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'''ミルグラム実験'''(ミルグラムじっけん)とは、閉鎖的な環境下における、権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したものである。俗称として'''アイヒマン実験(アイヒマンテスト)'''とも呼ばれる。
 
==概要==
ミルグラム実験とは、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]、[[イェール大学]]の[[心理学者]]、[[スタンリー・ミルグラム]](Stanley Milgram)によって、[[1963年]]にアメリカの[[社会心理学]]会誌『Journal of Abnormal and Social Psychology』に投稿された、権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したものである。
 
[[東欧]]地域の数百万人のユダヤ人を絶滅収容所に輸送する責任者であった[[アドルフ・アイヒマン]]は、ドイツの敗戦後、南米[[アルゼンチン]]に逃亡して「リカルド・クレメント」の偽名を名乗り、自動車工場の主任としてひっそり暮らしていた。彼を追跡する[[イスラエル]]の情報機関がクレメントが大物戦犯のアイヒマンであると断定した直接の証拠は、クレメントが妻の誕生日に花屋で彼女に贈る花束を購入したことであった。その日付は、アイヒマンの妻の誕生日と一致した。またイスラエルにおける[[アイヒマン裁判]]の過程で描き出されたアイヒマンの人間像は、人格異常者などではなく、真摯に「職務」に励む、一介の平凡で小心な公務員の姿だった。
 
実験の結果は、普通の平凡な市民が、一定の条件下では、冷酷で非人道的な行為を行うことを証明するものであった。この実験から、かかる現象を'''ミルグラム効果'''とも呼ぶ。
 
 
==実験方法==
 
===実験の内容===
被験者たちはあらかじめ「体験」として45[[ボルト (単位)|ボルト]]の電気ショックを受け、「生徒」の受ける痛みを体験させられる。次に「教師」と「生徒」は別の部屋に分けられ、インターフォンを通じてお互いの声のみが聞こえる状況下に置かれた。そしてこの実験の肝とも言うべき部分は'''被験者には武器で脅されるといった物理的なプレッシャーや、家族が人質に取られているといった精神的なプレッシャーは全くないことである。'''
 
「教師」はまず二つの対になる単語リストを読み上げる。その後、単語の一方のみを読み上げ、対応する単語を4択で質問する。「生徒」は4つのボタンのうち、答えの番号のボタンを押す。「生徒」が正解すると、「教師」は次の単語リストに移る。「生徒」が間違えると、「教師」は「生徒」に電気ショックを流すよう指示を受けた。また電圧は最初は45ボルトで、「生徒」が一問間違えるごとに15ボルトずつ電圧の強さを上げていくよう指示された。
 
ここで、被験者は「生徒」に電圧が付加されていると信じ込まされるが、実際には電圧は付加されていない。しかし各電圧の強さに応じ、あらかじめ録音された「『生徒』が苦痛を訴える声」がインターフォンから流された。電圧をあげるにつれて段々苦痛のアクションが大きくなっていった。また電気ショックの機械の前面には、200ボルトのところに「非常に強い」、375ボルトのところに「危険」などと表示されている。これは記録映像を見ればわかるが、'''音声はまるで拷問を受けているかの如くの大絶叫で、生徒のアクションはショックを受けた途端大きくのけ反る'''等、一見してとても演技とは思えない迫力であった。
#75ボルトになると、不快感をつぶやく。
#120ボルトになると、大声で苦痛を訴える
 
==脚注==
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<references />
 
==関連文献==
*{{cite journal | last = Milgram | first = Stanley | year = 1963 | title = Behavioral Study of Obedience | journal = Journal of Abnormal and Social Psychology | volume = 67 | pages = 371–378 | pmid = 14049516 | url = http://content.apa.org/journals/abn/67/4/371 | doi = 10.1037/h0040525}} [http://www.garfield.library.upenn.edu/classics1981/A1981LC33300001.pdf Full-text PDF.]
* スタンレー・ミルグラム 『服従の心理』 ([[河出書房新社]])- 実験者自らによる詳細な報告書
** [[岸田秀]]訳 1974年
** 岸田秀訳(新版) 1995年 ISBN 9784309706146
** [[山形浩生]]訳(新訳) 2008年 ISBN 9784309244549
*トーマス・ブラス 『服従実験とは何だったのか スタンレー・ミルグラムの生涯と遺産』(誠信書房 野島久雄・藍沢美紀訳 2008年)- ミルグラムの伝記でミルグラム実験についても多く記述
: 実験者自らによる詳細な報告書の日本語訳。
:*岡本浩一『社会心理学ショートショート』(新曜社)- 「実験室のナチズム」という項でこの実験について概説している。
*トーマス・ブラス 『服従実験とは何だったのか スタンレー・ミルグラムの生涯と遺産』(誠信書房 野島久雄・藍沢美紀訳 2008年)
*小坂井敏晶 『責任という虚構』 (東京大学出版会 2008年7月30日初版)- 序章(「主体という物語」)でミルグラム実験を取り上げている。
: ミルグラムの伝記だが、ミルグラム実験についても多く記述している。
*デーヴ・グロスマン著・安原和見訳 『戦争における「人殺し」の心理学』 (ちくま学芸文庫 2004年)- 一章を割いてミルグラム実験を取り上げている
*岡本浩一 『社会心理学ショートショート』 (新曜社)
:*『死のテレビ実験』(河出書房新社 2011年)-「テレビのクイズ番組のパイロット版」という設定で行われたミルグラム実験の追試の報告書。 
: 「実験室のナチズム」という項でこの実験について概説している。
*小坂井敏晶 『責任という虚構』 (東京大学出版会 2008年7月30日初版)
: 序章(「主体という物語」)でミルグラム実験を取り上げている。
*デーヴ・グロスマン著・安原和見訳 『戦争における「人殺し」の心理学』 (ちくま学芸文庫 2004年)
: 一章を割いてミルグラム実験を取り上げている。
*『死のテレビ実験』 (河出書房新社 2011年)
:「テレビのクイズ番組のパイロット版」という設定で行われたミルグラム実験の追試の報告書。 
 
==関連項目==
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