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[[冷戦]]が終結し、1991年にソビエト連邦が崩壊すると、それまでキューバ産砂糖とソ連製の石油をバーターで取引してきたキューバの経済構造の基盤は大打撃を受け、経済はかつてない規模の衰退に陥った。経済崩壊状態に陥ったキューバから脱出すべくイカダ(バルサ)でアメリカ合衆国の[[フロリダ州]]を目指して亡命を図る[[バルセーロス]]と呼ばれる人々が増加し、亡命を希望しなかった人々の間でも1993年に[[米ドル]]の所持が解禁されたため、米ドルを持てるものと持たざる者の間に微妙な差異が生まれ、それまでの平等主義体制に亀裂が入った。深刻な経済衰退を受けて政府は私的所有や、国営企業の民営化などの経済競争の面での自由化を部分的に採り入れ、観光業の振興を軸に経済の再生を測った。このような政策は功を奏してフィデル・カストロ政権は1990年代の最も困難な時期を乗り切り、[[キューバ共産党]]による[[一党制]]体制は維持されたものの、他方で1990年代を通して土地の私的所有や宗教信仰の自由などを認める各種の自由化が進んだ。
 
[[アメリカ合衆国下院]]は2003年9月9日、アメリカ人のキューバ訪問禁止解除の法案を可決(今回で4度目の可決、賛成227、反対188)。10月23日には上院も同趣旨の法案を可決(賛成59、反対38)。いずれも[[ジョージ・W・ブッシュ]]大統領の所属する共和党主導で行なわれた。連邦財務省の試算によれば、2002年に合法的にキューバを訪問したアメリカ人は約16万人で、うち半数はキューバ系アメリカ人、ほかに人権団体、教育関係者、ジャーナリスト、外交官など。それ以外に罰金・禁固刑のリスクをかえりみず、[[カナダ]]、[[メキシコ]]経由で違法にキューバ渡航する者も多いと財務省当局はみている。[[ロナルド・レーガン]]大統領の時代、罰則は罰金25万ドル・10年の懲役刑へと引き上げられている。渡航禁止が解除された場合、初年度の渡航者は100万人に達すると財務省は試算。国連総会は11月4日、アメリカの42年間におよぶ対キューバ通商禁止解除を求める決議を可決した(賛成179、反対3、反対はイスラエルとマーシャル諸島、アメリカ合衆国。この決議は今年で12回目)。11月6日、アメリカ上院はさらに、[[アメリカ合衆国上院外交委員会|外交委員会]]で渡航禁止解除を決議した。[[ジョージ・ウォーカー・ブッシュ|ブッシュ]]政権は2004年の大統領選に向け、大票田であるフロリダ州のキューバ系アメリカ人票をつなぎ止めるため、上下両院で可決された法案に対し[[拒否権]]発動の姿勢を崩さない。キューバとの通商は[[フィデル・カストロ]]を利するだけで、一般のキューバ人への利益にはならないというのがブッシュ政権の説明である。
 
国連総会では1992年から2014年まで23年連続で、アメリカ合衆国に対してキューバに対する国交断絶と経済制裁を終了し、外交・経済関係を回復するよう求める決議案が提出され、採決の結果は毎年、アメリカとイスラエルが反対、パラオ、ミクロネシア、マーシャル諸島は棄権、それ以外の国は全て賛成で可決されてきた<ref>[http://www.un.org/press/en/2014/ga11574.doc.htm United Nations>General Assembly>Resolutions>Necessity of ending the economic, commercial and financial embargo imposed by the United States of America against Cuba]</ref><ref>[http://www.un.org/en/ga/69/resolutions.shtml United Nations>General Assembly>Resolutions]</ref><ref>[http://www.un.org/documents/resga.htm United Nations>General Assembly>Archives>Resolutions]</ref>。
 
アメリカが農産物を輸出する国として、2年前、キューバは第208位であったが、現在は第35位を占めるまで急上昇している。また、かつては世界で有数の砂糖生産国であったキューバも、現在さとうきび畑の大部分を転作化、先頃開かれていたハバナでの国際貿易フェアで、米国からの参加者に砂糖の輸入を打診した。表向きは[[経済制裁]]を継続していたはずの[[ビル・クリントン]]政権時代にハバナの米国利益代表部は大改築を行ない、現在は巨大なビルへと変貌している。
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===医療===
{{Main|キューバの保健|:en:Healthcare in Cuba}}
キューバの医療制度は[[プライマリヘルスケア|プライマリ・ケア]]を重視した医療制度を採用し、独特の社会福祉政策と同様「キューバ・モデル」として有名である。世界保健機関が発行するWorld Health Statistics 2014年度版によると、医療費の公費負担率は2000年度は90.8%、2011年度は94.7%である<ref>[http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/112738/1/9789240692671_eng.pdf?ua=1 WHO World health Statistics 2014>7.Health Expenditure(142Page)]</ref>。人口10,000人中の[[医師]]数が67.2人と世界で最も多いグループに属する<ref>[http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/112738/1/9789240692671_eng.pdf?ua=1 WHO>World Health Statistics 2014>Part3 Global health indicators>6. Health systems]</ref>。ファミリードクター制を採用し、各地区に配置された医師が地域住民の健康状態の把握を行っている。家庭医は往診が基本である。[[医学部]]は無料で留学生(アメリカ人も含む)も無料である<ref>[http://job.yomiuri.co.jp/news/ne_07103001.htm]</ref>。被災地への医師の海外[[派遣]]も積極的に行っている。これらは、[[マイケル・ムーア]]監督の映画『[[シッコ]]』で紹介された。キューバの所得水準は世界銀行の定義ではUpper Middle Income Countryに分類され、世界保健機関の年次報告書である世界保健統計World health Statistics 2014年度版によると 、世界保健機関が指標として定める妊産婦死亡率、新生児死亡率、乳児死亡率、乳幼児死亡率、成人死亡率は、Upper Middle Income Countriesの平均値よりは低いが、High Income Countriesの平均値よりは高く、平均寿命、平均健康寿命はUpper Middle Income Countriesの平均値よりは高いが、High Income Countriesの平均値よりは低い<ref>[http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/112738/1/9789240692671_eng.pdf?ua=1 WHO>World Health Statistics 2014>Part3 Global health indicators>1. Life expectancy and mortality , 2. Cause-specific mortality and morbidity]</ref>。
 
[[ディエゴ・マラドーナ]]、[[モハメド・アリ]]が治療しにきた。