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{{otherusesotheruseslist|動物のハイエナ|パチンコ・パチスロ用語|ハイエナ (パチスロ)|お笑いコンビ|ハイエナ (お笑いコンビ)|[[KOF MAXIMUM IMPACT]]シリーズのキャラクター|ハイエナ (KOF)}}
 
{{生物分類表
|省略=哺乳綱
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** [[アードウルフ]] ''Proteles cristatus ''
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'''ハイエナ'''(=ヒヤエナ)はネコ目(食肉目)ハイエナ科に属する動物の総称である。長い鼻面と長い足を持ち、[[イヌ]]に似た姿をしているが、[[ジャコウネコ|ジャコウネコ科]]に最も近縁である。別名'''タテガミイヌ'''。
 
'''ハイエナ'''(=ヒヤエナ)はネコ目(食肉目)ハイエナ科に属する動物の総称である。長い鼻面と長い足を持ち、[[イヌ]]に似た姿をしているが、[[ジャコウネコ|ジャコウネコ科]]に最も近縁である。別名'''タテガミイヌ'''。
 
== 分布 ==
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== 特徴 ==
現生の4種のハイエナのうち、[[昆虫]]食のアードウルフを除く3種は、強力な頭骨と顎、消化器官を持つ。これらによって、他の肉食動物が食べ残すような骨を噛み砕き、有機成分を消化吸収することができる。角、骨、蹄など消化出来できないものは、[[ペレット]]として吐き戻す。
 
== 生態 ==
中型のカッショクハイエナやシマハイエナは、狩りをするより腐肉を漁ることの方が多いため一般にハイエナには、の一般的な印象「[[サバナ (地理)|サバンナ]]の掃除人」のもして死肉を漁るいう印象を与えなっている。
 
一方、ブチハイエナは、時速65[[キロメートル|km]]を超える俊足と、並外れたスタミナとを併せ持つ優秀なハンターである。その食物には腐肉も含まれるものの、半分以上は自分たちで捕えたものであり、狩りで仕留めた獲物を[[ライオン]]に横取りされる場合もある<ref>{{Cite web |date= |url=http://cgi2.nhk.or.jp/darwin/broadcasting/detail.cgi?sp=p334 |title=“悪役”ハイエナ 意外な素顔 |publisher=[[NHKスペシャル]] |accessdate=2014-08-03}}</ref>。イギリスの生態学者 H.Kruuk の研究では、[[セレンゲティ国立公園]]のブチハイエナは、10-15頭の群れで[[ヌー]]や[[シマウマ]]を狩ることが明らかにされている。他の動物が掘った巣穴に住み、巣穴の回りには動物の骨などが散乱している。
 
巣穴にある骨は非常食である。ハイエナは、硬い骨も噛み砕けるほど前述したように顎の力が強いため、食料が無い時にはこれらの骨を食べ飢えを凌ぐ。ハイエナの群れのリーダーはメスであり、メスのリーダーの長女が群れのリーダーを継ぐことが常識的になっている。そのため、オスは群れの中で順位が低い。
 
== 系統と分類 ==
ハイエナ科は、同じネコ目の[[ジャコウネコ]]科から進化したと考えられる。その出現は比較的新しく、最古の化石は[[アフリカ]]と[[ヨーロッパ]]の[[中新世]]前期のものである。初期のジャコウネコに似た比較的小型の系統(イクティテリウム亜科)は[[鮮新世]]前期までに絶滅し、現在の系統(ハイエナ亜科)は、中新世後期に出現して現在に至っている。ハイエナ科のほとんどは、アフリカとユーラシアに分布が限られるが、チャスモポーセテス属だけは、鮮新世後期に北アメリカまで分布を広げていた
ハイエナ科の殆どは、アフリカとユーラシアに分布が限られるが、チャスモポーセテス属だけは、鮮新世後期には北アメリカまで分布を広げていた。
 
現生のハイエナ科には、4属4種が含まれる。
 
; [[ブチハイエナ]] ''Crocuta crocuta''
: 赤道付近の熱帯雨林を除いたサハラ砂漠以南のアフリカに広く分布する。鳴き声が人間の笑い声に似ているため「笑いハイエナ Laughing Hyaena」の異名をもつ。その名の通り、灰色の体に黒い斑点があるのが特徴である。頭胴長120-180cm180[[センチメートル|cm]]、体重55-85kg85[[キログラム|kg]]と、ハイエナ科では最も大型の種である。
: メスには高い血中濃度のアンドロゲン(雄性ホルモン物質)ホルモンが保たれており、そのいるため哺乳類としては珍しくメスは平均してオスより一回り大きく、オスのペニスと同等以上のサイズにもなるクリトリスや、その根元にぶら下がる脂肪の塊が入った偽陰嚢を持ち、順位も攻撃性もメスの方が高い。この特徴的な外性器の様子から、科学的研究が進む前には“雌雄同体の下等な生物”と考えられていた時期もあったようである。
: 10-15頭程度のクラン (clan) と呼ばれる母系の群れを形成し、共同の巣穴で生活する。群れのメンバーが協力し、ヌーやシマウマ、トムソンガゼルなどを狩る。同じサイズの動物中、最も強力な顎を持ち、驚異的なスピード早さで食物を平らげる。
; [[カッショクハイエナ]] ''Parahyaena brunnea''
: 以前はシマハイエナと同属の''Hyaena brunnea''とされていた。アフリカ南部(南アフリカ西部、ナミビア、ボツワナ、西・南ローデシア)に分布する。頭胴長110-140cm、体重40-55kg。ブチハイエナと同様、母系の群れ(クラン)を形成し、共同の巣穴で生活する。[[ライオン]]などの捕食者の食べ残しや、病死した動物の死体を主食とする。
; [[シマハイエナ]] ''Hyaena hyaena''
: 分布はサハラ砂漠以北のアフリカ北部・東部からアラビア半島までの中東、インド、ロシア南西部に及ぶ。サハラ砂漠やアフリカの砂漠では見られず、草原や半砂漠に生息する。頭胴長100-120cm、体重37-55kg。背に先端の黒い鬣を持ち、その名の通り、胴と四肢に多くの黒い縞を持つ。群れを形成せず、雄と雌は繁殖時だけ一緒になる。
; [[アードウルフ]] ''Proteles cristatus''
: 他のハイエナ類とは大きく異なった形態や生態をもつ小型のハイエナ。別名ツチオオカミ。東及び北東アフリカと南アフリカに分断された分布域を持つ。頭胴長85-105cm、体重9-14kg。華奢な頭骨と細い櫛状の[[歯]]を持ち、[[シロアリ]]を主食とし、1晩に20万匹のシロアリを食べると言われる。一夫一婦制である。
 
== ハイエナにまつわる逸話 ==
ハイエナは[[肛門腺]]が発達しており、これがしばしば[[女性器]]と見間違えられたため、長らく[[両性具有]]であると信じられてきた。ただし[[アリストテレス]]は著書『動物誌』で両性具有は誤りであると記している。また、[[古代ローマ]]の博物学者[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|プリニウス]]は、『博物誌』でハイエナは交尾をしなくても出産出来できと記している。このような、性がはっきりしないという迷信から、中世までの[[キリスト教]]では神を受け入れたかはっきりしない曖昧な人間の象徴として、ハイエナが用いられた。
 
ブチハイエナのメスの外性器は、外見上、オスのそれとほとんど区別がつかない。メスの外性器の各部分が偽の陰茎や陰嚢を形作っているため、野外で雌雄を明確に見分けるのは困難である<!-- ★上の肛門腺云々という記事は勘違いでは? 肛門器官が特殊な発達を示していることは確かであり、ハイエナは肛門腺からペースト状の液を出してにおいつけをするし、カッショクハイエナとシマハイエナは、出し入れのできる肛門嚢をあいさつ行動に使うことが知られていますが。-->。ハイエナが両性具有や、しばしばその性を転換すると考えられたのはこのためである。この現象は、ハイエナの胎児で高いアンドロゲン(雄性ホルモン物質)濃度が維持されるために起こるものであることがわかっている<ref>[[スティーヴン・ジェイ・グールド|S.J.グールド]]『ニワトリの歯』11章を参照</ref>。
 
{{要出典範囲|date=2015年2月|死肉をあさという生態のイメージから、人間社会でも「破綻した(あるいは破綻しそうな)組織や個人から利益を強奪する行為」や、「困窮している者に対し、初めは積極的に援助の手を差し伸べ、その状況から脱した後には見返りを強要する行為」などを起こす人間を総称して『ハイエナ』と称することがある。}}この形容は同様の理由で、「[[ハゲタカ]]」とも言われる。
 
== 脚注 ==