「京阪神」の版間の差分

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|data8 = [[ファイル:Nishi-Umeda.jpg|260px]]<br />大阪
|data9 = [[ファイル:Port of Kobe02s4100.jpg|260px]]<br />神戸
|header10 = 範囲<ref>2005年国勢調査における京阪神大都市圏の範囲。紺は中心市、青は 10% 都市圏、水色は 1.5% 都市圏を示す。</ref>
|data11 = [[ファイル:Keihanshin.PNG|260px|center]]
}}
'''京阪神'''(けいはんしん)は、[[京都市|'''京'''都市]]・[[大阪市|大'''阪'''市]]・[[神戸市|'''神'''戸市]]の3市の総称、あるいは、これら3市を中心とした[[近畿地方]]の主要部を指す地域名称である。
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=== 総称としての「京阪神」 ===
単純に三都市の名前から一文字ずつ取ったもので、「[[京阪神三大学]]([[京都大学]]・[[大阪大学]]・[[神戸大学]])」など三都市に限った事象や施設を一つのグループとして表現する際に使用する。
; 「京阪神」の名称がつく企業
*[[京阪神ビルディング]](旧:京阪神不動産)
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=== 地域名称としての「京阪神」 ===
*京都市、大阪市、神戸市、および、これら3市の[[衛星都市]]を合わせた都市圏を指す。近畿地方あるいは西日本の中心部。
*上記3市を中心として、[[近畿]]2府4県([[三重県]]を除く近畿地方)の全[[都道府県庁所在地|府県庁所在地]]が集中している経済地域。各指標により範囲は異なるが、経済・文化的に相互依存関係が強い。近畿地方の主要部。
 
== 京阪神大都市圏 ==
[[ファイル:Keihanshin.PNG|400px|thumb|{{Color|Navy|■}}中心市、{{Color|Blue|■}}都市雇用圏(10%都市圏)、{{Color|CornflowerBlue|■}}絶対都市圏(1.5%都市圏)を示す<ref name="keihanshin_daitoshi-ken">{{PDFlink|[http://www.stat.go.jp/data/chiri/map/c_koku/daitoshi/pdf/2010.pdf 平成22年国勢調査 大都市圏・都市圏全国図]}}</ref>]]
[[総務省]]では、大阪市・京都市・神戸市の3市を中心市とした[[都市圏 (総務省)|1.5%都市圏]](絶対都市圏)を'''京阪神大都市圏'''としている(2005年[[国勢調査]])。範囲は、右上の図の紺色・青色・水色部分に相当し、大阪府全域、兵庫県南部、京都府南部、[[奈良県]]北部および南部の一部、[[滋賀県]]南部および北部の一部、[[和歌山県]]の[[橋本市]]・[[岩出市]]・[[かつらぎ町]]・[[九度山町]]、[[三重県]]の[[名張市]]に及び、人口は約1,864万人。[[日本]]では、[[首都圏 (日本)|首都圏(関東大都市圏)]]に次ぐ規模を誇っており、[[三大都市圏]]あるいは[[七大都市圏]]の一つとされる一方、世界10位前後の[[大都市圏]]である。(→[[世界の都市圏人口の順位]])。[[国内総生産|GDP]] は2009年現在で世界第3位である<ref>[http://www.creativeclass.com/rfcgdb/articles/Global%20metropolis.pdf World’s Largest Metropolitan Regions by LRP]2009年3月、トロント大学により公表</ref>。この地域の業務・物販面などの[[第三次産業]]では、大阪市の[[都心]]が抜きん出ているため、同市の都心を中心とした都市圏を京阪神大都市圏と見なすこともある(→[[大阪]]を参照)。
[[総務省]]では、大阪市・京都市・神戸市の3市を中心市とした[[都市圏 (総務省)|絶対都市圏(1.5%都市圏)]]を'''京阪神大都市圏'''としている(2005年[[国勢調査 (日本)|国勢調査]]<ref name="keihanshin_daitoshi-ken" /><ref>2010年国勢調査では近畿大都市圏としている。</ref>)。範囲は右図の{{Color|Navy|■}}{{Color|Blue|■}}{{Color|CornflowerBlue|■}}部分に相当し、大阪府全域、兵庫県南部、京都府南部、[[奈良県]]北部および南部の一部、[[滋賀県]]南部および北部の一部、[[和歌山県]]の[[橋本市]]・[[岩出市]]・[[かつらぎ町]]・[[九度山町]]、[[三重県]]の[[名張市]]にまで延び、[[人口]]は約1,864万人。
 
日本国内においては、[[首都圏 (日本)|首都圏(関東大都市圏)]]に次ぐ規模で[[三大都市圏]]の一つとされる一方、全世界においても10位前後の[[都市圏]]である。(→[[世界の都市圏人口の順位]])。[[国内総生産|国内総生産(GDP)]] は2009年現在で世界第3位である<ref>[http://www.creativeclass.com/rfcgdb/articles/Global%20metropolis.pdf World’s Largest Metropolitan Regions by LRP]2009年3月、トロント大学により公表。</ref>。この地域の[[第三次産業]]では、大阪市・京の[[心]]が抜きん出ているため、同の都心を中心とした都市圏を京阪大都の3圏と見なすこともある。一方、大阪のほか各々京都市と神戸市も[[昼間人口|昼間人口比]]が1100を超えているため、各々が中心市となって都市圏を形成しているとも考えられる。その立場に立った[[都市雇用圏]]|都市雇用圏(10%都市圏)]]では、[[大阪都市圏]]、[[京都都市圏]]、[[神戸都市圏]]と、別々に都市圏(相対都市圏)を設定している。
また、近代都市はその成長過程で[[工業]]を富の基盤とし、[[労働者]]を引き寄せて人口集中を実現する例が多い。日本でも[[高度経済成長]]期まで、大都市の都市部では[[第二次産業]]人口が最も多かった。この観点から、世界的には[[工業地帯]]に形成された人口密集地帯を1つの「[[都市]]」とする例が見られる。この伝統的な見方に沿う場合、大阪市・神戸市を中心とした[[阪神工業地帯]]を1つの都市(都市圏)とし、近代重化学工業を基盤としない京都市を中心とした都市圏は別に扱う。このように「阪神都市圏」と「京都都市圏」に分ける例は、[[国際連合]]の [[Urban Agglomeration]] や[[プライスウォーターハウスクーパース|プライスウォーターハウスクーパース (PwC)]] 社の都市圏別 GDP<ref>{{PDFlink|[http://www.pwc.com/uk/eng/ins-sol/publ/ukoutlook/pwc_ukeo-section3-march07.pdf PwC社による都市圏別GDP]}}。このレポートでは「京都都市圏」と「阪神都市圏」は別々の都市圏とされている。「阪神都市圏」の GDP は世界7位。</ref>などに見られる。
 
また、近代都市はその成長過程で[[工業]]を富の基盤とし、[[労働者]]を引き寄せて人口集中を実現する例が多い。日本でも[[高度経済成長#日本の高度経済成長期|高度経済成長期]]まで、大都市の都市部では[[第二次産業]]人口が最も多かった。この観点から、世界的には[[工業地帯]]に形成された人口密集地帯を1つの「[[都市]]」とする例が見られる。この伝統的な見方に沿う場合、大阪市・神戸市を中心とした[[阪神工業地帯]]を1つの都市(都市圏)とし、近代重化学工業を基盤としない京都市を中心とした独立した都市圏は別に扱う。このように「阪神都市圏」と「京都都市圏」に分ける例は、[[国際連合]]の [[Urban Agglomeration]] や[[プライスウォーターハウスクーパース|プライスウォーターハウスクーパース (PwC)]] 社の都市圏別 GDP<ref>{{PDFlink|[http://www.pwc.com/uk/eng/ins-sol/publ/ukoutlook/pwc_ukeo-section3-march07.pdf PwC社による都市圏別GDP]}}。このレポートでは「京都都市圏」と「阪神都市圏」は別々の都市圏とされている。「阪神都市圏」の GDP は世界7位。</ref>などに見られる。
[[ファイル:Wfm kansai overview.jpg|thumb|260px|right|大阪湾岸の人口密集地]]
 
;府県別の[[昼間人口]]と[[夜間人口]](2010年[[国勢調査 (日本)|国勢調査]])
{| class="wikitable" style="font-size:small; text-align:center"
;府県別の[[|+ 昼間人口]][[夜間人口]](2010年[[国勢調査 (日本)|国勢調査]]
! 府県
!昼間人口
!間人口
! 間人口
! 昼夜差
|-
| [[三重県]]
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[[江戸時代]]には、上述の内陸水系物流ルート上の[[京都|京]]・[[大坂]]('''[[上方]]''')に、海路では[[西廻海運]]・[[菱垣廻船]]・[[樽廻船]]が繋がり、陸路では[[五街道]]などが整備されて、[[近江商人]]が日本各地に分散して上方を日本の物資の集散地および金融の中心地へと変えた<!--([[江戸幕府]]は、上方を直轄地とし、さらに[[御三家]]の内、東廻り航路の[[友ヶ島水道]]に[[紀州徳川家]]、[[東海道]]・[[中山道]]合流地に[[尾張徳川家]]を置いた)-->。大坂には各[[藩]]の[[蔵屋敷]]が集まり、世界初の商品[[先物取引]]所たる[[堂島米会所]]が置かれ、遠隔地取引での[[為替手形]]も用いられるようになり、大坂は「天下の台所」として日本経済の中心地となった。京は[[富裕層]]向けを初めとした高[[付加価値]]商品生産地、すなわち[[工業都市]]として発展し、製品・[[職人]]が日本各地へと流れ、付随して京文化の影響を各地に与えた。
 
[[明治|明治時代]]は幕末の[[開国]]により[[外国人居留地]]がおかれた神戸が国際貿易港として発展し、同じく[[川口居留地]]がおかれた大阪、そして京都も次第に都市の近代化が進んでいった。「天下の台所」と呼ばれた経済都市の大阪は健在であったが、江戸期以来[[参勤交代]]で富裕層の集住に成功して大消費地となった[[江戸]]が、[[東京]]となって[[中央集権]]体制を確立し、税と外貿で富を更に集めるようになった。しかし[[1894年|明治27年]]に勃発した[[日清戦争]]を契機に、大阪は「東洋のマンチェスター」と呼ばれる日本最大の商工業都市に発展し、神戸は東洋最大の[[港湾都市]]へ飛躍するなど、再び日本における文化・経済の中心地となった([[阪神間モダニズム]]も参照)。さらに[[1923年|大正12年]]の[[関東大震災]]後には関東からの移住者が多数あり、文化・経済の更なる興隆を見た。
 
昭和10年代、[[日中戦争]]から[[第二次世界大戦]]へ突入していく中で[[近衛文麿]]政権により戦時体制が作られ、様々な業種が国家の統制管理に置かれる状況となって、京阪神や他の地域の企業が統合されて東京に本社を置くことになったり、京阪神から東京へ企業や[[財閥]]・[[資本家]]の移動が相次いだ。戦後の[[高度経済成長期]]には、[[阪神工業地帯]]などでの工場・事業所の新設や拡張などで、製造業生産高が増大していくが、[[東京一極集中]]による東京への本社や事業所の移転はその後も継続している。さらに工場などの生産拠点も、昭和60年代以降は[[円高]]による海外への移転が相次いでいる(「[[産業空洞化]]」も参照)。
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{{右|
<gallery widths="160px" perrow="2" style="font-size:small">
ファイル:Sakura MtHiei.jpg|京都から望む[[比叡山]](2005年4月)
File:Minami and Kita districts of Central Osaka, Japan.png|[[あべのハルカス]]から望む大阪中心部(2014年8月)
ファイル:Night view of Osaka bay.jpg|[[六甲山地掬星台]][[掬星台摩耶山]]からの景色望む(2008年12月)
</gallery>
}}
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大きな都市圏を形成している京阪神ではあるが、かなり起伏の富んだ地形が広がっている。主に[[大阪平野]]を中心に、[[播磨平野]]・[[京都盆地]]・[[奈良盆地]]・[[近江盆地]]に広がっている。この点で、起伏の少ない関東平野を中心として放射状に広がっている東京圏と比べると、[[生駒山地]]や[[六甲山地]]などの山地を挟んで都市が広がっている京阪神と大きく異なっている。
;地形
:*'''[[平野]]・[[盆地]]'''…大阪平野、播磨平野、京都盆地、奈良盆地、[[亀岡盆地]]、近江盆地、[[山科盆地]]、[[上野盆地]]
:*'''[[山地]]・[[山]]'''…生駒山地、六甲山地、[[紀伊山地]]、[[比叡山]]、[[生駒山]]、[[丹波高地]]、[[金剛山 (金剛山地)|金剛山]]
:*'''[[川]]'''…[[淀川]]、[[大和川]]、[[加古川]]、[[揖保川]]、[[紀の川]]
:*'''[[湖]]'''…[[琵琶湖]]
;気候
:気象予報などの地方区分では、'''近畿中部'''に分類される。主に平野部では[[瀬戸内海式気候]]、京都府南部・滋賀県南部・奈良県北部・三重県[[伊賀地方]]・伊賀地方などの内陸部は[[内陸性気候]]に属する。 また阪神地域では[[六甲山]]から[[六甲山#六甲颪|六甲颪]]、滋賀県[[湖西]]地域では[[比良山]]から[[比良おろし]]が吹き荒れる。また都市地域に広く覆われていることから[[ヒートアイランド]]がみられ、冬の冷え込みの弱さや夏の猛暑がもたらされ、その現象によって気候修飾を受ける。
:また都市地域に広く覆われていることから[[ヒートアイランド現象]]がみられ、冬の冷え込みの弱さや夏の猛暑がもたらされ、その現象によって気候修飾を受ける。
 
=== 郊外化 ===
京阪神では、[[アメリカ合衆国]]の例に倣った[[インターアーバン]](都市間電車)路線の建設が盛んとなった。[[阪神本線|阪神電気鉄道本線]]([[1905(1905]]開業)を嚆矢とし、続く[[箕面有馬電気軌道]](後の[[阪急宝塚本線]]、[[1910年]]開業)、[[阪急神戸本線|阪神急行電鉄神戸本線]]([[1920(1920]]開業)ほかの各線の開通は、神戸・[[北摂]]の未開拓な後背地であった近郊農村地帯への着目のきっかけとなり、快適な住環境創造を目的とする郊外住宅地の開発が、鉄道沿線である風光明媚な[[六甲山]]南斜面、いわゆる阪神間において進められた([[阪神間モダニズム]])。また、1934年の[[京阪神緩行線]]の開業によって、郊外の宅地化がさらに進んでいった
 
また[[第二次世界大戦]]前後から阪神地域以外でも、[[急電鉄神緩行線]][[(1934年開業)や阪急京都本線|京都本線]]や[[京阪電気鉄道|京阪電鉄]][[京阪本線]]を中心とした京阪地域や、[[近鉄奈良線]]を中心とした[[阪奈]]地域、[[南海本線]]や[[南海高野線]]を中心とした泉州、南河内地域でも積極的に行われていくようになった。とりわけ京阪神では[[私鉄]]が多くの路線を敷設して、鉄道会社が中心となって、沿線開発が進んでいった。
 
[[昭和]]末期から[[平成]]期に入る頃になると、通勤圏が遠方ギリギリにまで拡大する傾向が目立っている。例えば、兵庫県[[篠山市|篠山]]や京都府[[園部町|園部]](現・[[南丹市]]、奈良県[[大淀町|大淀]]、三重県[[青山町|青山]](現・[[伊賀市]]、滋賀県[[近江八幡市|近江八幡]]や[[高島市|高島]]、和歌山県[[橋本市|橋本]]までも拡大し、{{要出典範囲|[[兵庫府民]]・[[奈良府民]]・[[滋賀府民]]・[[三重府民]]・[[和歌山府民]]という俗語も登場した|date=2015年1月}}。その後は、[[都心回帰]]の傾向から通勤圏の拡大は弱まっている。
{{-}}
 
== 経済・学術 ==
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== 交通 ==
現在の京阪神は[[五畿七道]]では[[畿内]]に相当し、日本の中では他の地域に先駆けて古くから交通が発達していた。こうした交通網の発達は、[[明治]]以降鉄道建設や道路整備により、京阪神を一体の地域としての性格を強めることに大きな影響を与えた。ただし、起伏のある地形や京都・大阪・神戸それぞれが都市としての核であることから、首都圏のように[[東京都区部]]を中心として環状に交通網が延びているわけではないが、それぞれの核都市を中心に同心円状に拡がっている。
 
=== 鉄道 ===
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=== 道路 ===
[[File:Hanshin_Expressway.svg|thumb|300px400px|right|阪神地域における阪神高速と周辺有料道路]]
; 高速道路
* [[阪神高速道路]]
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<div style="font-size:small">{{Reflist}}</div>
 
== 関連項目 ==
{{colbegin|32}}
* {{Prefix}}
* {{Intitle}}
* [[大阪]]
* [[京都]]
* [[神戸市|神戸]]
* [[大阪都市圏]]
* [[堺都市圏]]
* [[京都都市圏]]
* [[神戸都市圏]]
* [[姫路都市圏]]
* [[和歌山都市圏]]
* [[域内総生産順リスト]]
*[[世界の都市的地域の人口順位]]
* [[NHK大阪放送局]]
* [[三都ネット]]
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== 外部リンク ==
* [http://www.kkr.mlit.go.jp/kensei/kansai-map-j.html 京阪神都市圏の都市再生] - [[京阪神都市圏シティプロモーションチーム]]
* {{PDFlink|[http://www.stat.go.jp/data/chiri/map/c_koku/pdf/map17g27.pdf 京阪神大都市圏 市町村別 昼間・夜間人口密度]}} - 2005年[[国勢調査]]{{リンク切れ|date=2015年1月}}
 
 
{{日本の地域}}