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この点に関する裁判例としては、次の1件が確認される。
*[http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081015110211.pdf 京都地判平成20年9月30日]礼金の法的性質は、賃料(賃貸借の対価)の前払いであり、当月末を賃料支払日とする民法614条本文に比べ賃借人の義務を加重しているから①には該当する。しかし、礼金には賃貸借の対価としての性質があること、賃借人としてはそれが不返還であることは認識していたと認められること、他にも賃貸物件がある中で賃借人は当該物件を選択したものであること、賃借人は途中解約でも全額不返還であることは認識していたものと認められるうえ途中解約の場合も全額不返還であることが前提となって賃料が設定されていることから全額不返還であることについての賃貸人の期待は保護されるべきであること、2.95ヶ月分の礼金は不当に高いとはいえないことなどの理由から②には該当するものとはいえず、当該事件における礼金約定が消費者契約10条に違反して無効であるとはいえないとした。
 
敷引特約については、災害のため家屋が滅失したことにより賃貸借契約が終了した場合に適用を否定した最高裁判例(最一小判平成10年9月3日民集52巻6号1467頁)があるほか、下級審では消費者契約法により無効であるとした事例がある。敷引特約の有効性に関する裁判例として以下のものがあげられる。
* 肯定
** [http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/83E0FB161D0CFF7B49256BFA0033511E.pdf 神戸地判平成14年6月14日](消費者契約法施行前の契約に関する裁判例) - 敷引特約は敷引額が著しく高額である等の特段の事由がある場合を除いて有効である。賃料1か月76,000円、敷金70万円(敷引28万円)などの内容の建物賃貸借契約における敷引特約は有効である。
** [http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110325093237.pdf 最一小判平成23年3月23日](消費者契約法施行後の契約に関する裁判例) - 敷引特約は敷引額が著しく高額である等の特段の事由がある場合を除いて有効である。なお、本件は通常損耗等の修繕を借主負担とし、その負担費用として敷引金契約上にて設定されているので、礼金とは趣旨が異なる。賃料1か月96,000円、保証金40万円(敷引21万円)などの内容の建物賃貸借契約における敷引きは有効である。
* 否定
** 神戸地判平成17年7月14日判例時報1901号87頁 - 敷引特約は関西地区における慣行であるが「信義則に違反して賃借人の利益を一方的に害するものと認められる」と述べ、消費者契約法10条により無効である旨判示した。
** [http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061124140230.pdf 京都地判平成18年11月8日]も同条による無効を認めた事例である。
 
礼金が賃貸借契約成立時に支払われる金銭であるのに対し、[[更新料]]は契約更新時に支払われる金銭である。賃貸人は賃借人が入れ替われば礼金を受け取ることができるから、更新料は賃借人交代がないことの埋め合わせの役割を果たすともいえる。しかし借地借家法・消費者契約法に照らしてその支払義務には礼金の場合よりも判断が分かれる。更新料の支払義務に関する裁判例(下級審のものを含む)として以下のものがあげられる。
* 肯定
** [http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080212144414.pdf 京都地判平成20年1月30日] - 建物賃貸借契約に関する本件更新料は主に賃料の補充としての性質を有する。本件更新料特約は消費者契約法10条・民法90条により無効であるとはいえない。
** [http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/AC6B04CAA5D3EE3349256CE70009865C.pdf 東京簡判平成16年6月14日] - 店舗の賃貸借契約(賃貸期間3年)について賃料の2か月分を更新料として請求することは認められる。
* 否定
** [http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090729130229.pdf 京都地判平成21年7月23日]、大阪高判平成21年8月27日 - 建物賃貸借に関する本件更新料特約は賃借人の利益を一方的に害する特約であり消費者契約法により無効である。
** [http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/6F5B0DB8AAAD5EC549256EA90027B92A.pdf 京都地判平成16年5月18日] - 建物賃貸借に関する本件更新料特約は法定更新の場合には適用されない。
** 最一小判昭和57年4月15日 - 建物賃貸借に関する本件更新料特約は法定更新の場合には適用されない。
 
=== 社会政策上の規制 ===