわが杯を掲げます」
こうして竜王は王妃を取り戻し、2人の子もやがて両親のもとにもどったという。そして名君と称えられた竜王と王妃とその子ども達は幸せに暮らしたという。意地悪な妃は全ての経緯を知った竜王の逆鱗に触れ、処刑された。
 
==リンドヴルムとは==
[[image:Seljord_komm.svg|180px|thumb|紋章に見るスカンディナヴィアのリンノルム([[シーサーペント|大海蛇]])<ref>[[ノルウェー]]の[[テレマルク県]]の基礎自治体 Seljord の紋章。</ref>]]
[[リントヴルム|リンドヴルム]]<ref>{{lang-de|Lindwurm}} リントヴルム; {{lang-en|Lindworm}} リンドワーム; {{lang-da|Lindorm}} レンオアム; {{lang-no|Linnorm}} リンノルム [<{{lang-non|Linnormr}} 蛇]。</ref>は、ドイツでは蝙蝠のような翼を持った翼竜の表現が多く、飛竜と呼ばれる。
<!--ワイバーンは翼竜のように翼があるため、コメントアウト。
イギリスでは翼のない竜という表現が多く[[ワイバーン]]とほぼ同じである。ワイバーンと同様、紋章にも使用される竜で敵に対する容赦なさという意味もあれば勇壮という意味もある。-->
 
オランダにおいて、{{lang-de|Lindwurm}}に相当する{{lang-nl|Lintworm}}は一般に[[サナダムシ]]を意味する。{{lang-nl|worm}}は[[蠕虫]]、[[ミミズ]]を意味する。
 
[[スカンディナヴィア]]では巨大な[[シーサーペント|海蛇]]として扱われる場合が多い。スカンディナヴィアでは19世紀まで海蛇のリンドヴルムを目撃したという情報が絶えなかった。特に18世紀から19世紀にかけては遠洋漁業の漁師や水夫や乗客から海大蛇の目撃談が絶えなかった。したがってリンドヴルムの姿は様々である。ちなみに北欧での呼び方の「レンオアム」とはワーム({{lang-en-short|worm}})という意味であり大蛇のような風貌である。この物語は19世紀に地元収集家が残した手稿による民話集であるため、今回の物語のリンドヴルムは[[ワーム (伝説の生物)|ワーム]]に近いリンドヴルムと思われる。
 
== 注釈 ==
4,340

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