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ブラウンのSFや推理小説は、最終的にはまともな説明がつくが、その前に超自然的またはオカルト的な脅威が登場することがある、というより、主人公が不条理な超自然的またはオカルト的な脅威に翻弄されている最中の心理描写と悪戦苦闘ぶりこそがブラウン作品の本領であり、合理的結末は単なる付け足しでしかない。
 
他の評価の高い推理小説として、1958年に[[アニタ・エクバーグ]]主演で映画化された『通り魔』、[[ウィリアム・アイリッシュ|コーネル・ウールリッチ]]を思わせるタッチようなサスペンス小説『遠い悲鳴』、実験的に複数人物の一人称視点を導入して[[アリゾナ州]]におけるアングロサクソンとラテンの人種的確執まで描いた『やさしい死神』などがある。
 
『手斧が首を切りにきた』も実験的作品で、ラジオの台本、脚本、スポーツ実況、テレビドラマ、演劇、新聞記事などを織り交ぜて物語を構成している。
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[[アイン・ランド]]は著書 ''[[:en:The Romantic Manifesto|The Romantic Manifesto]]'' の中でブラウンを高く評価している。[[ミッキー・スピレイン]]はブラウンを最も好きな作家だとしている{{要出典|date=2010年7月}}。[[ニール・ゲイマン]]もブラウン作品を愛しており、自身が原作を書いているコミック『[[サンドマン (コミック)|サンドマン]]』の一節で登場人物がブラウンの『手斧が首を切りにきた』を読んでいるシーンを描いている<ref>Gaiman, Neil, (1995). ''The Sandman: The Kindly Ones: 10'', 21-22.</ref>。日本のSF作家では、[[星新一]]や[[筒井康隆]]が自著でブラウンの作品の影響を述べている。また、[[小林信彦]]はその評論『小説世界のロビンソン』において『火星人ゴーホーム』を「ギャグの連続のみで構成された長編小説」として絶賛している。
 
数多くの短編小説がテレビドラマの原作として採用されている。主に『[[ヒッチコック劇場]]』、『ボリス・カーロフのスリラー』、『[[フロム・ザ・ダークサイド]]』といった、サスペンス、ホラー、ファンタジーを専門とした人気テレビ番組において、ブラウンの短編小説が映像化された。中でも前述のように、短編『闘技場』が『[[スタートレック]]』におけるエピソード『怪獣ゴーンとの対決』(1967年)の原案として採用されたことがよく知られている。
 
短編に比べると長編小説の映像化は多くはないが、『通り魔』を原作とした[[アニタ・エクバーグ]]主演の長編映画"Screaming Mimi" (1958年)は、[[アルフレッド・ヒッチコック]]監督の『[[サイコ (1960年の映画) |サイコ]]』(1960年)に先駆けて異常心理を扱ったスリラー映画の傑作として高く評価されている。また、『通り魔』のアイディアとプロットはスリラー映画の巨匠[[ダリオ・アルジェント]]監督のデビュー作となった傑作『[[歓びの毒牙]]』(1969年)に大きな影響を与えた。映画以外では日本のテレビドラマにおいて、ブラウンの長編ミステリ小説をドラマ化した『霧の壁』(1970年)や『殺人大百科 手作りの棺』(1973年。原作は『殺人プロット』)が製作されて話題となった。ミステリー以外の長編小説では、SF分野におけるブラウンの代表作といえる『火星人ゴーホーム』も1989年に映画化されている(『[[火星人ゴーホーム!]]』)が、この映画の評判はさほど芳しくない。
 
== 作品リスト ==
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** [[天元突破グレンラガン]]の最終回タイトルに引用されたことにより注目され、復刊している。新装版巻末では[[中島かずき]]が巻末解説を担当。
* [[火星人ゴーホーム]](''Martians, Go Home'', 1955)[[ハヤカワ文庫]]SF
** 19901989年、アメリカにて『[[火星人ゴーホーム!]]』というタイトルで映画化されている(日本ではビデオレンタルのみ)。
* 宇宙の一匹狼 (''Rogue in Space'', 1957) [[創元SF文庫]]
* 73光年の妖怪 (''The Mind Thing'', 1961) [[創元SF文庫]]
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==== その他の長編 ====
* 殺人プロット (Murder Can Be Fun(A Plot for Murder))
* 通り魔 (The Screaming Mimi):複数の映画化 [[ダリオ・アルジェント]]「[[歓びの毒牙]]」、他作品あり。
* 手斧が首を切りにきた (Here Comes a Candle)
* 不思議な国の殺人 (Night of the Jabberwock)
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* 復讐の女神 (The Shaggy Dog and Other Murders)
* Fredric Brown in the Detective Pulps (全19冊)
 
== 映像化作品 ==
=== 映画 ===
*『死を呼ぶ名画』 ''Crack-Up'' (1946年 アメリカ)
:監督:アーヴィング・ライス
:出演:パット・オブライエン、クレア・トレヴァー、ハーバート・マーシャル、ウォーレス・フォード
:*原作:''"Madman's Holiday"''
 
*''"Screaming Mimi"'' (1958年 アメリカ)
:監督:ガード・オズワルド
:出演:[[アニタ・エクバーグ]]、フィリップ・キャリー、ジプシー・ローズ・リー
:*原作:『通り魔』
 
*『[[歓びの毒牙]]』 ''L'uccello dalle piume di cristallo'' (1969年 イタリア)
:監督・脚本:[[ダリオ・アルジェント]]
:音楽:[[エンニオ・モリコーネ]] 撮影:[[ヴィットリオ・ストラーロ]]
:出演:トニー・ムサンテ、スージー・ケンドール、エンリコ・マリア・サレルノ
:*『通り魔』のアイディアとプロットを下敷きにしながらオリジナルの脚色を加えた作品。
 
*''"L'Ibis rouge"'' (1975年 フランス)
:監督:[[ジャン=ピエール・モッキー]]
:出演:ミシェル・シモン、[[ミシェル・セロー]]、ミシェル・ガラブリュ、ジャン・ル・ポーラン
:*原作:『3、1、2とノックせよ』
 
*『[[火星人ゴーホーム!]]』 (1989年 アメリカ)
:監督:デヴィッド・オデル
:出演:[[ランディ・クエイド]]、[[ロニー・コックス]]、[[マーガレット・コリン]]、[[アニタ・モリス]]
 
*''"Vieille canaille"'' (1990年 フランス)
:監督:ジェラール・ジュルデュイ
:出演:[[ミシェル・セロー]]、[[アンナ・ガリエナ]]、ピエール・リシャール、[[カトリーヌ・フロ]]
:*原作:『彼の名は死』
 
*''"La bête de miséricorde"'' (2001年 フランス)
:監督:[[ジャン=ピエール・モッキー]]
:出演:ベルナール・メネズ、ジャッキー・ブロワイエ、パトリシア・バルツィック、ジャン=ピエール・モッキー
:*原作:『やさしい死神』
 
=== テレビドラマ ===
*[[ヒッチコック劇場]] ''Alfred Hitchcock Presents''
:*『適役』 ''The Cream of the Jest'' (1957年)
::出演:[[クロード・レインズ]]、[[ジェイムズ・グレゴリー]]、ポール・ピサーニ、ジョーン・バンクス
:*『11時45分』 ''The Night the World Ended'' (1957年)
::出演:ラッセル・コリンズ、ハロルド・J・ストーン、エディス・バレット、ロバート・ロス
:*『危険な連中』 ''The Dangerous People'' (1957年)
::出演:[[アルバート・サルミ]]、ロバート・H・ハリス、ケン・クラーク、ハリー・タイラー
:*『惑星人テレビジャック』 ''Human Interest Story'' (1959年)
::出演:[[スティーヴ・マックイーン]]、[[アーサー・ヒル]]、タイラー・マクヴェイ、ウィリアム・チャリー
:*『私は殺される』 ''A True Account'' (1959年)
::出演:ジェーン・グリア、ケント・スミス、[[ロバート・ウェッバー]]、ジョスリン・ブランド
 
*ボリス・カーロフのスリラー ''Thriller''
:*『3、1、2とノックせよ』 ''Knock Three-One-Two'' (1960年)
::監督:ハーマン・ホフマン
::出演:ジョー・マロス、ビヴァリー・ガーランド、チャールズ・エイドマン、[[ウォーレン・オーツ]]
 
*[[スタートレック]] ''Star Trek''
:*『怪獣ゴーンとの対決』 ''Arena'' (1967年)
::出演:[[ウィリアム・シャトナー]]、[[レナード・ニモイ]]、[[デフォレスト・ケリー]]、[[ジョージ・タケイ]]
::*原作『闘技場』
 
*[[銀河テレビ小説]]([[NHK総合]])
:*『霧の壁』(1970年)
::出演:[[中山仁]]、[[北林早苗]]、[[勝部演之]]、[[加藤嘉]]、[[蜷川幸雄]]、伊藤友乃
 
*サスペンスシリーズ([[毎日放送]])
:*『まっ白な嘘』(1973年)
::出演:[[松原智恵子]]、[[関口宏]]、[[小山明子]]、[[多々良純]]
:*『殺人大百科 手作りの棺』(1973年)
::出演:[[浅丘ルリ子]]、[[津川雅彦]]、[[渡瀬恒彦]]、[[柴俊夫]]、[[南原宏治]]、[[桃井かおり]]
::*原作『殺人プロット』
 
*[[フロム・ザ・ダークサイド]] ''Tales from the Darkside''
:*『死霊の配達人』 '' The Geezenstacks'' (1985年)
::監督:ビル・トラヴィス
::出演:クレイグ・ワッソン、タンディ・クローニン、ラリー・パイン
 
*[[金曜女のドラマスペシャル]]([[フジテレビ]])
:*『妻が狙われるとき』(1987年)
::出演:[[山本陽子]]、[[西岡徳馬]]、日高幹弘、藤伊万里
 
*[[火曜サスペンス劇場]]([[日本テレビ]])
:*『悪夢の五日間』(1990年)
::出演:[[山城新伍]]、[[梅宮辰夫]]、[[萩尾みどり]]、[[沖直未]]
 
== 脚注・出典 ==