「コリントス同盟」の版間の差分

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=== 日本語訳 ===
{{cquote|誓約。[[ゼウス]]、[[ガイア]]、[[ヘーリオス]]、[[ポセイドーン]]、そして全ての神々と女神たちに誓う。国際社会の平和を遵守し、ピリッポス2世と交わした協定を決して破らず、海陸で攻め入ることも、この誓約を侵害することもしない。 いかなる都市、要塞、港も悪巧みや計略によって占領せず、これを引き起こした者には決して容赦はしない。ピリッポスや彼の子孫たちを退位させることも、この平和の誓約を交わした時の各国家の政体を変更することもしない。これらの協定に反することは決してせず、何人にもそれを許さない。しかし、もし何者かがこの誓約を破った場合、国際社会の平和のために誓約を破りし者に対して戦争も辞さない。この決定権はマケドニア王覇権国によって招集された評議会が受け持つ。 }}
 
== スパルタとの関係 ==
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スパルタはコリントス同盟に加わる意志を見せなかったので、ピリッポス2世はスパルタにもコリントス同盟に加わるように促した。その際に脅しの意味も含めて、下記のような手紙を送った。
 
*' ''If I invade Laconia you will be destroyed, never to rise again.'''
  ''もし私が[[ラコニア]]に攻め入れば、スパルタは破壊し尽くされ、二度と再興することはないだろう。''
 
これに対し、スパルタ側から返事の手紙がピリッポス2世の元に届けられた。
 
*' ''"If"(αἴκα)'''
  ''「もし」''
 
古代スパルタではラコニック・フレーズという返答方式が有名であり、できるだけ少ない語数で相手の虚を突く返答をし、自尊心を挫くことがラコニック・フレーズの特徴でもあった。この「もし」という一見短すぎる返答もラコニック・フレーズの例に漏れず、相手の自尊心を挫く効果が含まれていた。ピリッポスの言った「スパルタは破壊し尽くされ、二度と再興することはない」という脅しは、「もし私がラコニアに攻め入れば」が前提であり、その前提は「もし」という仮定に過ぎない。スパルタはそれを見抜き、「もし」という仮定の表現だけを返事とすることで、スパルタは決してマケドニア王国にラコニアを攻めさせない(徹底抗戦する)ということを暗に示したのであった。ピリッポス2世及びアレクサンドロス大王はこの返事を受け取った後、スパルタをコリントス同盟に引き入れることを諦めた。